身近な自然観察 メマツヨイグサの時期へ/アメリカイヌホオズキ

 更新が少し遅くなりました。書くことはだいたい準備していたのですが、休息の欲求が勝ってしまい何日もブログから離れていました。

 さて、今回のトピックの目玉は2つ(とても具体的)。一つは、少し前に「マツヨイグサ属の粘り?」と書いたばかりでしたが、どうも私の身近ではマツヨイグサの花は完全に終わり、メマツヨイグサに移ったようです(粘っていなかった?6月28日撮影のマツヨイグサの蕾と思われるものを載せていましたが、もう今では大部分が枯れ草のようになりマツヨイグサは見る影もありません)。バトンタッチによって同属で粘っているとも言えるのかもしれませんし、時期により棲み分けしている可能性もあるのかもしれません。メマツヨイグサがあちこちで目立っています。
 昨年このブログを開始し、身近な自然観察をするようになって、前回のアレチハナガサ類の件もそうですが、近縁種の見分けについて、ようやく初心者なりにいくらかはアプローチできるようになってきた気がしています(気がするだけの自己満足ですが)。ほかに、すぐ思い出すのは、ネズミモチとトウネズミモチ、ギシギシとナガバギシギシなどです。外来種絡みが多そうです。

メマツヨイグサ(アカバナ科マツヨイグサ属Oenothera biennis
 少なくとも今年に入っては初出のメマツヨイグサです。花が萎れて赤くなっていないので、這わずに立ち上がるマツヨイグサ属のうち、マツヨイグサ(Oenothera stricta)でないことは確かで、オオマツヨイグサ(Oenothera glazioviana)かメマツヨイグサとなりますが、葉の鋸歯が割と明瞭にあり、葉の主脈が赤くなるものもあったためメマツヨイグサかと(Googleレンズでもメマツヨイグサ一択でした)思いました(国立環境研究所侵入生物データ参照※1)。今はあちこちでメマツヨイグサが目立っています。マツヨイグサから完全に移り変わったようです。花の時期で棲み分けしているかまではわかりませんが、私の周辺の事例ではそんなふうに見えてしまいます。
↓2021/7/12撮影 メマツヨイグサ(葉の主脈の赤い部分が少しわかりますし、鋸歯も確認できます)
メマツヨイグサ Oenothera biennis
メマツヨイグサ Oenothera biennis

↓2021/7/13撮影 メマツヨイグサ
メマツヨイグサ Oenothera biennis

メマツヨイグサ Oenothera biennis
↓2021/7/13撮影 マツヨイグサ(茎の先端近くを除く大部分は既に枯れています)
マツヨイグサ Oenothera stricta
マツヨイグサ Oenothera stricta


アメリカイヌホオズキ(ナス科ナス属Solanum ptychanthum
 一つ面白い写真が撮れました。ヤブガラシ(ブドウ科ヤブガラシ属Cayratia japonica)とアレチヌスビトハギ(マメ科シバハギ属Desmodium paniculatum)の葉が写る中、アメリカイヌホオズキの実がついた茎が中央に写っている写真です。実は昨年、このあたりでアメリカイヌホオズキを確認していました(2020/9/14撮影 記事「身近な自然観察 近縁種の見分けは難しい アメリカ大陸原産は強い」2020-09-22に掲載)。なお、アメリカイヌホオズキは北アメリカ原産で、1951年に兵庫県尼崎市で採取されたのが始めとのこと(※2)。
 何が面白いかと言えば、一つは、ヤブガラシも似たような黒い実をつけますが、花序が全く違う上(イヌホオズキ類は散形花序的に一点からたくさん柄が出る)、(ヤブガラシは)実の付け根に星形のヘタのようなものはなく、実の個数や光沢からして今回の写真の黒い実はアメリカイヌホオズキに間違いないということ(こだわって調べないとわからなさそう)。そして、もう一つ、アメリカイヌホオズキの葉には、アレチヌスビトハギの葉の形に似たものもありますが、アレチヌスビトハギのように3小葉のセットが目立つものではないし、同じく(アレチヌスビトハギのように)縁がツルッとなめらかではなく、弱い鋸歯があります。
 それぞれ実や葉に似た面がある2種に囲まれていますが、似ているからと言って寄ってきたわけではないのでしょうからこれは偶然です。また、この2種(ヤブガラシ、アレチヌスビトハギ)は蔓延る植物で、あちこちで群生しています。イヌホオズキ類はナス科ですが、ナス科にはワルナスビのような有害雑草の外来種として問題になっているものがある一方で、アメリカイヌホオズキはあまり頻繁には見ない感じがします(感じなので勘違いかもしれませんが)。少なくとも出会った2例(今回別の場所の道端でも発見)は群生せず、ポツンとありました(しかし、それを言ったらワルナスビも昨年見た2例(3例だったか)では群生には見えなかった記憶があります)。
 なお、植物の和名に「イヌ」がつくものが多いですが、意味は「役に立たない」とかそんなような意味だったと思います(実際に役に立たないかどうかは、また別の話)。
 以下言及するイヌホオズキ類4種の中では花序の花の個数が1~4個と少ないのがアメリカイヌホオズキだけで、他のイヌホオズキ(Solanum nigrum、世界の温帯から熱帯に広く分布し、日本では史前帰化植物と考えられる(※3))、オオイヌホオズキ(Solanum nigrescens)、テリミノイヌホオズキ(Solanum americanum)は5個以上(今回、ここが最もわかりやすい判別ポイントのようです)ということです(※4)。
 葉で区別する方法が書かれたものはないですが、画像を検索すると葉の縁が鈍く波打つ鋸歯のようなものがアメリカイヌホオズキの写真にはよくありました。花や実の時期について言及した記事を見かけません。黒い実を観察した一方、今、花をつけているものを別の場所でたまたま見つけました。
↓2021/7/13撮影 アメリカイヌホオズキの実と、ヤブガラシとアレチヌスビトハギの葉

↓2021/7/13撮影 アメリカイヌホオズキ(別の場所)
アメリカイヌホオズキ Solanum ptychanthum
アメリカイヌホオズキ Solanum ptychanthum
 

↓「身近な自然観察 近縁種の見分けは難しい アメリカ大陸原産は強い」
2020-09-22 06:39:04

 



※1:メマツヨイグサ(国立環境研究所 侵入生物データベース) https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80240.html
※2:「アメリカイヌホオズキ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/3/21  00:12 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※3:「イヌホオズキ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/3/14  10:13 UTC 版)https://ja.wikipedia.org

※4:「三河の植物観察」by katou
https://mikawanoyasou.org/index.shtml
(参照ページ→)https://mikawanoyasou.org/data/inuhoozukirui.htm