でんでんこ
東北には でんでんこ の言い伝えがあると言う。
津波の時 家族を迎えに行ったりせずに まず逃げなければならないと言う意味らしい。
しかし多くの人が家族やその他の人たちを救おうとして 命を落とした。
なかでも 消防団の人の犠牲の話には胸の詰まる思いがする。
例えば防潮堤の扉を閉める為に多くの人が犠牲となった。
追悼式典では 父親が家族の無事を確認してから消防団の務めをするために街へ降り 帰らぬ人となったと中学生が話をしていた。
人を助ける事は誰にでもできる事ではないが、でんでんこを実行して家族を置いて自分だけ逃げる事もまた難しいだろう。
NYの同時テロでセンタービルに飛行機が突入した時、ビルにいた多くの人が階段を降りて避難した。
その階段をNYの消防員が 避難する人たちとすれ違って救助のため逆向けに昇って行き そしてビルが倒壊して犠牲となったが、そのテロの時の消防員と津波の時の消防団が重なって感じられる。
太平洋戦争では日本軍が多くの戦闘で壊滅し、僅かに生き残った人が 丸で自分が生き残った事に罪があるかのように感じる場合があると言うが、この津波でも生き残った人が同じように自分を責めてしまう場合があるらしい。
人は人を思いやる気持ちを持っているが その為に命を落としてしまったり、生きている事に後ろめたさを感じたりしてしまう。
しかし でんでんこ だ。
昔々に津波の被害に遭った東北の人たちは 何とかして被害を減らすしかないと感じ でんでんこ と言い伝えを残した。
私達も でんでんこ を伝え残さなければならない。
全く予想もしないような様々な出来事があるだろうが、いつも常にでんでんこを忘れず、生き残らねばならない。