働くということ・50  伊東マイクさん | くるまの達人

くるまの達人

とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

フリーランスサラリーマン
伊東マイクさん


東京の福生に知り合いのお店があって、
スナックをやってたんですね。ジュー
クボックスとカラオケしかないような、
30坪くらいの小さなお店。週末でも20
人くらいしかお客さんが入らなくて、
マスターもお店を畳むことを考え始め
てたんです。

僕、知り合いでしたから、それ任せて
もらえませんか、いいアイデアがあり
ますよ、って話をして。

オーダーは伝票じゃなくてキャッシュ
・オンに、音楽はジュークボックスじ
ゃなくて生バンドやDJに。一緒にお客
さんの反応を見ながら順番に進めてい
って、3~4カ月後には一晩で700人
くらい入るような店になったんです。
いわゆるディスコですね。福生じゃ、
ちょっと知られた存在になったんです
よ。僕、まだ19歳くらいでした。アメ
リカからやって来て、間もなくでした
ね。

実はその時は、報酬を受け取ったわけ
ではなかったんですけど、味をしめた
のかもしれません。低迷しているお店
を活性化させることって、おもしろい
って。

コンサルティングとかアドバイザーと
か、言葉にするとそういうことなんで
すけど、自分が参画することで、人や
場所や空気が、生き生き動き始めるこ
とが好きなんだと思います。

クライアントとの契約の関係で詳しく
は話せないんですけど、世界規模の複
数の大企業と仕事をしています。でも、
やってることの根底は福生のディスコ
の時と変わらないんですよ。おもしろ
いことやろうよ! コレが最高にCOOL
だ! ビジネスとしての効果もいいね! 

そういうことを考えて、実現していく
プロセスがすべて楽しい。僕にとって
働くことの意味って、それだけです。
難しく考えて働いてるわけじゃないで
すから。

僕、すごく自由だと思う。これは子供
の頃の教育をアメリカで受けたことが
とても関係してると思うんだけど、私
は何ですか? ということが、僕にと
ってはとても大切なことなんです。

アメリカの学校には制服がありません、
英語には敬語がありません、空気を読
むことよりも自分の考えをきちんと持
つことのほうが尊ばれます。

もちろん制服がないというのは規律が
ないという意味ではないし、敬語がな
いのは尊敬する心を持たないというこ
とではないし、自分の考えを主張する
には根拠を備えるという努力が必要に
なります。

でも、自己管理さえできるようになれ
ば、あとは他人の自由を邪魔しない範
囲で自由です。

ですからアメリカでは、自分自身につ
いて理解を深めるような、そういう教
育がされてるんですね。そんな教育を
受けた経験を持って日本で暮らしてい
ると、日本の社会にはもったいないこ
とがいっぱいあるように感じるんです。

例えば会社でも、上司の顔色が気にな
ったり、場の空気を乱したくなかった
りという理由で、成り行きに任せたり
することがあるでしょう。もったいな
いですよね。せっかくのいい才能なん
だから、どうか怖がらずに言いましょ
うよ。もっと主張しましょうよ。そう
思うんですよ。

上司もクライアントもYESと言わせる
くらいの根拠を揃えて、発言しましょ
うよって。

失敗? 仕方ないよね、そういうこと
もある。完璧を目指すけど、完璧はム
リでしょ。

なにか必ず問題は起こりますよ。でも、
経験すれば強くなれると思うね。どう
してもイヤであれば、辞めちゃえばい
いんだし。

もっといろいろな仕事を経験して、私
は何ですか? という答を見つければ
いいじゃない。

社会の中で自分のアイデンティティー
を見つけてる途中なんだ、って考えれ
ば、仕事も冒険。映画みたいだね!

Interview, Writing: 山口宗久

(株)リクルート社内広報誌「かもめ」
2008年8月号掲載
※内容は、すべて取材時のものです

※記事掲載への思いについて。


山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
Twitter / nineover
facebook / Yamaguchi Munehisa