使用済み「不織布マスク」の処理方法

 2020年12月2日放送のワイドショー・情報番組(TBS系列)『ゴゴスマ -GO GO!Smile!-』内での解説で、思わず「何ぃ?」と声を出してしまったものがありました。
 コロナ関係の話の中で、CBC解説委員の石塚元章氏が「不織布マスクは燃えるごみではなくプラごみ」と解説したものです。


 コロナの市中感染が拡大する今の状況では、家庭で出る使用済み不織布マスクは「感染性病原体が付着しているおそれがある」と考えることも自然であり、仮に感染性廃棄物(特別管理廃棄物)に「近い」ものとして、これに準ずれば「焼却処分」となるのではないかと私は想像します。なお、一般廃棄物である在宅医療廃棄物は多くの自治体が受け入れておらず曖昧にされてきました(※1)。そう言えば、特別管理産業廃棄物は聞きますが、特別管理一般廃棄物というのは聞かないように思います。在宅医療を行っている一部の家庭の問題だったものが、コロナ流行下で、ほぼ全ての家庭から出る使用済み不織布マスクという感染性廃棄物っぽいものの出現で問題が顕在化したとも言えます。対応策として後述のように「レジ袋などに入れてしっかり縛り、可燃ごみで出して」となる自治体もあるのでしょう。
 素人が普通に考えても、不織布マスクは燃えるし、燃やしたほうが感染拡大防止上いいに決まっていると思うのではないでしょうか。番組の解説を聞いて瞬間的にそう思い、「何ぃ?」となりました。通常のプラごみで出されると、分別作業者を感染リスク(危険)にさらすことになります。とりあえず燃やすことで環境中にプラチックが排出されマイクロプラチック化することもありません。廃プラチックの処分は、現状では再資源化は一部であり、あとは結局のところ焼却か埋め立てです。感染拡大防止の観点から使用済み不織布マスクの処理は繰り返しですが焼却が妥当でしょう。
 実際少し検索してみると、レジ袋などに入れてしっかり縛って可燃ごみとして出すよう「わざわざ注意喚起している」自治体があるくらいでした。このような自治体にしてみれば、『ゴゴスマ』の情報発信は迷惑千万でしょう。おそらく、そんなリサーチすらしていない解説委員の無責任な発言だったのだろうと思います。「不織布って燃えるゴミじゃないの知ってた?」的な雑学披露の感覚で発言しているようにも見えました。
 結局この放送中で、この件についてフォローされることはありませんでした。頭の回転が速そうな石井亮次アナも水曜日出演の古舘伊知郎氏も反応なしで、誰も何とも思わなかったということにも少々驚きを感じました。
 いくら廃プラチック扱いになる自治体があって本来そういう処理がされる状況があったとしても、平常時と非常時の違いはあるでしょう。今は感染性廃棄物に近いものとするほうが自然です(平常時でもそれでいいとすら思います)。時と場合そして物事の優先順位を無視し、平常時と非常時の区別がついていないし、感染性廃棄物に近いという常識的な感覚が欠如した酷い解説だと感じました。自治体により扱いが異なることに配慮するにしても、そもそもこういう形で言及するべきではないでしょう。コロナの感染拡大をどうしようかという話題の中で、感染拡大を助長する情報発信をしています。どうしてそういう分別のない人が解説委員をやっていられるのかという気持ちにもなりました。
 今どき信頼できる番組がどれほどあるのかということですが、『ゴゴスマ』という番組への信頼度がまた何ランクか下がった出来事でした。

 お読みくださりありがとうございました。

(参考)
※1:「医療廃棄物」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/5/20  03:20 UTC 版)https://ja.wikipedia.org