八尋がそれほどまでに飲酒運転を憎むのには理由があった。
奥手の八尋は大学時代、初めて彼女が出来た。
彼女といれる毎日がとても安らぐ時間だった。
その日も八尋はいつものように彼女を車で大学まで送りに出た。
大学まで送って行くつもりだった八尋だが彼女に
「もうここでいいよ。後は一人で行けるから」と言われて、彼女を大学の近くまで送って家まで戻った。
だが、彼女と話すのがこれが最後になるとは八尋は思いもしなかった。
次に彼女に会ったのは、言葉を話すことも目を開けることもない無惨な姿だった。
彼女は八尋に大学の近くまで送って貰った後にすぐ交通事故にあったのだ。
八尋は自分を責めた。
どうして彼女を大学まで送って行かなかったのだろうと・・・
彼女の交通事故の原因は心ない飲酒運転をしていたドライバーに殺されたのだった。
だから彼は必要以上に飲酒運転を憎んでいたのだ。
八尋はそれから彼女を作ろうとしなかった。
自分が大学まで送ってあげれなかったせいで彼女は亡くなった。
その自分を責め続けていたのだ。
人気ランキング にクリックして頂けたら嬉しいです。