このたびの東京都議選は、自民党と公明党の候補者全員が当選し、合わせて過半数64議席をはるかに超える、82議席獲得という圧勝の結果に終わった。昨年末の衆院選後に発足した自公政権の評価と、都議会第1党の民主党がその地位を守れるかが焦点だったが、民主党は15議席の第4党に落ち込み、その差は歴然たるものとなった。

前回54議席を獲得して第1党となった民主党は、主な公約を実現できず、離党者を11人も出して、都政を混乱させた。都政でも「決められない政治」を繰り広げた民主党への都民の失望感は大きく、今回の結果は、民主党の「1人負け」といってもよい。

従来、都議選は「国政のバロメーター」といわれ、来月の「参院選の前哨戦」と位置づけられた。

確かに「アベノミックス」の長短や、「憲法改正」の是非に都民の関心を結びつけたがる傾向もあった。しかし、それらの課題を都政でどうこうできるものではなく、都民の現実的な関心は、首都直下型地震への防災対策や待機児童解消策など、直面する生活課題への具体的な政策にあったというべきだ。

公明党の候補者は、こうした都民目線に立って「高齢者サービスの充実」や「開かずの踏切のための鉄道立体化」などを含め、具体的な実績や今後の政策を訴えた。

いずれにしても、昨年の衆院選以来、有権者は「政治の安定」「決めて進める政治」を求めており、参院選もこの流れは変わらないと思われる。

国会は衆参でねじれており、参院は民主党が第1党だが、衆参の合意形成に向けた責任は果たされていない。

衆院は24日、「0増5減」案に基づく区割り法案を再議決した。当事者といえる衆院が可決して参院に送ったにもかかわらず、参院は60日間も審議・採決せず、結論を出せないのであるから、やむを得ない。自らの意思も示せないようでは「参院無用論」を助長しかねない。その責任は第1党の民主党にあるといってよい。

さらに、通常国会の冒頭、審議効率化のために、与野党が「参院先議の条約」を選別して合意したが、とうとう条約数本が審議未了廃案となりそうだ。いずれも民主党政権が締結署名した条約なのに、先議にして参院に引き取っておきながら、廃案にしてしまう無責任ぶりにはあきれる。

都議選ばかりでなく、参院選でも「決められない政治」の元凶である民主党に国民の審判が下されなければならない。

「成長戦略」の実行による経済再生が国民の最大の関心だが、その実行力は参院選での「ねじれ解消」にかかっている。