起業の選択肢①~どのような起業のやり方があるのか~ | 福岡の弁護士 矢口耕太郎のブログ

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こんにちは!弁護士の矢口です。

今日は「起業」についてのお話です。

よく起業したい!と言われる方から「個人でやるか、株式会社でやるか迷っているんだけどどちらがいいですか?他に方法はあるのですか?」と聞かれることがあります。

これから、起業のやり方について、少し検討してみます。

まず、「今の法律では,どのような起業の方法があるのか」について考えてみましょう。

大まかに分けると、4つの方法があります。

1 個人事業
 1つ目に、「個人事業」として起業する方法があります。自分でビジネスを始めることで、一番分かりやすいですね。よく「自営業者」といったりします。
 個人事業には、自営業者のほかにも、継続的に下請をする業者さんや保険の代理店など、雇用でない契約によって他の人の事業に従属する人も、雇用でなければ個人事業です。プロ野球選手も個人事業者になります。

2 株式会社
 2番目に、株式会社を作るという方法があります。
 会社のことを「法人」といいますが、別にビジネスをするための法人組織を作って、その中でビジネスを始めるやり方ですね。
 株式会社は、正式には「細分化された社員権である株式を有する株主から,有限責任の下に資金を調達して株主から委任を受けた経営者が事業を行い,利益を株主に配当する,法人格を有する企業形態」のことをさします。
難しい言葉ばかり並びましたが、定義にはいろんな本質が書いてあってとても大事です。
 株式会社の所有権の証である株式をいろんな人が持つことができるということ、責任は投資の範囲でしか責任を負わないこと、会社で出た利益は株主に配当することなど、株式会社法でいろいろなことが定められています。
    
3 持分会社(合同会社(日本版LLC),合名会社,合資会社)
 3番目に持分会社を作って経営するという方法があります。
 昔は醤油屋や酒屋さんなどの小さな会社で「合名会社」「合資会社」という言葉が使われているのを聞いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。平成18年になって、「合同会社」という方法で会社をつくることができるようになりました。

 持分会社というのは3つに分かれていまして、
① 出資額を限度として責任を負う社員だけから構成される会社のことを合同会社

② 出資額を限度とせずに、無限責任を負担する社員だけから構成される会社のことを合名会社

③ 無限責任を負担する社員と有限責任を負担する社員から構成される会社のことを合資会社
といいます。

 難しい言葉が3つ続きましたが、合同会社は有限責任というメリットを生かして株式会社のような複雑な手続きが随分簡単になっている部分があるので、今注目されています。
 

4 LLP(有限責任事業組合)
 4つ目にLLP(有限責任事業組合)というのがあります。これはリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップといって、事業を目的とする「組合契約」を基礎としてつくられたものです。
 このLLPは、平成17年にできた新しい種類の起業のやり方です。会社ではないのですが、「パス・スルー」という課税の方法が特徴で、複数の企業が共同で事業をしたりする場合に有効な方法とされています。

起業は、原則として1~4の中から選んで起業することになります。

この他に、NPO、学校法人、医療法人などもありますが、これらはビジネスを目的としたものとはされていません。
    

次回は、どういった視点で起業方法を選んでいくかを考えてみましょう。