日常には、何かと面白いことが潜んでいるものだ。
とある本屋で雑誌の購入をしていたときのこと。
その本屋は都内の大型店舗で、レジも30箇所ぐらいあるため、
お客さんが少ないときは「レジ休止」の札を掲げているところも多い。
私がお会計をしている最中にレジがあわただしくなってきており、
今まで休止にしていた隣のレジに店員さんが立ち始める。
おそらく25歳ぐらいの男性。
風がとおり抜けるようなさわやかな笑顔を持つ店員さんだった。
さきほどまで別の作業をしていのだが、
敏感に察知して、すぐにレジを開ける謙虚な姿勢は
なかなか意識してできるものではない。
彼は、会計用のトレイを持ち上げて、
大きくそれを振りながら、他に並んでいるお客さんに向かって、
呼びかけた。
「こちらのレジ、空いてます!」
周りのお客さんはすぐには、寄ってこない。
少しでもお客さんに空いていることをアピールするために、
彼はさきほどより大きく大きく手を振る。
そのおかげでトレイの裏にあった「レジ休止」の文字がとても輝いて見えた。