NAロードスター用シリーズ2の研究? | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

NDロードスタースピーカーシステム
の開発進捗をお知らせした昨日のブロ
の最後に、NAロードスター用の研
究も継続してますよ! と写真付きで
書いたところ、あの写真の試作機は何
だ? というメッセージをいただきま
して。次期モデルを計画しているのか?
という内容の問い合わせでした。

問題の写真はコレです。



結論から申し上げますと、具体的な次
期モデルの計画はありません。ただ、
既存モデルをもっとよくするための研
究は、継続的に行っています。

これは、ロードスター用だけではなく、
W124、W126、W123、W2
01用をラインナップしているメルセ
デス用も同じです。


ものづくりに興味を持って、工具片手
にあれこれ始めたのは大昔のことです。
小学生の頃には、大阪・日本橋で電子
部品を買ってきては、はんだごてで何
やら作っていました。けれども、不特
定多数の誰かのためにものづくりを始
めたのは、スピーカーシステムが初め
てです。2011年のことです。

商業メディアや企業広告のために稿料
を頂戴して原稿を書く、という仕事と
とても似ています。それは、責任が発
生するということです。

期待に応えること。

それはお金という対価に対してだけで
はなく、楽しみや喜びや感動という気
持ちに対して、応えるという責任です。

期待を超えること。

そこを常に凝視して目指すことが、ク
リエイティブを生業とする者にとって
どれほど大切か、ということは、もの
書きの仕事が教えてくれました。同じ
ことをスピーカーシステムでもやる。
始めてしまったからには、その志抜き
では成りたたない。それが、創造の成
果物を世に問うという仕事なんです。



昼間に少し時間ができたので、2時間
ほどスピーカーシステム関係の作業を
しました。



メッセージをいただいた試作機は、N
Aロードスターから取り外して作業台
の上です。実は、NDロードスタース
ピーカーシステム用の装着試聴をした
ときに、候補に残った2つのユニット
のうち何度も聴いて最後の最後にボツ
にしたユニットです。少し明るめ過ぎ
るうわずった感じが気に入らずボツに
したユニットなんですが、口径が少し
大きく低音域のパンチがあるように感
じていました。それをNAで鳴らすと
どういう風に聞こえるのだろう、とい
うことを試すための試作機でした。

粉まみれの汗だくになってマウントボ
ードを削り出して作った試作機ですが、
結果は、たった1日でボツです。具体
的になにがダメだったかは書きません
が、現行のNAロードスター用スピー
カーシステムの音質のよさを再確認す
ることになりました。

苦労した挙げ句ボツにはなりましたが、
いろいろな視点から現状の認識をさら
に深めることができたという成果を得
ました。そういうことの積み上げが大
切だと思っています。メルセデスW1
24用の「シリーズ2」というモデル
も、こういうことの繰り返しの中から
生まれています。


というわけで、NAロードスターは、
現在製品版としてラインナップしてい
る仕様に戻したのですが、せっかく取
り外したのだからというわけで、ユニ
ットを新品に交換しました。取り外し
たユニットは、試作段階から使ってい
るもので、音が割れるほどのオーバー
パワーで鳴らしても壊れないか? の
ようなテストも含めて、相当に酷使し
ています。この機に取り外して、部屋
で聞いてみることにします。騒々しい
クルマの中では気づかないような音の
変化や異常が発生していないかを確か
めるためです。いまこれを書いている
部屋で鳴っていますが、問題ないよう
です。


そしてもう1つ。スピーカーユニット
を留めている4本のボルトの頭が少し
錆びていました。


1000本入りの箱、のような単位で
ボルトを買うと、油漬けのようなヌト
ヌトの状態で袋詰めされています。錆
び防止のためなのですが、そのままで
はいろいろなところを汚すので、スピ
ーカーシステムを組むときに脱脂して
います。そうすると、なるほど、やっ
ぱり錆びてしまうんですね。

そこでボルトを新しいものに入れ換え
ると共に、ベタベタにならないような
防錆処理を施しました。この状態でし
ばらく使ってみて、結果が良好であれ
ば、今後継続的に使える方法を1つ見
つけたことになります。


製品版になっているものは、すでにた
っぷりと吟味した仕様ですから、そう
そう簡単に別ユニットの新モデルが生
まれることはないんですが、同じに見
えてひと手間掛けました、変えました、
というような改良は、常に検証し、盛
り込んででいます。

期待を超えるものづくりとは、まこと
に面倒でたいへんで、ほとんど気づか
れないようなことばかりですが、それ
が期待を裏切らない、ひょっとしたら
超える理由になるとしたら、そこを目
指す手を緩める理由は、どこを探して
も見つからないとも思っています。



【ロードスター用 スピーカーシステム】

【メルセデス用 スピーカーシステム】



山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
webTV「モーター日本」
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