聖書研究は中村姉妹という当時50代くらいの姉妹の家ですることになった。

中村姉妹の家は娘さんと息子も二世で、ご主人は未信者だった。

 

聖書研究にはもう1人、名前は忘れたが20代半ばくらいの年上の姉妹も一緒に。

年上姉妹は奉仕や昼間のバイトがあったので、時間が合う時は車で迎えに来て下さり、中村姉妹の家に向かった。

 

年上姉妹は話しやすく、優しくて良い人だった。

美味しいものの話なんかをして、道中は楽しかった。

 

(余談:母はこの年上姉妹のことをキレイだと絶賛していたのだが、他人を褒める時は決まって私を落とす。「◯◯さんはきれい。あんたは大したことない」とこちらが何も言っていないのに貶す。普通に相手だけ褒めるとことができない。因みに自分が年老いたせいか、私が30歳になったくらいから過剰に褒めるようになった。でも小さい時に言われたことが染み付いているので複雑な心境…)

 

私も当時19歳だったので、小さい時とは違ってエホバの証人の前でエホバの証人でない人の話をするのはあまり良くないと分かっていたが、周りはほぼ"世の人"なので、つい「私の友達も」なんて言ってしまう。

そうすると中村姉妹は露骨にいい顔をしなかった。

 

そして、この中村姉妹…とにかく自慢が多いのだ。

 

歳の割に若く、目鼻立ちのはっきりした美人だった。若い頃からチヤホヤされてきたんだろう。

だけど何を話しても鼻につく。

「私ってね、昔からこうなの。どう?すごいでしょ?」と褒めろオーラ全開。

それもニコニコしながら話すのではなく、真顔で(ドヤ顔で?)淡々と自慢話を並べるのだ。

ニコニコしてくれていたら、こちらも釣られて笑えるのだが、真顔なので怖い。褒めないともっと怖くなる気がして、いつも気を遣って疲れて帰って来ていた。

 

もう、姉妹の自慢話を聞きたくなさすぎて、勉強の方が100倍マシだから早く聖書に集中してくれと願ったほどだった(笑)

 

そして誰にでもそんな調子でペラペラ自慢をするので、集会で姉妹が話しかけようとするとみんな避けるようにサッと帰っていたのも印象的だった。

 

年上姉妹が来られない日は1人で電車で中村姉妹の家に行った。

私はスピリチュアルなことは全く分からないし、幽霊を見たこともないが、中村姉妹の家は場所も、家の中も、どことなくどんより暗〜い雰囲気で、1人で行く日は憂鬱だったことを覚えている。

帰りの電車でもため息が出るような気持ちだった。

 

エホバの証人、全然おもんないなー…

集会でも同世代の人と話す機会もなく、ただ母と行って帰るだけ。

なるべく挙手をして発言して頑張ったが、直接目を合わせたり話しかけてくれる人はいなかった。

小さい時はみんな優しかった印象だったが、歓迎ムードもなく、ちょっとがっかりしたのは事実。

 

またまた余談だが、中村姉妹の息子さんは、確か当時25歳くらい。

エホバの証人なので当然定職についておらず、奉仕の合間にコンビニでバイトをしていると聞いた。

おしゃべりで明るい中村姉妹とは正反対で、こちらから挨拶をしようと思ってもいつもスッと目を逸らされ、いつも青白い顔をして物凄く陰気な人だった。誰にも挨拶もせず、誰とも話さず、一度も笑顔を見たこともない、負のオーラが漂っている人だった。

 

後に息子さんはタバコを吸ったことがバレて排斥になったと聞いた。

 

 

月日が経ち、中村姉妹の自慢話も相変わらず。

聖書研究をするにあたり、日曜日の集会に出席するためバイトのシフトを変えてもらうように交渉した際「若いのに何で出られないの!?何の用事なの!?」と散々文句を言われ、バイトとエホバの板挟み。

土日は稼ぎ時だから、長くするならまだしも、時間を短くしてくれなんて迷惑な話だったと思う。

 

エホバの記念式に出席した際、驚いたことがあった。

 

当時バイトしていた所は昼過ぎまでは主婦のパートさん、それ以降は私たち若者がアルバイトで入っていた。

ほとんどのパートさんは優しい方だったが、1人だけすごく苦手な人がいた。

私だけでなく他のバイト仲間も同じだった。

 

なんと、そのパートさんが記念式にいたのだ…

それまで私の中ではエホバの証人=優しい人 のイメージだった為、青天の霹靂だった。

しばらくショックから抜け出せなかった。

 

そんなこともあり、いつまで経っても集会でも馴染めない。

次の受験があったため為そちらに注力するようになると、聖書研究が途端に煩わしくなり、1年弱でやめてしまった。

 

前回の話から何が言いたいのかというと、エホバの証人に限らず、宗教に足を踏み入れるのにはそれなりの心や性格の問題があるということ。

 

家庭環境が悪い、夫や妻と上手くいっていない、他力本願、私のような現実逃避など…

 

心に問題があるから何かに縋りつきたくなり、踏み入れて、のめり込む。

狭い世界の仲間はできるかもしれないが、失うものがたくさんある。

宗教によっては多額のお金を水に流す人もいるだろう。

でも、お金ならまだ取り戻せる。

そこにかけた時間は二度と取り戻せない。

 

エホバの証人は一見物腰が柔らかく穏やかそうな人も多いが、やはり変な癖を持っている変わり者、病んでいる人も一定数おり、何より母自身がまともじゃないことを証明している…。

 

現在母が仲良くしている若いエホバの証人は、ご主人の束縛が激しく自宅での仕事しか許さないそうで、家でネイリストの仕事をしているらしい。

母も練習台になるついでに爪を可愛くしてもらっている。

 

「その子ね、めっちゃくちゃ可愛いの!でも旦那さんが外に出したくないんだって。しょうがないわ、だってあんなに可愛いんだから。」

 

いやいや。それ完全にモラハラだから…逃げた方がいいやつ。

そう教えても、「そんなんじゃないから」と否定。

 

母は昔から考えが幼稚で、人を判断する時は基本的にキレイか、ブスか、二択しかない。

 

◯◯さんはすっごく頭がいいけど、可哀想なくらいブサイク

××さんとこ良いお嫁さんが来たらしいけど、ブサイクで、子どももできないみたいで。でもすごく優しいんだって。

⚫︎⚫︎ちゃん、可愛いけど肌が黒い。フィリピン人みたい。

 

私が家に連れてくる友達に対してもこんな感じだから、本当に嫌だった。

 

とまぁ、これが自分の親だと思うと泣きたいを通り越して情けない。

もしかしたら、母も親に貶されて育ったのかもしれない。

 

悲しいかな。

実は父親も似た所があり、TVを見ながら「この女優はキレイやわ〜」「こいつの顔気持ち悪っ」などとよく大きな独り言を言っていた。

父親は子供を貶すようなことは一度もなかったので母親よりはまともだが、ちょっとおかしい所もある…その両親のルッキズムが私を壊すことに繋がる。それはまた今度。

 

母が集会に来る子どもたちは本当におりこう。なんて言っていたから、「騒いだら帰ってからホースで叩かれるからでしょ?」と言い返したけど完全否定された。

いや、そうやん。

あんたもそうして来たやんか。

 

かなり脱線したけど、(いつもか)2度目の入信の話はこれで終わり。