不倫事件はこのように考える~「不貞な行為」とは何なのか~ | 福岡の弁護士 矢口耕太郎のブログ

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こんにちは!

最近、不倫をめぐったトラブルの相談を受けることが多くなってきました。

例えば
「夫の浮気相手の女性に対して慰謝料を請求したい」

逆に
「離婚していると思って付き合っていたら、実は奥さんがいて慰謝料を請求された」

「不倫が発覚して、夫がどうしても許せない、離婚したい」

といった相談ですね。

 そこで、今日から「不倫を巡るトラブル」について深く調査してみて、それを専門家でない方は勉強しなくてもわかるように、わかりやすく伝えてみる努力をしてみたいと思います。

 最初のテーマは「法律上許されない【不倫】というのはなんなのか」です。

 法律上は「不倫」という言葉は出てきません。
 その代わりに「不貞な行為」という言葉が民法770条1項にあります。
 この不貞な行為というのが、一般的に言われている「不倫」と同じ意味です。

 法律では、夫婦のどちらかに「不貞な行為」があったときには離婚の訴えを提起できると書かれています。
 慰謝料を請求できるとは書いてありませんが、最高裁判所の判決で、不貞な行為があったときには原則不貞の相手方にも慰謝料を請求できるとされています。

 それでは、その大前提となる「不貞な行為」(不倫)とは何なのでしょうか。

 裁判例ではほとんどのケースが「肉体関係がある場合」が問題となってきます。
 
 ただし、不貞な行為=肉体関係かといわれるとそうでもないケースもあります。裁判例をみていると、肉体関係と明確にいえなくとも、「同棲」や「肉体関係と似たような行為」があったと認められる場合には、不貞な行為にあたると考えられているようです。
 最高裁判例をみても「肉体関係」と記載したものも多いですが、必ずしもそれには限られていません。

 それでは、不貞な行為を定義づけるとしたらどのように考えるのが良いのでしょうか。

 最高裁の平成8年3月26日の判決では、「不貞な行為」が不法行為になる理由は、「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するから」とされています。
  
 このような最高裁判例の趣旨から考えると、

 不貞な行為というのは「客観的に見て、婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為」と定義することができそうです。

 文献を見ますと、安西二郎裁判官は上記の観点から
「不貞な行為」というのは
 ①性交又は性交類似行為
 ②同棲
 ③X(配偶者)の立場に置かれた通常人を基準として、夫婦間の婚姻を破綻に至らせる蓋然性のある異性との交流、接触をいう

 と解すべきであると結論づけています。 

 確かに、最高裁判例の趣旨から考える限り、安西裁判官の定義付けは納得できるものがあります。
 
 この定義づけからすると、
 
 簡単に「不貞な行為=肉体関係」だからそれ以外は怪しいことがあっても大丈夫だろう、とはならないことになります。

 あまり配偶者以外の異性と遊び続けてることが多くなると、ある日突然トラブルになって「不貞な行為」があったとされるかもしれません。
 
 不倫でトラブルにならないためにも
 とにかく「夫婦の平和で円満な生活」を続けることが一番大事ですね!