誰かを好きでいる自分を丸ごと認めてあげる | やまびこDr.の診療日記

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人生の大事業の子育ては、ほとんどぶっつけ本番! 分からない事だらけで心配がつきません。
でも正確な情報を知り納得できれば心配は減らす事が可能です。
薬よりもっと大切な事をお伝えする小児科医のブログです。

中学高校時代の友人S君のお話です。

 

S君が高校3年の時に付き合っていた彼女が、ある日白血病を発症してしまいました。

その彼女のことが大好きだったS君は、心底心配してとにかく治るように毎日祈っていました。

 

しかし彼女と彼女のご両親は、S君に負担をかけるのは申し訳ないという理由で、S君には別れてもらいたいと申し出て、S君は泣く泣く別れることを決心しました。

 

それから彼女は闘病生活を送りS君は別の彼女を見つけ、それぞれの道を歩んで行きましたが、その1年後、前の彼女は残念ながら還らぬ人となってしまいました。

 

その連絡を受けたS君は、それはそれは悲しみ、当時地元を離れていた僕のアパートに電話をかけて来ました。

 

「まきー(僕の呼び名)!聞いてくれよー! ○○ちゃんが死んじゃったー!!! 」

「あれから別の子と付き合ってるんだけど、○○ちゃんの事がこんなに好きだったんだって今になって分かったよー!!」

「それを今の彼女に電話で言っちゃったんだーー。そしたら黙って電話きられちゃったーーー!!」

「もうどうしたらいいか分からないーーー!!」

「なんとか言ってくれーーーー!!」

 

まだ二十歳そこそこの僕には、こんなヘビーな相談を受け止める度量も経験もなく、ただただかける言葉を探し続けていただけでした。

 

2日ほど経ったところで、何か返事をしようと思い手紙を書き始めました。

それが次のような感じだったと思います。

 

「S君、そんな経験をしたことないから、電話ではかける言葉が見つからなかった。ごめんね」

「別れてからも前の彼女はS君の中にずっと居たんだね」

「そのS君を今の彼女が好きになってくれたんだよね。」

「前の彼女のこともひっくるめたのが今のS君なんだよ。それを否定しなくてもいいんじゃない?」

「それを自分で認めた上で、それでも今の彼女が大切だって思えるんだったら、それを正直に今の彼女に伝えたらどうかなあ?」

「彼女もS君のことを大切だって思ってくれてるのなら、分かりあえると思うよ」

 

数日後「ありがとーーーーー! 感動したーーー!」と手紙が来ました。」

 

「彼女ととことん話をして、お互い分かり合えたと思う。」

「今の彼女のこと、本当に大切にしていきたいと思った。彼女も同じこと言ってくれた。」

「前の彼女への気持ちも大切にしながらも、今の彼女のことを一生大切にしていこうと思う。」

 

そしてその数年後に二人は結婚し、今も喧嘩しながらも仲良く暮らしているようです。

 

全ての経験はその人にとって必要なものです。そしてその経験はその人の一部となりその人を作り上げていきます。

 

誰かのことを好きでいる自分も自分の一部です。

陽気な自分も勇敢な自分も自分ですし、逆に卑怯な自分も残酷な自分も自分です。

その全てが自分であり、今の自分を作り上げています。否定しなくてもいいんです。

 

その自分を自分で丸ごと認めてあげると、自分に嘘をつくこともなく着飾る必要もなく、楽な自分でいられて生きるのが楽になります。

僕もまだまだその境地に達していないので、それを目指して今訓練中です。

 

それにしても、二十歳の自分、いいこと言ってましたね〜 何かが降りて来ていたようです。^^