ゆうたさいとうのブログ

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ポルトガルサッカー

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ポルト対アロウカ
スコア 4-1(クアレスマ2 エドゥアルド1 ジャクソン1)

パウロ・フォンセッカ監督解任後の初めての試合。新しく指揮をとるのはBチームから昇格したルイス・カストロ監督。彼によってもたらされた新戦術を解説します。

まず、フォンセッカ期の1番の問題はTwitterに何度も書いている通り、「バイタルに選手が足りないのに両ウイングがひたすら無意味なクロスを放り込む所」です。新監督はこの得点の匂いのしない攻撃の仕方をチーム全体の課題として修正してきました。

正解を出す前に、まずはその修正を導くための、攻撃時のチームの動きをまとめてみました。鍵となるのはチーム全体としての取り組みだという点です。

1.両センターバック(マイコン・アブデュルイエ)を左右ワイドに開かせ、かつ、ハーフライン辺りまでかなり高い位置をとらせる。GKのエウトンもPKエリア外まで高い位置をとり、パス回しに参加。

2.それによって両サイドバック(ダニーロ・マンガラ)をウイングの位置にまで押し上げる。

3.サイドバックがウイングの位置に入るため、両ウイング(バレーラ・クアレスマ)はセンターハーフか?というほどまで中に絞る。

上記のチーム全体の取り組みにより、バイタルに選手を増やすことに成功。また中盤の人数が増えたことで、両センターハーフ(エドゥアルド・デフォー)の自由が効き、彼らの敵ディフェンスライン裏への飛び出しが増えました。

以上、仕組みを解説しましたが、ルイス・カストロ新監督によるチームの修正は
A.両ウイングが中に絞ったこと
B.両センターバックの位置がかなりワイド&高くなったこと
C.上記の2点により、サイドバックがウイングの役割(クロスも含め)になったこと
の3点です。

そしてこの修正により以下の効果がもたらされます。

まずはAの両ウイングが中に絞ったことで
1.今までジャクソンだけだったクサビの的が増えた。
2.空いたスペースに、センターバックの動きによって押し上げられた両サイドバックが侵入。クロスを上げる役割がサイドバックになり、ウイングは中でクロスに合わせる・パス回しに参加する側に。
3.中の枚数が増え、サイドバックが持ったときのパスコースが増える→サイドの崩しがよりスムーズに。サイドをサイドバックとウイングとセンターハーフの3人で崩す意図が見られるようになりました。「3人でサイドを崩す」というのはあのアンドレ・ビラスボアス監督が得意としている戦術ですね。

よって、前監督期よりも、特にサイドの連携がスムーズになりました。またバイタルに人が増えたのでクロスに得点の匂いを感じられるようになりました。

続いて、Bのセンターバックの位置がかなりワイド&高くなったことについてです。この利点は言うまでもなく、前線の攻撃の枚数を増やせることです。恐らくフォンセッカ監督はこの超ハイラインディフェンスを採用することを恐れたのでしょう。かなりリスクの高い守備方法だからです。ルイス・カストロ監督の勇気ある決断です。
しかし、やはりそのリスクが形になって現れていました。中盤でボールを失ったときやオフサイドトラップにかけることに失敗したときに何度か失点の危機を迎えていました。ベンチ脇からルイス・カストロ監督がラインの修正を細かく指示していたし、ボールが止まった時間にも、マイコンとアブデュルイエの両センターバックを呼んで修正させていました。このリスク管理は改善しなくてはならない主要ポイントです。

最後にCのサイドバックがウイングの役割になったことについてです。
サイドバックのクロスの役割が大きくなるため、彼らのオーバーラップが遅れるたときに、攻撃が停滞している場面が多々ありました。特にクアレスマ→ダニーロのコンビで、ダニーロが遅れたためにクアレスマがパスを出せないシーンが2度3度見受けられました。


以上のように、まだまだ修正点が多い戦術です。後半疲労してくると後手後手になる場面や、監督交代前のの単純な攻撃に戻ってしまう場面もありました。しかし、今日の得点数からわかるように、フォンセッカ監督の頃よりも得点の匂いは感じた戦術です。


<キープレイヤー>キンテーロ
決して僕の主観が混ざっているわけではありません。この試合で最も輝いていたのがこの途中出場を果たした10番だったのです。
ルイス・カストロ新戦術のセンターハーフには、同サイドのサイドバックとウイングに絡むことだけではなく、前線に飛び出すダイナミズムが求められています。そういう意味で監督はジョズエよりキンテーロを選んだのでしょう。たぶんBチームでよく見ていたことも関係すると思います。今日のパフォーマンスを見る限り、フォンセッカ前監督が重宝したカルロス・エドゥアルドよりも可能性を感じました。もしキンテーロが今後レギュラーをとらなかったら目を疑います。あのパンチ力のあるミドルも、ディフェンスラインの裏へのスルーパスも彼にしかできません。


もろもろ課題は見つかったものの、今回はポルトガルリーグ下位のアロウカを相手によいサッカーを表現することができました。
次の木曜日はヨーロッパリーグのナポリ戦が控えていますが、真価が問われるのは、この強豪との試合ででしょう。あのハイラインだと、イグアインに裏をとられてボコボコにされる気がします。

ルイス・カストロ新監督が強豪相手にどのような戦術を採用してくるのか。それは今月のスポルティング戦及びベンフィカ戦にも関わることなので、ぜひ注目して見ていきたいです。

Yuta Saito
Twitter@yutasaito_pt


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