## 灰燼

2017年2月16日、埼玉県の三芳町。事務用品通販アスクルの物流倉庫を、灰燼に帰した火災。その原因は、段ボール回収作業における人為的なミスと判明した。

損害賠償を求めて訴訟を起こしたアスクルと、愛知県清須市の紙加工会社「宮崎」。東京高裁は、一審判決よりも約43億円増額となる、約94億円の賠償命令を下した。

火災は、宮崎の従業員が段ボールを回収する際に発生。一審では、火災報知機が誤作動と誤解してスイッチを切ったアスクル側の過失も認められ、2割の責任を負うと判断された。しかし控訴審では、アスクル側の過失は3割5分に引き上げられた。

燃え盛る炎、立ち上る黒煙。物流倉庫は、一瞬にして焦土と化した。そこに残ったのは、灰と化した段ボールの山と、焼け焦げた鉄骨の骨格だけだった。

この火災によって、アスクルは莫大な損害を被った。商品や設備の損失だけでなく、事業の中断による機会損失も計り知れない。

一方、宮崎にとっても、今回の判決は大きな痛手となるだろう。94億円の賠償金は、決して小さな金額ではない。

今回の判決は、火災の恐ろしさを改めて認識させてくれる。同時に、企業の安全管理責任の重要性を浮き彫りにする。

灰燼の中から、何を学ぶべきなのか。二度とこのような悲劇が起こらないよう、関係者はしっかりと教訓を胸に刻まなければならないだろう。