登山者達の行進 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 夜道を歩いていて眠くなってきたので私は建物の外壁に寄り掛かりながら腰を下ろして目を閉じた。辺りは人気がなく、空気がひんやりとしていた。

 すぐに意識が朦朧としてきたが、複数の足音が聞こえてきたので私は目を開けて辺りを見回した。たくさんの登山者達が一列になって眼前の道路を行進していた。彼等は大きな荷物を背負い、一歩ずつ山道を登っていっていた。私はずっと傾斜になっていない道路を歩いてきたはずだったので眼前の光景に違和感を覚えた。

 登山者達が行進していく方向へと視線を投げ掛けると空が明るくなってきていて山の稜線が見えた。そして、「危ない。危ない」という呟きが耳に入ってきた。一体、何が危ないのだろうかと考えたが、登山者達は私の方を一瞥もしないまま真剣な表情で山道を登っていた。

 やがて山のちょうど頂きに大きな太陽が出てきた。あまりの眩しさに私は片手で目を覆った。「危ない。危ない」という呟きがまだ聞こえてきていた。ひょっとして彼等は何かから逃げているのかもしれないという考えが頭の中に浮かんできた。

 それで、私は麓の方向へと視線を投げ掛けた。しかし、そちらはまだ夜が続いているようで真っ暗だった。巨大な暗闇が海のように果てしなく広がっていた。先程まで自分もその深い夜の中を歩いていたのだと考えて私は今さらのように恐怖を覚えた。


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