眠れなかったから
そっと現実世界を飛び出したの

行く宛もなく
グラデーションの空を見上げながら歩いていくと
さまざまな心情の空を飲み込んで
気を掬い上げたような木に
手招きされてためらうことなく近づいたわ


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気丈に白を保つ木を
見上げれば見上げれるほど
私のモヤモヤさえも受け入れてもらえるような気がして
恐る恐る 幹にそっと触れてみた

すぅと
疲れや憤りや不安
名もない感情までも
白い幹へと吸い込まれていき
体が軽くなった。

「ありがとう」

思わず出た言葉に対して

『こちらこそ、声を聞けて嬉しかったです』

と、透き通った声が返ってきた

「また来ても…いい?」

『いつまでもお待ちしています』

その言葉が嬉しくて、自然に笑みがこぼれて
ようやく睡魔が迎えに来た