事実婚と相続 | 美しが丘の行政書士の『美しき』日々

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札幌市清田区美しが丘で開業した行政書士の日常を公開!たまに真面目な話もします。
平成24年10月に事務所が中央区に移りましたが、依然「美しが丘(在住)の行政書士」です。

今日は午前中に運輸支局に行き、登録申請と車検証再発行を。

午後は道庁、ANTAに行き旅行業登録申請について聞き取りしてから、その打ち合わせ。

昨日今日と移動距離がすごいことになってますね~。車ですが。



さて、午前の車検証再発行は相続案件で、被相続人の車検証が見当たらない!ということで、イレギュラーな形の申請でした。
戸籍謄本の原本を使いたくなかったので、コピーでトライしてみたら、特に何も言われず受理。
これで次のステップにすすめます




ところで、テレビでは某有名俳優さんの事実婚話が取り上げられているので、今日は事実婚と相続について少し触れてみたいと思います。


事実婚、いわゆる内縁の妻・夫というやつですが、様々なライフスタイルがあり認められている現代社会では、わりと法的に保護されています。

なぜかというと、日本の婚姻制度は、婚姻は実質的に判断し(生計が同一か、同居しているかなど)、離婚については形式的に判断(偽装離婚を防ぐため)しているからです。

代表的なところでは、相続人に対し、内縁の妻が居住権を主張できる場合があったり、内縁関係の破棄は不法行為に当たるとして慰謝料請求ができたり(某有名俳優さんのケースはまさにこれですね)・・・。

特別法や判例では結構内縁に対し寛容な姿勢です(重婚的内縁だって認められたりします)。


ただ、法が頑なに認めていないのは、「内縁の妻の相続権」です。


配偶者は法定相続分があり、手厚く保護されています。それに対し、内縁の妻はどんなに献身的に(内縁の)夫に尽くしていても、法的に保障された相続分はありません。

例外的に「特別縁故者」と認められて相続できるケースもありますが、被相続人に子供も親も兄弟もいないなど、極めて稀な場合です。


また、内縁の妻との子も相続で不利益を受けるおそれがあります。

内縁の妻との子(認知しても「非嫡出子」となります)の他に、法律上の婚姻関係がある夫婦間に生まれた子(「嫡出子」)がいた場合、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の半分になってしまいます。

ただ、民法のこの規定(民法900条4項ただし書)は、最高裁で合憲とされたものの民法改正の話が出た時にはいつも廃止の議論がされるところですので、今後変わってくる可能性はあります。


このように、事実婚の場合は相続で不利になることが多いですから、事前に対策を打っておく必要があります。

その最たるものは「遺贈」でしょう。

遺言書で、財産を内縁の妻・夫に「遺贈する」旨の記載をすれば安心です(遺留分には注意)。



何らかの事情があって、事実婚を続けざるを得ないまたは事実婚の期間が長い、という方は、遺言書を作っておくのが相手に対する思いやりだと思います。