元モデルで女優の奈緒さん主演、映画「先生の白い嘘」が7月5日に公開されました。 男女の「性の不条理」を描き、奈緒さんの体当たり演技が注目を集める一方で、公開前日に明らかになったある事実が波紋を呼んでいます。

R15+指定の同作で、奈緒さんは性的描写を含む演技に挑んだのですが、撮影にあたり、奈緒さんから「インティマシー・コーディネーター」の導入を要請。しかし、三木康一郎監督はこれを拒否したことが、ネットメディアのインタビューで明らかになったのです。

インティマシー・コーディネーターとは、映画やドラマなどで身体的接触や露出が多いシーンが必要な場合に、演出側と演者側のそれぞれの意向を聞き取って制作を円滑に進める、いわゆる調整役です。 近年、欧米を中心に導入が進み、日本では2022年10月期ドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」(フジテレビ系)で地上波プライムタイム作品として初めて導入されました。

「先生の白い嘘」の撮影は2022年に行われており、当時、インティマシー・コーディネーターはすでに業界で認知され始めていた状況でした。脚本を読んだ奈緒さんが導入を希望したのは自然な流れと言えるでしょう。

しかし、三木監督は奈緒さんの要望を却下。 その理由について、「間に人を入れたくなかった」「理解し合ってやりたかった」と語っています。また、「描写にも細かく提案させてもらいました。性描写をえぐいものにしたくなかったし、もう少し深い部分が大事だと思っていました」とも述べています。

しかし、映画ライターは三木監督の説明に疑問を投げかけます。 インティマシー・コーディネーターは、俳優と監督の間に立って円滑なコミュニケーションを図る役割を担います。三木監督が奈緒さんの意見を尊重し、より良い作品作りを目指していたのであれば、なおさらインティマシー・コーディネーターの導入を検討するべきだったのではないか、という指摘です。

実際、奈緒さんは撮影中に相当な葛藤を抱えていたようです。 インタビューでは「少なからず傷つくことはわかっていました」と語り、覚悟を持って決断に臨んだことが伺えます。

芸能記者は、奈緒さんがオファーを受けた当時の状況を推察します。 当時、奈緒さんはまだ連ドラ主演経験がなく、女優としてブレイクしたいという強い思いがあったのではないでしょうか。もし、現在のように売れっ子俳優であれば、インティマシー・コーディネーターなしでの撮影を受け入れたかどうかは微妙なところでしょう。

映画「先生の白い嘘」は、芸術性と倫理の間で揺れる映画人たちの葛藤を浮き彫りにした作品と言えるでしょう。 公開後、どのような評価を受けるのか注目されます。