皆さん、こんにちは。
歯科医師の坂上です。
前回のブログにて、口腔中には約700種、100億個の細菌が常在していると説明させて頂きました。
こうした口腔内細菌が歯周病やむし歯といった歯を失う原因となっているのです。
当院では特に歯周病の治療にあたって、
「位相差顕微鏡(いそうさけんびきょう)」
という装置を使用して口腔内細菌の種類や量等を観察して頂き、患者さまのお口の中の状況を徹底的に調べる取り組みを行っております。
患者様が抱える歯周病菌の種類を把握し、確実な歯周治療を実現するために、位相差顕微鏡を用いた検査を行っています。
位相差顕微鏡検査を導入しているクリニックはまだ少ないのではないかなと思います。
今回は、その検査内容についてご説明します。
位相差顕微鏡とは、位相差観察を行うための精密機械です。
通常の顕微鏡による観察では、細胞を観察するために染色を行いますが、染色する際に細胞が死んでしまい、生きた細胞の姿をそのまま観察することができません。
しかし、位相差観察では、光線の位相差(波長などの違い)をコントラストに変換して、光の回折や干渉を利用し、染色することなく、細胞や細菌などを観察することができます。
それによって、生きた細菌をそのまま観察することが可能になります。
検査方法は下記の通りです。
1. 患者様のお口の中にあるプラーク(歯垢)を採取する
2. プラーク(歯垢)をプレパラート(透明のガラス板)に置く
3. 位相差顕微鏡に設置する
4. 位相差顕微鏡に接続されたモニターで細菌の動きをリアルタイムで観察する
位相差顕微鏡による検査は、もちろん全然痛くありませんし、時間もかかりません。
日常生活では見ることのない細菌を生きた状態で観察できるため、歯周病のなりやすさや現在の状態がわかり、今後の治療計画に役立ちます。
また、位相差顕微鏡による画像(動画)は、ご本人にご確認いただくことも可能です。
お口の中の状態をリアルタイムでご確認いただくことが、わかりやすい説明と正しい理解につながります。
お口の中は何億と数えきれないほど細菌がいっぱいです。
誰のお口の中にも生息しています。
害のない常在菌がほとんどと言われていますが、この位相差顕微鏡を使用することで、歯周病の原因になる細菌が鮮明に観察することができます。
当院では、どなた様に対しても位相差顕微鏡を使って細菌の観察をしていただくことができます。
口の中のプラークをほんの少しだけ採って顕微鏡にセットして観察するだけです。
「自分の口腔内細菌が見たい!」とおっしゃっていただければすぐに見れますので、スタッフまでお申し出ください。
実際に自分の口の中の細菌を目の当たりにすると、日頃のブラッシングだけでは十分でないことがわかると思います。
歯周病を起こす細菌は口腔常在菌なので、すべての歯周病原菌をゼロにはできませんが、極力数を減らすことが歯周病の進行を抑えたり、再発を少なくすることにつながります。
やはり大事になってくるのは歯科医院でのプロフェッショナルケアです。
日々のブラッシングはご自身でしっかりと行っていただきながら、定期的な歯科医院でのメンテナンスをお勧めいたします。
位相差顕微鏡は、口の中の細菌をリアルタイムで観察できるものすごい顕微鏡なんです!
是非当院にいらっしゃった際には、位相差顕微鏡でご自身の口腔内細菌を観察してみましょう!
みなさんもお口の中の世界を見てみませんか?