4.浜田和幸氏の「亡くなる直前の安倍元首相の気になる発言」

元参議院議員の浜田和幸氏が、安倍氏が米国に排除された理由について考察しています。

によると、

『・・・・さて、日本での報道は現行犯逮捕された男の動機を説明しようとするあまり、特定の宗教団体を取り上げる傾向が強いようです。しかし、アメリカや中国ではかなり違った視点から、今回の暗殺事件を取り上げ分析しています。

 1つは、安倍元首相が表向きはアメリカや台湾との関係を強化しながらも、水面下では中国やロシアとのパイプを太くしてきた点です。先にスペインで開催されたNATO首脳会議に現職の首相として初参加した岸田首相が帰国後、真っ先に報告に駆け付けたのは安倍元首相でした。

 というのは、このNATO首脳会議において、岸田首相はアメリカからかつてないほど厳しい要求を突き付けられたからです。詳細は伏せられていますが、アメリカの国務省の責任者からは「対ロ制裁の一段の強化」と「中国との全面対決への備え」を迫られたとのこと。

 この報告を受けた安倍元首相はバイデン政権との関係強化を明言すると同時に、ロシア、中国とのバックチャンネルを活用し、アメリカのいうなりにはならない“第3の道”を模索したようです。

 とはいえ、アメリカや中国の報道を分析すると、安倍元首相のそうした水面下の動きはたちどころにアメリカの察知するところとなり、鉄槌が下された可能性も否定できないと思われる報道が存在するのです。

 もう1つの点は、コロナのワクチンに関するものです。安倍元首相は新型コロナウィルスがパンデミック化した直後から「インフルエンザとあまり変わらない。過剰な反応は必要なく、海外からの訪問客を抑えることも意味がない」との発言を繰り返し、欧米のワクチンに頼らず、「国産のイベルメクチンの有効性に着目すべき」との立場を取っていました。

 今でこそ、アメリカのCDCからも欧州医薬品局(EMA)からも「メッセンジャーRNAワクチンが人の免疫力を破壊し、コロナに限らず各種の病気に罹り易くなるリスク」が指摘されるようになってきましたが、一方でいまだ「ワクチンはコロナの感染予防の切り札」という見方も強いままになっています。そのため、海外メディアからは「ワクチン懐疑派の安倍氏は危険な存在と見なされたのではないか」といった指摘もあります。・・』

そして、

 

 

 

からの引用です。

『・・・日本はアメリカ、イギリス、オランダとも合同軍事演習を通じて抑止力の強化を図っています。表向き安倍氏の主張の基本は日米同盟です。要は、打撃力はアメリカ頼み。そのうえで、自前の反撃力(敵地の中枢機能の破壊)を高める必要を訴えました。

 実は、ミサイル防衛には極めて高度な技術が必要でコストも高くなります。これまで、日本はアメリカの要求を受け入れ、高価なアメリカ製のミサイルやステルス戦闘機などをたくさん買い入れてきました。

 しかし、安倍氏の肝いりで、自前の国防力を強化するため、三菱重工に対し、射程900㎞に延ばすミサイルを開発することになりました。と同時に、スタンドオフに加え、潜水艦発射ミサイルの開発も後押ししています。そのためアメリカの軍需産業は大事な虎の子の顧客を失うことになる、と危機感を抱くようになりました。

 安倍氏曰く「ウクライナ戦争の教訓は①自衛力の強化②同盟関係の強化。同盟国のないのがウクライナと台湾の共通点」。安倍氏の認識では、「アメリカを除くNATOの軍事予算は35兆円。一方、日米合わせて5兆円は少ない」というわけです。

こうした危機感が背景にあり、安倍氏は岸田首相にもことあるごとに防衛費の増額を進言していました。アメリカ製の武器やシステムを購入してくれれば御の字ですが、日本が自前で軍事力を開発、整備することは「アメリカという虎の尾を踏むこと」になりかねなません。しかも、NATO首脳会議の場において、ロシアと中国との対決に備えよと厳命を受けた岸田首相からの報告を受け、安倍氏は腹を決めたに違いありません。それは、アメリカとはケンカはできないが、ロシアや中国とも水面下で手を握るという両面作戦です。

安倍氏はプーチン大統領と28回も面談を重ねていました。曰く「プーチンは現実主義者だ。彼は武力、とくに軍事力とエネルギー力を経済力に転嫁する発想を重視している。理想主義者ではない。ロシアが強くなれるか、弱くなってしまうか、それがプーチンの最大の関心事なのだ。そのことを分かったうえで、手を組めば良い」。

 確かに、プーチン大統領は人にワインを勧めるが自分は飲みません。恐らく、KGBでの訓練の賜物と思われます。ところが、安倍氏が地元山口でプーチンを接待した際、地元名品の「東洋美人」を勧めたところ、「2回も飲んでくれた」というのが安倍氏の自慢でした。安倍氏は「プーチンが自分には心を開いてくれた」と確信したようです。

 ウクライナ戦争で、欧米から経済制裁を受けているロシアです。日本がアメリカの圧力もあり、対ロ制裁を強化しているため、ロシアは日本の国会議員の大半を入国禁止の対象にしました。ところが、安倍氏はその対象から外されていたのです。それだけ、プーチンは「安倍とのパイプは切れない」と思っていたのでしょう。

 逆に、安倍氏からすれば、それだけ信頼されているから、サハリン2の件も含めて、「自分が直接交渉すれば、プーチンも自分のいうことを聞いてくれるはずだ」と考え、水面下での交渉に望みを託していたようです。「プーチンの首を挿げ替える」と息巻くアメリカにとって、安倍氏は目障りな存在と映ったに違いありません。

 一方、習近平国家主席は秋の共産党大会で3期目の信任を得て、中国経済を世界一にすると同時に、台湾統一の実現を目論んでいることは間違いないでしょう。安倍氏曰く「その思いを甘く見てはなりません。ウクライナと台湾の違いは大きいです。領土の一貫性、経済力の違いも無視できません。独立国のウクライナと「一つの中国」の一部である台湾ですから。台湾を独立国として承認する国はごくわずか。ロシアと違い、中国への経済制裁は簡単には行きません」。

 安倍氏は台湾との関係を大事にする半面、中国との関係維持にも腐心していました。日米の離反を試みる中国からはさまざまな特使が日本を訪問しています。なかには習近平主席の懐刀と目される大物もいました。その都度、安倍氏は密かに懇談を重ねてきたのです。彼らは表向き岸田首相や政府の要人との面談は叶いません。

 そこで中国側が最も重視したのが、1期目の首相就任後、真っ先に北京を訪問した安倍氏でした。また、2期目の長期政権下においても訪中し、習近平氏と直接交渉し、国賓として訪日を要請した安倍氏への評価と期待は大きいものがあったようです。台湾との関係を重視する安倍氏を通じて、中国は面子の立つ台湾との統一の落としどころを探っていました。

 安倍氏曰く「中国はアメリカの関与無しで台湾統一を目指しているはず。日本は中国の軍事的侵攻を防ぐ手立てを考える必要があります。重要影響事態から存立事態への格上げも検討すべきです。米軍と自衛隊の共同展開への道筋もつけねばなりません」。これは明らかにアメリカを意識した発言でした。

 その裏で、安倍氏は中国と台湾がギリギリ納得のいく妥協策を練り上げようと動いていたわけです。その要は領土割譲の具体案でした。しかし、この案はアメリカの容認できるものとはなりませんでした。そのことを、死をもって明示したのが安倍元首相だと思われます。改めてご冥福をお祈りする次第です。』

以上の浜田和幸氏の考察は非常に説得力があります。安倍氏が本当に、浜田氏が述べたようなことを考えていたのなら、米国が殺す動機になるでしょう。しかし、以上のようなことを述べているのは、私の知る限り浜田和幸氏人です。浜田氏のいうことが正しいという確信が今のところありません。本文中に「アメリカや中国の報道を分析すると、安倍元首相のそうした水面下の動きはたちどころにアメリカの察知するところとなり、鉄槌が下された可能性も否定できないと思われる報道が存在するのです」とありますが、そのような報道を見つけることが現時点ではできていません。有名どころのPolitico、Foreign-affairsをざっと調べましたが見当たりませんでした。