知っていますか?認知症と歯周病の関係 | 第二薮本歯科医院のブログ

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こんにちは。

歯科医師の坂上です。

 

歯周病は「国民の7割が罹患している」とも言われる感染症です。

歯周病はさまざまな病気との因果関係がすでに確認されており、特に近年、歯周病と認知症の関連は注目を集めています。

歯周病菌が、認知症を発症・進行させるしくみが明らかとなっており、歯周病に悩む人にとっては心配なニュースです。

 

認知症とは?

認知症は脳の老化による物忘れとは違い、何らかの病気によって脳の神経細胞が傷つき破壊されて起こる症状や状態をいいます。

認知症が進行すると、徐々に理解力や判断力がなくなり、日常生活に支障をきたします。

国内における認知症患者数は、年々増加しており、今後5年ごとに100万人ずつ増えると予測されています。2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれています。

認知症のうち、全体の約70%はアルツハイマー型認知症です。ほかに、脳血管型認知症は約20%、レビー小体型認知症は約4%です。

 

アルツハイマー型認知症は、脳に「アミロイドβ」という異常なたんぱく質が、長年少しずつ蓄積されることによって発症するいわれています。

 

通常、「アミロイドβ」は分解されて排出されるのですが、何らかの理由で排出されずに蓄積してしまうと、脳の情報伝達が悪くなり、脳の機能が低下して神経細胞を死滅させてしまうのです。

認知症を防ぐためには、「アミロイドβ」の蓄積を防ぐ必要があります。

 

 

 

歯周病菌が発症因子「アミロイドβ」の生成・蓄積を促進させる

九州大学などの研究チームは、歯周病菌が体内に侵入し、認知症の原因物質「アミロイドβ」が脳に蓄積して記憶障害が起きる仕組みを解明しました。

 

研究では、3週間にわたって歯周病菌を直接投与したマウスと正常なマウスの脳血管や脳細胞に蓄積された「アミロイドβ」の量を比較しました。

投与によって歯周病に感染したマウスには、アミロイドβを脳内に運ぶ受容体が脳血管の表面で約2倍に増加し、脳細胞のアミロイドβ蓄積量が10倍に増加する変化が表れたほか、記憶実験により記憶力が低下していることが確認されました。

 

近年、認知症と歯周病の関係に関する報告が多数なされてきましたが、この研究によって、歯周病菌が全身に運ばれ、「アミロイドβ」が生成・蓄積されるというメカニズムが明確になりました。

 

また成人で歯を失う原因のうち、最も多いのが歯周病ですが、歯が抜けている本数が多いほど認知症を発症しやすいこともわかっています。

 

つまり、歯周病の治療や予防で、認知症の発症や進行を遅らせることができる可能性があります。

 

認知症を予防する方法や薬の開発が望まれますが、まずは、毎日のブラッシングと定期的なメインテナンスによって、認知症を予防しましょう。

 

歯を守るだけでなく、ご自身の健康を守るために徹底した専門的な歯周病治療・予防を行っていただきたいと思います。

 

何かご不明な点がございましたら、ぜひ当院にお気軽にお問い合わせください。