「夏夜・・・、もう一年たったね・・・。」
『うん、そうだね。』
「花火大会ももうすぐだね・・・。」
『うん。』
「おばさんが今年も一緒に行こうって誘ってくれたよ。」
『あはは、お母さん愁ちゃん大好きだからね。
“あんたいつ結婚するの?”ってずっと言われてたから。』
「俺また身長が伸びたよ、6センチも。」
『えぇー、また伸びたの?キスするときいつも大変だって言ってるの愁ちゃんなのにー。』
「夏夜は変わらないね。」
『あたしはまだまだ伸びる予定だったよ、べぇー。』
「・・・夏夜、寒くない?」
『寒くないよ。』
「夏夜は寒がりだったからな。」
『確かに冬はひどかったね。』
「一人で・・・寂しくない・・・?」
『寂しくないよ。愁ちゃんがいつも寂しくなる前に会いに来てくれるから。』
「俺もそんなに頻繁には来れないけど、また来るからな・・・。」
『うん・・・。待ってるね・・・。』
「じゃあな、夏夜・・・。」
“あ、愁也くん。ここにいたのね。”
「おばさん・・・。」
“もうすぐ花火が上がるから探しに来たんだけど。夏夜に会ってくれていたのね。
ありがとう・・・。”
「いえ、俺もそんなに頻繁には来れませんから、会えるときに会いたくて。」
“愁也くんみたいな彼氏がいて本当に夏夜は幸せ者だわ・・・。”
「俺も夏夜さんといれて幸せでした。夏夜さんと過ごした時間は一生忘れません。」
“あの子も雨で氾濫した川で溺れそうになってる子を助けて自分が溺れてしまうなんて・・・”
「夏夜さんはホントに心のきれいな人でした・・・。いつも自分の幸せより他人の幸せを願ってた・・・。そんな夏夜さんだからこそ俺は好きになりました。」
“夏夜も同じことを言ってたわ。『愁ちゃんはね心が綺麗で真っ白なの!ピュアホワイトなの!』って。”
「いえ、俺はそんないい人間じゃないですよ・・・。」
“愁也くん・・・、私はホントにあなたに感謝しているわ。一年たってもこうして夏夜に会いに来てくれて・・・。夏夜もいつも目をキラキラさせて毎日楽しそうに過ごしてたわ。きっとあなたのおかげよ。だからね、愁也くん・・・自分の幸せのこともちゃんと考えてね?いつまでも夏夜につきっきりというわけにもいかないでしょう?あなたもいつか家庭を持つ日が来ると思うの・・・。恋人が亡くなるっていうのはそう簡単に飲み込めるものじゃないと思うけど、でも・・・”
「嫌です。」
“え?”
「俺は夏夜さんと幸せになるって決めたんです。他の女性となんて考えられません。」
“愁也くん・・・。”
「俺の人生を心配してくれるのはすごく嬉しいです。でも俺の人生は俺が決めます。」
“・・・。”
「・・・花火始まるんでしたよね・・・。もう夏夜にも挨拶したんで行きましょう・・・。」
“あ・・・。
(ごめんね、夏夜。あなたが以前、
『もし私が死んじゃったら愁ちゃんにはちゃんと新しい彼女作るように言ってね。』
“あら、何を言い出すのかと思えば。あなたはそれでいいの?”
『うん。だって愁ちゃんの幸せは私の幸せだもん。』
“まぁ幸せそうで羨ましいわねぇ。”
そう言っていたから言ってみたけれど・・・。)”
「おばさん?」
“あ、そうね・・・。行きましょうか・・・。”
『・・・。愁ちゃーん、幸せになんなきゃ祟るぞー。』
「え?」
“どうしたの?”
「いや、いま夏夜の声がして・・・。」
“声・・・?”
「あ、いや気のせいだと思います・・・。すいません。」
“そう?”
「(夏夜、またな・・・。)」
『愁ちゃん、幸せになってね・・・。」
「」・・・愁也(しゅうや)
『』・・・夏夜(かよ)
“”・・・おばさん(夏夜の母)
()・・・心の声
愁也はお墓に向かって喋りかけている
夏夜の返答は愁也には聞こえていない
寒いかどうか聞くのは川で亡くなったため
おばさんが愁也を呼びにくる
後半の夏夜の言葉も聞こえてはいないが声が聞こえた気がするといって愁也は後ろを振り向く
だが気のせいだと思いそのまま歩き始める
そして再び声に出さずにお別れを告げる
夏夜も去る愁也の背中に向かって願いを言葉にする
【完】
最後まで読んでくださりありがとうございました。
久しぶりの更新になってしまい申し訳ありません。
『うん、そうだね。』
「花火大会ももうすぐだね・・・。」
『うん。』
「おばさんが今年も一緒に行こうって誘ってくれたよ。」
『あはは、お母さん愁ちゃん大好きだからね。
“あんたいつ結婚するの?”ってずっと言われてたから。』
「俺また身長が伸びたよ、6センチも。」
『えぇー、また伸びたの?キスするときいつも大変だって言ってるの愁ちゃんなのにー。』
「夏夜は変わらないね。」
『あたしはまだまだ伸びる予定だったよ、べぇー。』
「・・・夏夜、寒くない?」
『寒くないよ。』
「夏夜は寒がりだったからな。」
『確かに冬はひどかったね。』
「一人で・・・寂しくない・・・?」
『寂しくないよ。愁ちゃんがいつも寂しくなる前に会いに来てくれるから。』
「俺もそんなに頻繁には来れないけど、また来るからな・・・。」
『うん・・・。待ってるね・・・。』
「じゃあな、夏夜・・・。」
“あ、愁也くん。ここにいたのね。”
「おばさん・・・。」
“もうすぐ花火が上がるから探しに来たんだけど。夏夜に会ってくれていたのね。
ありがとう・・・。”
「いえ、俺もそんなに頻繁には来れませんから、会えるときに会いたくて。」
“愁也くんみたいな彼氏がいて本当に夏夜は幸せ者だわ・・・。”
「俺も夏夜さんといれて幸せでした。夏夜さんと過ごした時間は一生忘れません。」
“あの子も雨で氾濫した川で溺れそうになってる子を助けて自分が溺れてしまうなんて・・・”
「夏夜さんはホントに心のきれいな人でした・・・。いつも自分の幸せより他人の幸せを願ってた・・・。そんな夏夜さんだからこそ俺は好きになりました。」
“夏夜も同じことを言ってたわ。『愁ちゃんはね心が綺麗で真っ白なの!ピュアホワイトなの!』って。”
「いえ、俺はそんないい人間じゃないですよ・・・。」
“愁也くん・・・、私はホントにあなたに感謝しているわ。一年たってもこうして夏夜に会いに来てくれて・・・。夏夜もいつも目をキラキラさせて毎日楽しそうに過ごしてたわ。きっとあなたのおかげよ。だからね、愁也くん・・・自分の幸せのこともちゃんと考えてね?いつまでも夏夜につきっきりというわけにもいかないでしょう?あなたもいつか家庭を持つ日が来ると思うの・・・。恋人が亡くなるっていうのはそう簡単に飲み込めるものじゃないと思うけど、でも・・・”
「嫌です。」
“え?”
「俺は夏夜さんと幸せになるって決めたんです。他の女性となんて考えられません。」
“愁也くん・・・。”
「俺の人生を心配してくれるのはすごく嬉しいです。でも俺の人生は俺が決めます。」
“・・・。”
「・・・花火始まるんでしたよね・・・。もう夏夜にも挨拶したんで行きましょう・・・。」
“あ・・・。
(ごめんね、夏夜。あなたが以前、
『もし私が死んじゃったら愁ちゃんにはちゃんと新しい彼女作るように言ってね。』
“あら、何を言い出すのかと思えば。あなたはそれでいいの?”
『うん。だって愁ちゃんの幸せは私の幸せだもん。』
“まぁ幸せそうで羨ましいわねぇ。”
そう言っていたから言ってみたけれど・・・。)”
「おばさん?」
“あ、そうね・・・。行きましょうか・・・。”
『・・・。愁ちゃーん、幸せになんなきゃ祟るぞー。』
「え?」
“どうしたの?”
「いや、いま夏夜の声がして・・・。」
“声・・・?”
「あ、いや気のせいだと思います・・・。すいません。」
“そう?”
「(夏夜、またな・・・。)」
『愁ちゃん、幸せになってね・・・。」
「」・・・愁也(しゅうや)
『』・・・夏夜(かよ)
“”・・・おばさん(夏夜の母)
()・・・心の声
愁也はお墓に向かって喋りかけている
夏夜の返答は愁也には聞こえていない
寒いかどうか聞くのは川で亡くなったため
おばさんが愁也を呼びにくる
後半の夏夜の言葉も聞こえてはいないが声が聞こえた気がするといって愁也は後ろを振り向く
だが気のせいだと思いそのまま歩き始める
そして再び声に出さずにお別れを告げる
夏夜も去る愁也の背中に向かって願いを言葉にする
【完】
最後まで読んでくださりありがとうございました。
久しぶりの更新になってしまい申し訳ありません。