手振る先に | ~バカだからこそ伝えたい~柳生龍の作家手帖|小説や詩、坂本龍馬のファンに贈るブログ

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柳生龍と木夕が執筆した小説や詩、坂本龍馬に関する情報をお届けします。柳生龍の作家への道のり

日常には、何かと面白いことが潜んでいるものだ。

とある本屋で雑誌の購入をしていたときのこと。
その本屋は都内の大型店舗で、レジも30箇所ぐらいあるため、
お客さんが少ないときは「レジ休止」の札を掲げているところも多い。

私がお会計をしている最中にレジがあわただしくなってきており、
今まで休止にしていた隣のレジに店員さんが立ち始める。

おそらく25歳ぐらいの男性。
風がとおり抜けるようなさわやかな笑顔を持つ店員さんだった。

さきほどまで別の作業をしていのだが、
敏感に察知して、すぐにレジを開ける謙虚な姿勢は
なかなか意識してできるものではない。

彼は、会計用のトレイを持ち上げて、
大きくそれを振りながら、他に並んでいるお客さんに向かって、
呼びかけた。

「こちらのレジ、空いてます!」

周りのお客さんはすぐには、寄ってこない。

少しでもお客さんに空いていることをアピールするために、
彼はさきほどより大きく大きく手を振る。

そのおかげでトレイの裏にあった「レジ休止」の文字がとても輝いて見えた。