
最近荒川の土手で稽古をしております。
なぜ、荒川の土手で稽古してるのかと申しますと理由は一つ
大声を出しても、近所迷惑にならない。
これです。
私は大概夕方から深夜にかけて、荒川の土手に出没いたします。
先日もいつも通り、稽古をしておりました。
そんときは、厩火事でした。
私は目をつむりながら、稽古するのですが
その日は、急に気配を感じました。
なんだろうと思って、目を開けると
人が立っておりました。
なんだこいつ。
よく俺に近づいてこれたな!
こいつ普通じゃないと
ゾッとしました。
私はここで落語をやめたら、こいつの思う壺だと思い、声の大きさを最大にし、ほぼ絶叫状態で落語をやりました。
どうだ!
去れ!
と念じながら、様子を伺っておりました。
まだ、去りません。
そいつは、懐中電灯を持っていたのでしょう。
それを点灯し、
あろうことか、私の顔面にライトをぶち当ててきました。
こいつ、ほんもんだ!
死を覚悟しました。
私は上下を切りながら、
こいつの正体を見極めようとしました。
そして、厩火事の中盤で気づきました。
お巡りさんでした。
よかった!
変態じゃなかった!
私は安堵しました。
そして、新たな疑問が浮かびました。
こいつ、なんで黙って聴いてんだ?と
私は確信しました。
こいつ、落語好きだな!
早く言えよ!
そういうことは!
私は喜んで、最後まで演ってやりました。
オチを言い終わり、ドヤ顔でおまわりさんを見つめていると、
お兄さん、落語やってんの?
とお巡りさんが聞いてきました。
そらぁそうだろと思いながら、
はい。演っております。
すいません。
大声で、迷惑でしたか?
と聞くと、
いや、全然いいです!
むしろもっとやって下さい!
どういうことですか?
と聞くと、
ここらへんは、釣り禁止なんですが、夜中こそこそやって来ては、釣りをする輩がいるんですよ。だから、お兄さんが先ほどのように大声だしてるとみんな逃げていきますので、
多いにやってください!
よろしくお願いします!
とお巡りさんは言い残すと、去っていきました。
いや、落語の感想言えよ
と思いながら、お巡りさんの背中を見ていると、くるっと振り返って再び近づいてきました。
おっ。感想言ってくれんのか?
とワクワクしておりましたら、
あっ。あの一応身分証だけ確認してもよろしいですか?
私は舌打ちしそうになりました。
まあ、なにはともあれ、
国の許可を頂き、
荒川の土手を今現在も守らせて頂いております。
何卒よろしくお願いします。
小ふね拝