東北芸術工科大学を退職します。 | イージー・ゴーイング 山川健一
2018-09-25 16:07:45

東北芸術工科大学を退職します。

テーマ:イージー・ゴーイング

今日学生達に報告したのですが、今期限り、来年の3月をもって東北芸術工科大学を退職します。理由はシンプルで、定年だからです。ゼミや2年生のケアが中途半端だったり、オープンキャンパス等で会った高校生達の中にはぼくに会えることを楽しみにしている人達もいるだろうことから、出来ればもう1年やりたかったのですが、定年を延長する方法がありませんでた。ま、大学の規則だからね。


怒ったり泣いたりしている学生もいましたが、ごめん。皆さんには感謝しています。


「文芸学科構想」という書類を書き文科省と交渉を重ねたのが2010年。何とか開講にこぎ着けられると思ったら東日本大震災に見舞われ、ぼくらの最初の仕事は、入学予定者の安否確認でした。昨日まで高校生だった新入生は家屋の損壊などの物理的な被害だけではなく、肉親や友人を失った精神面でのダメージも大きく、小説の構造を講義しながらぼくが感じていたのは「発語の不可能性」ということでした。準備していた講義メモが全部吹っ飛んだのでした。ちなみに、千葉県の湾岸にあるぼくの家も全壊でした。


あれから8年。長い年月だけれども、一瞬の夢ような時間だった気もしています。もちろん楽しいことばかりではありませんでしたが、「教授」「学科長」という慣れない仕事をぼくは概ね楽しむことができました。文芸学科の学生達、教員仲間達、保護者の皆さんや職員の方々に、心より感謝します。


大学関係ばかりではなく、8年間ぼくを支えてくれた人達がいます。苦しい想いは、むしろ大学の外側にいるそんな友人達によって和らぎました。ありがとうございました。


ここでぼくが書くことではないかもしれませんが、同僚の川西蘭教授も今期限りで退職されることになりました。いろいろ話し合ったのですが「じゃあ一緒に東京に帰ろうか。小説を書こう。俺達は小説家だもんな」ということになりました。文芸学科の教員で小説家はぼくと川西さんの2名だけなのですが、2019年4月からはまったく新しい学科がスタートするはずです。


ぼくは東京で作家育成を目的としたオンラインサロン、"「私」物語化計画" をスタートする予定です。「スクーリングと言うかオフ会もやるからさ。川西さんも来てよ」「いいよ」というような話をしています。準備段階の2010年からなら9年間、必死に力を合わせたり大喧嘩したり、ぼくらはずっと一緒だった。川西さん、長期間大変なことに付き合わせてごめん、どうもありがとう! 当たり前の話だけど、川西蘭の存在がなければ文芸学科の存在はなかった。


文芸学科の顧問は幻冬舎の見城徹社長で、ま、ぼくの兄貴と言うか後見人みたいな方なのですが、ぼくの退職と同時に顧問職から解放されることになります。お会いしたり電話したり、実質的な顧問として実は度々アドバイスを頂いてました。見城さん、ありがとうございました。帰京しますので今度は東京でよろしくお願いします。


俳優の佐藤浩市さんには文芸学科の客員教授に就任していただき、その特別講義は非常に人気が高かったのですが、やはり来年の3月までということにさせていただきました。ほんと、無理なお願いを快く引き受けて下さり、感謝しています。


文芸学科の教員だけではなく、神宮外苑に京都造形芸術大学と共通の出版局「藝術学舎出版」を設立し、ぼくは設立時から編集長をつとめてきましたが、こちらは継続します。筆者やデザイナーの皆さん、何も変わりませんので引き続きよろしくお願いします。


ぼくの研究室には授業が終わると学生達が押しかけ、多い時には20人ぐらい来るので、今は曜日によって学年を指定しています。「火曜日は1年生、水曜日の17時以降は2年生な」という具合です。3月までは今まで通り研究室は解放するので、また来てもいいよ。ただし、もう怒ったり泣いたりしちゃダメだよ。FGOだけではなく、むしろぼくの方が皆んなから教わることが多かった気がする。君達は柔らかく、澄んでいて、優しかった。それはぼくが既に失った気質だよ。ぼくが去った後も、今の君達のままでいて欲しい。


しかし、セックス・ドラッグ&ロックンロールのこのぼくが、定年まで教員やるとは夢にも思わなかった。それが本音かな。人生には稀に、思いがけない素晴らしいことが起こるものだ。時々男子学生がコンサートを見に行って楽屋で会った外部の著名なロック・ミュージシャンや、ストーンズファンの自分のお父さんなどに「ヤマケンは昔はほんとに悪い奴だったんだよ。大学教授? 丸くなったもんだよな」などと言われたと報告に来ます。もちろん、ぼくは決して「悪い奴」ではなかったはずですが、退職したらロックライクな懐かしい場所に帰るつもりです。


もう一度。皆さん、感謝します。

ありがとうございました。


KEEP ON ROLLNG !


山川健一

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