2005年03月08日(火)

玲子の場合 第2章 ACT19

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
 翌日、昼食を兼ねた会議の席に黒岩専務の姿があった。
 1時間しか予定していない会議では昨日のようなセクハラ発言をするものもなく、スムーズに議事が進行していく。
「山下くんの推薦でもあるし、実力は社内でも認められている。課長昇進に関して、特に問題はなかろう。」
 関根は結論付けるように会を締め括ろうとした。

 黒岩は「自分のものになった女を後押しするのか。いい気なもんだ。」と腹の底で毒づいた。
 この会議の内容は辞令が出た後も公表されるはないことに気がついた黒岩は「関根のお古だが、チャンスは逃さない」と昇進問題を利用し、玲子を自分のものにすることにした。
「新入社員の頃、山下と関係があったはずだ。今度は関根のモノを咥えこんで課長か・・・。こりゃ相当体に自信がある女だな。」
 黒岩は勝手な想像で舌舐めずりし、頬が弛んだ。

「専務もご了承頂けますか?」
 山下は、関根と玲子の一夜を知らず、淡々と会議を進めていく。
「幹部の意見は一致ということで役員会に稟議書を回してくれ。」
 それぞれの思惑の中で、玲子の課長昇進は確定した。

 自分の課に戻った山下は稟議書を作成しながら「常務に仕事への情熱を上手く伝えられたようだな」と玲子を評価していた。
 玲子の内示が出たら2人きりで祝杯をあげて、玲子の新入社員の頃に踏み外しかけて思いとどまった昔を、今度こそ思い出に変えるように笑い話にしなくては、と考えていた。

 黒岩はまだ見ぬ玲子の乱れる肢体に思いを馳せ、手に入れるための手段を考えていた。
 自ら尻尾を振って寄りつく女より、てこずる女を落とした方が征服欲を満足させる。
 玲子が簡単に自分の手に落ちるとは思えないだけに、黒岩は何がなんでも欲しくなった。
 黒岩は連れ込んだ玲子が抵抗し、嫌がって逃げ回るところを押さえ付けてでもsexを強制するつもりなのだ。

 黒岩の闘争本能が目覚めた。
 専務という肩書きに媚びを売るように擦り寄ってくる社内の女より、玲子のようなプライドの高い女の鼻を圧し折る方が黒岩の男のサディズムな部分を満足させてくれそうだ。
「山下や関根が乗った女だが、俺の前に平伏せさせて、自ら体の関係を懇願させる淫らな女に変えてやる・・・。関根より俺の方がいいと必ず言わせてやる。」
 何かにつけて関根に負けたくない黒岩は、玲子を誘い出す口実を考えていた。

 その頃、大沢は来週の玲子とのデートに心を弾ませていた。
 大沢の知っている美味い店は洒落た感じではなく、大衆的なところが多い。
 そんなところに玲子を誘って連れていくにはあまりにも不釣り合いな気がしていたが、大沢の給料の範囲で行ける店となると高級なレストランは難しい。
「玲子さんのところの友美ちゃんなら、そこそこ遊んでそうだしな。」
 同年代の勘とでも言うのだろうか、大沢は社内で大人しくみせている友美のプライベートを見抜いていた。
 友美に手頃でお洒落な店を教えて貰おうと大沢は考え、デートに誘うことにした。

 関根は昨夜のことを黒岩に見られていたことを知らずにいた。
 関根は会議の後、玲子の体は関根の妻より格段に魅力的だったのだが、結局不発に終わってしまったことを後悔していた。
 風俗関係でテクニックを駆使して貰うのは関根の中のモラルに反する。
 関根はお金の絡まない関係で男性機能を復活させたいと願っているのだが、玲子にそこまで強制するのは忍びない。

 玲子に与え続けた歓びが、必ず次のチャンスに繋がるはずだと考えて、関根は玲子の体が自然に自分を要求してくるのを待つことを期待した。
 関根の足元で股間に顔を埋め、健気なテクニックを披露する玲子を想像していると、関根の体が微妙に反応する。
 挿入しなかったことで玲子が安堵した表情を見せたことがわかっている関根は、無理強いせずに玲子が欲するタイミングを待つことに決めた。

 昨日、研修に時間を取られていたことと早めに会社を出たことで溜まっている書類に眼を通す玲子は、関根のテクニックが「山下部長からだったら良かったのに」と、ほんの少しの後悔と体に残る甘美な余韻を慈しんでいた。
 関根の男根を挿入されなかったことで、彼への裏切りの思いはさほど感じていない。
 却って、入れられなかったことで安心して乱れきったのかもしれない。
 夕方になっても、まだ完全に納まらない火照りを抱え、軽い眩暈を感じながらも玲子は次々と書類を捌いていく。

 定時を過ぎると友美が側にやってきて、頼んでいた仕事の報告をした。
「昨日までの分、終わりました。」
「そう、ありがとう。お疲れ様。今日の作業終了だったら、もうあがってね。」
 玲子は頼まれた作業を確実にこなす友美を労った。
「やらないといけない今日の作業は終わりましたけど・・・。何かお手伝いすることはありませんか?お疲れのようですし・・・。」
 全身に倦怠感があるのは乱れた一夜の余韻だと言うことを、友美に見抜かれるはずもないのに「何故・・・?いや、バレるはずはない」と動揺した。

「元々低血圧だから顔色が悪く見えるのよね。だから大丈夫よ。ここのところバタバタしたから疲れているだけかもしれないし・・・。」
 玲子は眩暈を隠すように笑った。
「そうですか。それじゃあお言葉に甘えて帰らせて頂きます。でも、あまり無理しないで下さいね。」

「無理は私の意思を無視した、関根常務との一夜よ!愛のない一夜よ!」
 誰かに言えれば、玲子は楽になったのだろうが、喉まで出掛かった言葉を飲み込み、飲み込んだことで更に自分の中に苦痛を強いた。
 当然だが、玲子の体に起きた事実を社内で話す訳にいかない。
 玲子は自分の中のバランスを必死に保とうとしていた。
「えっ・・・?あ、そうね。ありがとう。お疲れ様。」
「お疲れ様でした。お先に失礼します。」

 友美が退席するのを見送った玲子は、課長代理に昇進した直後の体調に似ているのを自覚していた。
 当時、眩暈と軽い貧血のような症状はストレスから来る自律神経失調症と診断されたのだった。
「昨日のことが、消化しきれていないだけ・・・。大丈夫!」
 自分に言い聞かせて、玲子は机に向かった。

 玲子の周りを囲むように吹く風が段々と間隔を狭めていくことも知らず、淡々と仕事をこなした。


 そして、玲子を取り囲む男たちの思惑は、それぞれの方向へ向かい始めた。


---第2章・完---


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2005年03月07日(月)

玲子の場合 第2章 ACT18

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
 奥の和室で官能の世界が繰り広げられ、玲子から発する卑らしい匂いが充満している。
 時間をかけた関根の愛撫で何度も達する玲子は、愛する人との行為より乱れ、体の奥まで揺さぶられるような快感に浸っていた。
 男根を挿入されないsexでも十分に感じ、達することを玲子は関根に教えられたのだった。

 眼を閉じて快感の渦の中にいる玲子には、関根の終わりのない愛撫に身を任せ、幾度となく達しながら、関根の顔と彼の顔が交互に見えるような気がした。
 何故か、山下や大沢の顔は現れない。
 まだ関係を結んでいない男たちは、今起きている現実と交わらないように出来ているのが女なのかもしれない。

 2時間以上玲子の体を弄って舐め回し、玲子を何度もアクメに導いたにも関わらず、関根の男根は最後まで何の反応も見せなかった。
 玲子は、最後までバイブだけで突き上げられ攻められたのは初めての経験だったが、体の満足感を表すかのように放心状態で関根の隣に横たわっていた。

 満足しきった表情の玲子の横で、関根はタバコを取ろうと手を伸ばした。
 関根の体の動きで掛け布団が動き、玲子の肌を撫でる。
「あふっ・・・。」
 玲子は顎を上げて、敏感になった肌の快感を楽しむかのような声を上げた。
「まだ楽しんでいるのか。いい体だな。楽しい時間だった。」
 うつ伏せになりタバコに火をつけた関根は、まだ余韻に浸る玲子の額に唇を寄せた。

 玲子は自分だけ満足して関根がまだだと言うことに気がつき、体を関根の方に向けて、指先で甘えるように関根の胸をなぞった。
 玲子が関根に愛情を感じている訳でもなく、挿入出来なかったことを可哀想に思った訳でもないが、自然に出た仕草だった。

 関根は甘えるような仕草の玲子を想像していなかったので、余計に愛しく見え、腕の中に引き寄せた。
「よかったよ。社内では見ることのない可愛い女の部分を見せてもらった・・・。」
 関根の口から「また今度も」などと野暮な言葉は出ない。
 玲子の方も「次にこういうことになったら、本当に彼を裏切ってしまう」と思っていたので、次を匂わせる言葉が関根から出ないことで安心する部分もあった。

 関根の男性機能不全のことは想像もしていない玲子は「今日たまたま」挿入されなかっただけで、次回があるなら必ず関根自身を使ってくると思っているのだった。
 玲子は「最終的に男は自分のものを入れたがるものだ」と思っていたので、今日の行為は彼に対する裏切りという認識の中の、最後の一線を守ったつもりだった。

「恥ずかしいから、そんなに見ないでください。」
 玲子は少女のように恥じらい、関根の胸に顔を埋めた。
 関根は玲子の髪を撫でながら「ダメだったか」と思い、玲子は関根に髪を触れられながら「好きでない人との、こんなsexもあるのね」と思っていた。
 最初から心を通じ合わせるsexでないことはわかっていたが、2人の仕草と心は掛け違えたボタンのようにズレていた。

 先に着替えて元の部屋に戻った関根は、内線でタクシーを2台頼んだ。
 奥の和室で、玲子は服と髪を整えながら考えていた。
「いつだったか、関根常務に犯されることを考えたことがあったような・・・?あの時もこんな風にバイブで責められていたわ。今日のことを予感していたのかしら?」
 苦笑しながら身支度を終え、乱れた布団も整えてから部屋に戻ると、関根は冷めたお茶を飲んでいる。

「お待たせしました。」
 玲子は部下の声に戻った。
「遅くなったんでタクシーを呼んだから。チケットを渡しておくよ。」
 関根も社内の態度に戻った。
「課長昇進の件は山下くんともよく話し合っておくから。」
 山下は玲子の昇進を阻む気がないので、玲子の昇進は自動的に決まったも同然だった。
「よろしくお願いします」
 玲子は「完全に関係を持ったわけでもないのに」と疑問に思ったが、社会人として頭を下げないわけにもいかない。

「すみません、タクシーが来る前に・・・。」
 尿意の限界を感じた玲子は関根に場所を確認し、トイレに向かった。
 用を済ませた玲子は濡れた下着を肌に着けることに抵抗を感じ、トイレットペーパーで何度もパンティを拭ったが湿り気は取れず、諦めて引き上げると蜜の跡は冷たかった。

 部屋に戻るとタクシーの到着を告げられ、2人は別々のタクシーで自宅に帰っていった。
 それぞれタクシーの中で、関根は「1回限りにしておくか。次も勃たなかったら格好悪いし」と思い、玲子は関根のねっとり絡みつくような愛撫を思い出しつつも「次に迫られたらどうしよう」と不安を消せなかった。

 料亭の玄関が見える位置にある、向かい側のホテルのスカイラウンジから、2人が出てくるところを偶然見ていた男がいた。
「こんな時間に2人だけで出てくるとはな。何があったか一目瞭然というもんだ」
 新しい愛人候補の若い女の肩を抱き、スコッチを飲む黒岩専務の姿だった。

「何見てるのぉ?」
 女が顔をあげた。
「なんでもないよ。新しい玩具が手に入るかもしれないなと思っただけだよ」
 女に対してとでも取れるような言葉を口にして、黒岩はにやりと笑いグラスを煽った。


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2005年03月05日(土)

玲子の場合 第2章 ACT17

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
 薄暗い和室で、玲子は関根からの執拗な愛撫を長い時間受けていた。
 迷っている心と裏腹な反応を示す玲子の体はしっとりと汗ばみ、蜜壷はとめどもなく溢れかえり、充血して熱を発している。
 玲子の体は関根を受け入れる準備が十分過ぎるほどに整っていた。

 時折、関根の動きが止まる気配があることに、玲子は気がついた。
 薄目を開けてみると、玲子の体の上に覆い被さった関根が、自分の股間を覗き込んでいるように見えた。

 顔を上げた関根と玲子は、目が合った。
「飲みすぎたのかもしれないな・・・。」
 関根が自嘲気味に笑った。

 実は、2~3年前から健康診断で糖尿病の傾向があると指摘されていた関根は、その影響か、男性機能が思うようにならなくなっていたのだ。

 関根の妻は10年ほど前から「家庭内に閉じこもっていると老けるから」と習い事に精を出しはじめ、カルチャーセンターの友達と出歩くことに熱心になり、夫である関根との性生活より楽しいことを見つけたようで、何かにつけて夜の夫婦の営みを拒むようになっていた。
 関根の妻は子供の手が離れる年代の女性に有りがちな、外の世界への興味で夫婦関係が薄れて行ったのだ。

 子育てに熱心だった女性ほど、子供が巣立つと虚無感に襲われ、やがて来る更年期障害を重くする傾向があるということをメディアの情報で知っていた関根は、「寝込まれるよりマシ」と、今では半分諦めの気持ちも持っている。
 しかし、妻に拒まれても欲求をまだ押さえきれない年代だった頃の関根は「浮気して、本気になったら困るだろ?」と嫌がる妻を説得し、たまには体を求めていたのだが、ここ数年は年齢と共に求める回数が減少してきていた。

 調度、そんな頃に糖尿病を指摘されたことも精神的にショックだったようで、関根の男性機能は一気に衰えてしまったのだ。

 生殖機能が衰えても、男性としての涌き出る欲求自体が衰えた訳ではない。
 中々言うことを聞かない老いた体のために、関根は薬膳料理や精力剤など、ありとあらゆるものを試し、巷で噂になった海外でしか販売されていない薬も何種類か手に入れて試してみたが、関根にはどれも十分な効果が認められなかった。

 関根は、思い通りにならない男性自身には妻以外の女性との関係と言う設定で刺激を与えると、また違う反応をするのではないかと、この半年くらい考えるようになっていたが、どんな女性でもいいと思うほど若くはない。
 家庭も社会的立場も脅かすような存在になられては困る、と考える関根には、ある程度魅力的で、かつ、わきまえた女性でなければならなかった。

 以前からある程度の好意を持っていた上、条件に十分当てはまる玲子が格好のターゲットだった。
 今日のことは関根にとって、昇進問題が浮上してきた去年の秋ごろから密かに計画していたことの期が熟し、スケジュールを見計らい、計算されたタイミングで玲子を落とすチャンスが巡ってきただけのことだったのだ。

 さほど酒の匂いのしない関根が飲み過ぎている訳でないのは玲子にもわかっていたが、火のついた体を貫いて貰えなさそうだからと責めるほど幼くない。
 だが、一度燃え上がった欲望の炎は簡単に消えはしない。
 それでも、最後までいかないまま終わる方が彼を裏切ることにならないかも知れないと玲子は考え、少し安堵の表情を見せた。

「ここまでしておいて、満足させないまま帰す訳にもいかないだろう?」
 笑みを浮かべた関根は、玲子をそのままにはしておかなかった。

 関根は体を起こして枕もとの隠し扉を開け、シリコン製のバイブを取り出し、玲子の横に戻ってきた。
 自分自身で玲子を喜ばせることが出来ないことも想定し、関根が以前購入したままで隠し持っていたものを、山下が部屋に案内される前に忍ばせておいたのだった。

 関根がブゥゥ~ンと鈍い音を発するバイブを玲子の蜜の溢れる場所へと向かわせると、音に反応するかのように、玲子の入り口が妖しく蠢く。
 玲子の汗ばんだ太股の間に置かれたバイブは、微妙な振動と快感を玲子に与えてくる。

 さっきから何度も確認した濡れた秘部へ、関根は指で刺激を与えた。
「欲しいんだろう?欲しがって、こんなになってるんだからな。」
 関根は淫らな汁で光る指を玲子の目の前に差し出し、卑猥な匂いを発する指先を玲子の唇に押し当てた。
「舐めてごらん・・。」
 躊躇して口へ含まない玲子を関根が促した。

 玲子は戸惑いながらも関根の指を口に含むと、自分の匂いがして、更なる興奮を体の中に感じた。
 恍惚とした表情で指を舐める玲子の股間に置かれた蠢くバイブを、関根は膝で押し上げ、  秘部に当たるようにすると、玲子の口から咽び泣くような押し殺した声が出る。
「はぅぅ・・・あっ・・・ああぁ・・・。」
 普段、社内で聞く玲子の声とは思えない、歓びに溢れるものだ。

 関根は玲子の淫靡な声に触発されるのを自覚しているが、玲子に侵入出来るほどの男根にはならない。
 自分のモノで玲子を貫けるようにならないジレンマが、関根の愛撫をより一層激しくさせる。
 関根の指も唇も舌も玲子の体をねっとりと這い回り、入り口に軽く触れたままのバイブの振動にさえも玲子は翻弄されていく。

 玲子の体だけが高まり、この部屋に入った時の迷いは玲子の中から遠くなっていった。
 まだ何も挿入されていない秘所が突然かっと熱く花開いた。
 関根の愛撫だけで、玲子の体は達してしまったのだった。

 ぐったりする玲子を攻める関根は手を弛めない。
 息を弾ませる玲子の膣へバイブを入れ、片手で出し入れしながら肉芽を親指で刺激し、両の乳房へ愛撫を始めた。

 尿意を我慢している玲子には些細な愛撫も過敏に感じてしまう。
 突然の挿入に声をあげる玲子は迷いがなくなり、体の反応に素直に従い、官能的な愛撫に溺れ始めた。


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2005年03月05日(土)

玲子の場合 第2章 ACT16

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
何故、この和室へ足を踏み入れてしまったのだろう・・・?


私はただ仕事をしたいだけなのに・・・何故?


結論が出ないまま、私はこの人に抱かれるのだろうか?

くすっ・・・私・・・まだ、迷っている・・・


困惑の中、私の体はこの人の手に反応を始めている

なんだか、心が体から離れていくみたい・・・

心だけが冷静になるのは怖い・・・



一糸纏わぬ姿にされた私はどこへ向かっていくのだろう?

この人を嫌いではないけど、愛のない関係に落ちていく・・・


そう、落ちていくのだわ、私

どこまでも、どこまでも落ちていく・・・

辿り着く場所があるのか、ないのかすら、わからない・・・


全てが終わった後、私は後悔するのだろうか?

でも今は何も考えず、自分の体の反応を見ていたい


目を閉じて、愛撫を受け入れている私を、この人はどう思っているんだろう?

欲求のはけ口?新しい玩具?それとも・・・

私は束の間の関係にさえも心を求めているの?



あっ・・・違う・・・

彼の触り方とも違う・・・

よかった、思っているより優しい触り方をしてくれて・・・


だめ・・・そんなに優しい触り方されると・・・

声が出てしまうじゃない・・・

彼の手じゃないのに・・・甘い吐息を出してしまう私は淫乱なのかしら?


感じているの?私


ねぇ、ねぇ・・・もっと・・・と体が望むわ






お願い・・・もっと私を感じさせて・・・

迷いを忘れさせて・・・




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2005年03月04日(金)

玲子の場合 第2章 ACT15

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
 料亭の離れの奥座敷には入り口が1つしかなく、間接照明の柔らかな光に照らし出された部屋の中へ1歩足を入れると、逃げ場がないように設計されているし、この部屋には簡単な防音装置も施されている。
 政治家の賄賂や密談も、料亭の中のこういった部屋でやり取りされるのである。

 和室に敷かれた真紅の布団の上には、枕が2つ並べて置いてあることに気がついた玲子は、昔テレビで見た時代劇を思い出した。
 親の借金のために拉致された町娘がお茶屋に連れてこられて、強欲な商人に悪代官へ賄賂として差し出され、嫌がる町娘を抱えた悪代官が奥の座敷に続く襖を開けて寝具の上に押し倒し、獣のような悪代官が生娘を陵辱していく・・・そんなシーンが、生々しく玲子の目の前の部屋で起きているように思えた。

 町娘を襲っている悪代官が、玲子には山下にも関根にも見える。
 専務の黒岩のように下品な笑い顔を見せる商人が、自分の置かれている状況も飲み込めずに怯えている町娘を、乱暴に部屋へ引き倒す。
「生娘ですから、お手柔らかにと言いたいところですが・・・お代官さまの思うがままにどうぞ。では、ごゆっくり・・・。」
 商人が脂ぎった顔で笑いながら部屋を立ち去ると同時に、悪代官は立ち上がり町娘の腕をつかみ、小脇に抱きかかえるように奥の部屋へ連れ込み、帯を解き、着物を引き剥がしていく。

「おやめください、お代官様・・・このようなおたわむれは・・・・・。」
 町娘の抵抗する声で更に興奮した悪代官は嬲るような目つきに変わり、逃げる町娘を追い回して楽しんでいる。

 悪代官に着物を乱され裾を捲りあげられた格好で、魔の手から逃れようと泣き叫びながらも部屋の隅に追い詰められた町娘が、長襦袢姿のままで露わにされた太股を左手で隠し、白い胸元まで開かれた襟元を右手で押さえ、「どうか、お許しください」と怯える目つきで振り返ったその顔は玲子自身だった。

 野獣と化した悪代官の力に町娘が敵うはずもなく、狼に襲われる寸前の野うさぎのように、自分の置かれている状況から逃れることも出来ず、町娘はただ震えるだけしかなかった。
 悪代官はこれ以上の抵抗を許さないかのように町娘の頬を平手で打ち据え、完全に抵抗を奪ってから、娘の腰紐を使って手早く町娘の上半身を縛り上げた。

 長襦袢の前身ごろを引き裂くような勢いで左右に掻き分けて町娘の白い裸体を曝け出すと、まだ誰にも触れられたことのない町娘の小ぶりな乳房の上下には腕ごと廻された腰紐が食い込んで、両の乳房を変形させていた。
 親に手を上げられたことさえない娘は、悪代官からの平手打ちで抵抗することを諦めたが、これから自分の身に起こるであろう淫靡で恥辱な世界の想像が出来ないくらいの幼さだった。

 恐怖の余り悲鳴も出せない町娘の口に手拭を押し込み、縛られて尖ったような形の乳房を弄繰り回した挙句、悪代官は淫猥な顔を近づけ薄紅色の先端を唾液で汚し、舌先で転がすように甚振り、小さな乳首の色が変わるほど吸い上げた。

 天井を見上げて涙を溢す町娘の固く閉じた内股を力任せに押し開き、まだ誰にも侵入を許したことのない固い蕾へ、悪代官がそそり勃つ大きな男根を押し込めると、蕾んだままの花びらに薄い血が滲んだ。
 濡れることさえ知らない蕾は、悪代官によって花開く前に花びらを毟られ、肉棒で無理やり抉じ開けられ、汚されたのだ。

 町娘は経験のない熱い激痛を秘所に覚え、少ない知識でも辱めとわかる行為に耐えられず、目を閉じ、眉間を顰めて気を失いそうになることを必死に耐えている。
 早送りで再生される画面を見ているようであり、自分が襲われたようであり、錯覚を起こした玲子の体が微妙に反応を始める。

 引き戸を開けて立ったまま、身動き1つしない玲子に関根は声をかけた。
「この部屋の意味はわかるだろう?」
 玲子は真後ろで関根の声がしたことに驚き、再生されていた画面が止まり、帯や着物が散乱していた和室が、整った寝具の現実の部屋に戻された。

 関根の言葉の意味はすぐに理解出来たが、玲子は返事に窮した。
 騒ぎ立てるほど若くもないし、出世と引き換えに関係を持つほど割り切れないし、関根が玲子を愛人として囲うほどの気持ちを持っているとも思えないし、関根は黒岩ほどの好色家でもないし・・・と、玲子は考えがまとまらず、返事が出来なかったのだ。

 こんな展開が玲子を待ち受けていると気がついていたら、山下は先に帰らなかっただろうが、この場に山下がいないことを玲子は少し恨むような気持ちになった。
 玲子は山下と関根が結託しているとは思っていないが、「こんな展開になったら・・・」と想像すらせずに帰ったであろう山下から見捨てられたように思えたのだった。

 玲子は振り返ると関根が側に立っている事はわかっているので、動くことも出来ない。
返事をしない玲子の体に、関根はまだ触れてこない。
 入社以来、プレッシャーやストレスを大して感じたことのない玲子は、この場の状況と 雰囲気に押し潰されそうになり、軽い眩暈を起こしていた。
 片手を引き戸に置いたままだった玲子は、辛うじて倒れずに体を支えていた。

「無理強いさせるつもりはない。」
 関根は悪代官のように、強引なやり方で手篭めにする気はないようだ。
 どうやって切り抜けようかと思案していた玲子は、関根のプライドを傷つけない理由を思い付き、振り返らずに聞いてみた。
「常務のご家族も利用される、ここで、ですか・・・?」

 ふっ・・・と関根が笑った。
「従業員の躾の行き届いたここだからだよ。」
 料亭の中での客の話題や、誰が誰とが連れ立ってきた等の話しが簡単に外へ漏れるようでは、料亭は営業してゆくことが出来ない。
 守秘義務を守れない料亭は一流と呼んで貰えないのだ。

 玲子が自分の意思で断ると、関根から昇進の後押しをして貰えないことも分かっている。
 課長への昇進を目指すことが、山下の期待に応えることになるのも十分に知っている。

 一瞬、彼の姿が玲子の頭の中を横切ったような気がした。
例え、体だけの関係だったとしても、関根に抱かれることは、彼の愛情への裏切りにもなる。
 彼に事実を知らせなくても、裏切ったという自分の中の背徳感は玲子の中で一生消えないだろう。

 相手が山下だったら、玲子もここまで悩むことは無かったはずだ。
 玲子の中の迷いは、無言のまま背中を向けている関根に伝わった。

「わかっているんだろう?」
 関根は玲子の背中を軽く押して、奥の部屋へと導いた。

 断る理由を口に出せない玲子は、結論の出せない歯痒さと、町娘の気持ちとの狭間で揺らめきながら、奥の和室への一歩を踏み出した。


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2005年03月03日(木)

玲子の場合 第2章 ACT14

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
 山下と玲子の食事が終わる頃、関根常務がやってきた。
「すまないね、待たせてしまって。」
 残されているデザートの皿を見て、2人の食事が終わっているのを確認した。
「私も向こうで同じコースを頼んでいたのだが、どうだった?」

 山下が頭を下げながら、先に返事をした。
「美味しく頂きました。」
 玲子も山下の後に続き、言葉を添える。
「さすが、関根常務のご贔屓にしてらっしゃるお店ですね。味付けも盛り付けも気配りがありましたし、上品な器が綺麗で見惚れてしまいました。」
 素直に喜ぶ玲子の表情に、関根常務も顔が綻んだ。
「やはり、女性の見るところは違うねぇ・・・。」

 同じ料亭内の移動だった関根は、部屋に入ってきた時から既にスーツのボタンが外され、リラックスしたムードを漂わせていた。
 足を崩して座りなおした関根が山下に尋ねた。
「で、話しの方は大体してくれたのかね?」

 山下は関根と対照的に姿勢を直した。
「はい。ただ、本人からの意見を、私はまだ聞いておりません。常務に直接お話するように言いましたので。」
 山下は一呼吸置いて、玲子の方へ向いた。
「もう、僕は君の直接の上司ではない。君の率直な気持ちを常務に直接お話ししなさい。」

 関根の方へ頭を下げた山下は挨拶の言葉を口にした。
「私はこれで失礼させて頂こうと思います。」
 立ち上がり、部屋を出ようとする山下に関根が声をかけた。
「おいおい、そんな冷たいこと言わずに・・・一緒に話しを聞いてやらないのか?」
 山下は部屋を出たところで振り返った。
「いえ、私は彼女の上司ではありませんから。」
 もう1度頭を下げ「これで失礼します」と山下は帰っていった。

 きっぱりと言い切る山下を見ていた玲子は、捨てられた子犬のような気持ちになった。
 山下が最後まで同席してくれるものと思い込んでいただけに、不安に駆られたのだ。
 しかし、玲子は山下の最後は自分で自分に責任を持たせるように突き放すやり方が昔から変わっていないことに気がついた。
 山下は部下に揺るぎ無い信頼と愛情を持って、育て伸ばす・・・「そうだ、私は山下部長にまだ期待されているのだわ」と玲子は思った。

 部屋を出る時の山下の笑顔は玲子に向けられたものだった。
「頑張れ!自分の力でここまで登って来い!」と言われたのと同じだ。
 不安で一杯だった玲子は平常心を取り戻し、関根に自分の仕事に対する思いをどのように説明し、どの方向に持っていこうかと考えていた。

 黙ったままの玲子に関根が声をかけた。
「もう酒はいいのかな?まだ飲めるようなら頼むんだが・・・。」
 山下と一緒に飲んだ日本酒で酔いを自覚していた玲子は喉が乾いていた。
「いえ、熱いお茶を頂きたいのですが。」
 関根が部屋の隅の電話へ手を伸ばし、お茶を2つ頼むと、しばらくしてお茶が運ばれてきた。
「ここを片付けたら、しばらく声を掛けないでほしい。込み入った話しになるから。」
 お茶を運んでくれた女性が「わかりました」とデザート皿を下げ、部屋を出ていった。

 廊下の足音が遠ざかるのを待って、関根が玲子に話しかけた。
「さて、山下くんから説明されているとは思うが、この春に君を昇進させようと言う話しが出ているんだよ。女性の本社昇進は前例がないんでね、色々悩むことも多くて・・・。」
 関根は夕方の会議の内容を玲子にかいつまんで聞かせ、もう1度質問した。
「で、実際のところ、君の仕事に対する考え方はどうなんだね?」

 玲子は同僚からの嫉妬による嫌がらせに対する不安も、それに負けずにやっていきたい気持ちも全て正直に話した。
 包み隠さず話すことで、関根の判断を変えるようなことがあるのも承知の上だ。
 社内の人望も厚い関根の意見で玲子の昇進が決まることも、玲子はわかっていた。

 頷きながら聞いていた関根が黙って考え込み始めるのと同時に、玲子は突然尿意を催した。
 山下と一緒にいる時間を減らしたくなかった玲子は、会話の途中で中座してまでトイレに行かなかったのだ。
「あのぉ、大変申し訳ないのですが・・・化粧室に・・・。」
 玲子は露骨にトイレとは言えず、言葉尻を濁した。
「ああ、ここは離れになっていてね。トイレならその扉の向こうにあるよ。」
 関根は廊下の反対にあたる奥の引き戸を指した。

 玲子は部屋に案内される時に、日本庭園に見立てた中庭を見ながら、曲がりくねった廊下をしばらく歩かされたことを思い出し、この部屋が突き当たりの離れになるのだと理解した。
「すみません。」と玲子は一礼して立ち上がり、引き戸を開けた。

「あっ・・・。」
 玲子は小さな声をあげて絶句した。
 扉の向こうは灯りを落としたような畳の部屋になっていて、薄暗がりに目が慣れた玲子は、真新しいシーツを施された真紅のダブルサイズの寝具が設えてあるのを発見し、立ち竦んだのだった。

 玲子の背後には音もなく忍び寄る関根の姿があった。


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2005年03月02日(水)

玲子の場合 第2章 ACT13

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
 先に着いた山下は丁重に部屋に案内された。
 関根は仕事関係だけでなく、プライベートでもこの料亭を利用しているのでかなり融通が利く。
 今日も夕方になってからの突然の予約にも関わらず、快く引き受けてくれたのは関根からの連絡だったからだ。

 山下が部屋に入ると3名分の席が用意されていた。
 上座に2名分の席が用意されているところを確認し、山下は入り口に近い方の席に着き、携帯のメールを確認していた。
 しばらくすると部屋係がやってきて、声を掛けた。
「失礼致します。お連れ様がお見えになりました。」
 山下が「どうぞ」と返事をすると、音もなく戸が引かれ、玲子の姿が見えた。

「遅くなりました。お待たせして申し訳ありません。」
 入り口で頭を下げる玲子に山下は優しく笑った。
「そんなに堅苦しくしないでくれよ。それでなくても社外では久しぶりなのに、緊張するじゃないか。」
 玲子は山下の笑顔につられ、頬が緩んだ。

 2人のやり取りを見ていた部屋係の女性が遠慮がちに声を掛けた。
「お二人がお揃いになられたら、始めてくださいと言われておりますので、お食事をはじめさせて頂いて宜しいでしょうか?」
 席に着こうとした玲子は案内係の話しで、3人分の席があることに気がついた。
「始めはビールでいいかな?」
 山下は玲子に確認し、玲子が頷くのを見届けた部屋係は「では、ご用意させて頂きます」と引き戸を閉めて立ち去った。

 2人きりになった静かな空間をしばらく眺めていた玲子は、山下に話しかけた。
「あれ以来ですね。」
 玲子は新入社員の頃、2人きりで飲みに行ったことを思い出していた。
 山下の優しいキスも忘れていなかったが、玲子はずっと忘れたフリをし続けてきただけで、あの時の思い出は、玲子にとって大事なものとなっていた。

 玲子が始めて自分から「抱かれたい」と感じたのが山下だったのだ。
 しかし、あの一夜のキスだけで、後は上司と部下の関係を2人とも維持させた。
 玲子が社内外の男性と絶妙のバランスを保てるのは、山下のお陰と言っても過言ではない。
 あの夜、山下と肉体関係まで発展していたら、今の玲子はなかったはずなのだから。

「あの頃は可愛らしかったな。今みたいに綺麗になるとは想像出来なかった。」
 山下は後ろめたさを隠そうと笑った。
「ええ、あの頃は純情な乙女でしたから。」
 玲子も大人の台詞を口にし、笑顔でかわした。
 2人とも何1つ具体的には言わない大人の会話をすることで、10年以上の月日を感じていた。

 ビールと食事が運ばれ、山下は話しの本題を切り出した。
「君の仕事ぶりは社内だけでなく、社外でもコンスタントに評価されているな。昔の俺の指導が良かったと、今でも回りから誉められているくらいだからな。優秀な教え子を持って、鼻が高いよ。」
 ふと、目に涙を溜めていた玲子を思い出し、山下は目を細めた。

「あの頃の山下課長の指導が良かったのであって、私が優秀だったんじゃありませんよ。」
 当時の役職名で呼んだ玲子は、山下のグラスにビールを注ぎながら笑った。
「あの頃の酔っ払い娘も酒に強くなったようだなあ。」
 山下は玲子の持っていたビール瓶を取り、返杯を促した。
「ありがとうございます。」
 玲子は両手でグラスを持ち、山下のお酌を受けた。

「ところで、今後、仕事の方はどうしたいと考えている?」
 玲子は山下の真意を量り兼ねた。
「どうしたいと仰いますと・・・?」
 ビールを1口飲んでから、山下は玲子を真っ直ぐに見た。

「誤解しないで聞いてくれるといいんだが・・・。結婚しないつもりなら、もっと出世を狙う気はないのかと、今日の会議の後、話題になったんだよ。」
 瞬きもせず話しを聞く玲子に、山下は言葉を続けた。

「正直に言うよ。女性を先に出世させると、社内の妬みややっかみからくる中傷もあるかもしれない。君の同期の半数はまだ主任だ。君を昇進させることで、また君が泣くハメになるかもしれないと上の方が心配しているんだよ。同期の誰より先に課長代理になったときもそうだったことは、私だけではなく上のものも知っている。君がそれに耐えられるかどうか、本心を聞かせて欲しい。間もなく関根常務もいらっしゃる。それまで考えてみてくれないか?短い時間しかなくて申し訳ないんだが・・・。」

 玲子は山下が呼び出した意味を理解し、もう一人分の席は関根常務のものだと気がついた。
 料亭に入る寸前まで、ほのかに期待していた山下との甘い展開は期待出来ないことにも玲子は気がついたのだが、落胆したことは顔に出せなかった。

 山下は背広のポケットから新しいタバコを取り出して封を切り、中から1本取り出した。
 玲子は山下の手元を見て「山下部長の指先もやっぱり好みだな。何年たっても変わらない。」と思っていた。

 久しぶりに山下と2人きりで会うと、入社当時の初々しい気持ちに戻り、玲子は上気した顔になった。
 グラスに2~3杯のビールで動機がするほど酔うこともない玲子が、山下の前では頬を紅く染めて照れ、恥らう乙女のように見える。
 山下の方も「何年たっても可愛らしい部分は変わってないな。」と感じていた。

 タバコの煙を深く吸い込み、玲子に掛からないよう横へ吐き出した山下の気遣いも、玲子には好ましく映る。
「部長、私も1本、頂いて宜しいですか?」
 言葉は丁寧でも、子供のような無邪気なおねだりの表情を見せて、玲子は笑った。
「お酒が入ると吸いたくなるんですよね。普段はそんなに必要ないんですけど。」

 山下は1本だけずらし、タバコの箱を玲子に差し出した。
「あの時もそんなこと言っていたな。悪戯っ子みたいな顔をして・・・。」
 年数が経ち、年齢と役職が当時と違っても、2人にとっての原点は飲みに行った帰りの夜の、あの切ないキスなのだろう。


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2005年03月02日(水)

玲子の場合 第2章 ACT12

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
 新人研修が終わった後の1年間、山下は玲子と同じ部署にいたが、その後本社へ栄転した。

 山下は玲子が現在所属する国内営業統括本部を経て、グローバル統括本部長へと順調に出世していった。
 自分が部長に昇進する時、まだ地方回りをさせられていた玲子の仕事ぶりを社長に報告し、本社へ移動させたのが山下だったが、詫びる気持ちだけで、本社へ呼んだ訳ではない。
 玲子の仕事に対する情熱と才能、成績など全てを見切っての推薦だった。

 玲子の方はその事実を知らない。
 本社勤務になった玲子は山下の期待以上に成績を上げ、実力で今の地位を勝ち取った。
 もう、山下の接吻に震えたあの頃の玲子ではなくなっていた。

 10年という年月の間に、玲子は素晴らしいキャリアウーマンに育っていた。

 猥談化した会議室で、山下は玲子を課長にするために何が足りないのかを考えた。
 前例を破ってまで玲子を昇進させるには、社内で実力ある関根常務の進言が必要ではないだろうか、と山下は考えていた。
 専務の黒岩が社長へ進言しても、社長を説得し切れると山下には思えない。
 社内に専務派の人間が少ないことだけでも、黒岩専務の人望がわかるからだ。
 もし黒岩がこの会議に出席していたら、もっと玲子を辱めるようなセクハラ会議になったかもしれない。

 「専務は仕事もそうだが、女に対しても精力的に動く人だからな。そのくせ女性蔑視で物のように扱う・・・。あの人の手に落ちる女のレベルがわかるってもんだな。」
 山下は関根より早く専務に上り詰めた黒岩の仕事面の評価より、女癖の悪さの方が気になり、女である玲子のことを相談する気にもなれなかった。
 黒岩に相談を持ち掛けたとしたら、「悪いようにしないから」と玲子に言い寄ることを懸念した山下は「頼みの綱は関根常務だな」と、心ひそかに決めた。

 会議室は男たちのくらだない猥談だけで時間が過ぎていく。
「明日の昼休みに、もう1度集まりませんか?名案も出ないようですし・・。」
 山下は卑猥な笑顔を浮かべる総務部長に提案した。
「あっ、そうだな。関根常務のご予定は?」
「私の方は構わないよ。昼頃は社内にいる。」
 いとも簡単に明日の予定が決まった。

 会議が終わり、部屋を出ようとした山下に関根から声が掛かった。
「山下くん、すまないがこっちに来てくれないか?」
 会議室から他のメンバーが出るのを待って、山下は関根の横に立った。
「何か・・・?」

「まあ掛けたまえ。」
 関根から椅子を勧められた山下は、話しが簡単に終わりそうにないと感じた。
「仮に占部くんを課長にした時、他の同期からやっかみで潰されることはないかね?」
 山下は関根常務が玲子を課長にしたいと願っているのを察し、「失礼します」と椅子に座った。

「何かあったとしても、十分に耐えられるだけの精神力も育っていると思いますが。」
「確か、君が新人の占部くんを担当したんだったね。いつまでもあの頃のままじゃないか。」
 関根常務は山下が教育担当だったことを思い出して笑った。
「占部くん自身は今より上のポジションを狙っているような様子なのか?」
 山下は返事に困った。

 玲子本人に出世欲があるのか確認したことがないのもあったが、出世していくと今日のようなセクハラ会議にも出席しなければならないことを懸念していたのだ。

「私は隣のセクションですから、特に確認を取っていません。常務から直接お聞きになったら如何でしょうか?」
 仕事への情熱を玲子から直接話しさせる方が、関根常務の肩入れ度合いが強くなるかもしれないと山下は踏んだ。

「なんでしたら、占部くんをここへ呼びましょうか?」
 山下はお気に入りの玲子を側に呼ぶことで、常務の機嫌が更に良くなることを知っていた。

 手帳をめくった関根常務は残念そうな顔付きになった。
「これから来客があるんだよ。その後となると19時半しか体が空かないんだが・・・。」

 昨日は今日の報告書類のために玲子が残業していたことを知っている山下は、玲子が早めに仕事を片付けて帰るかも知れないと思った。
「今日の慰労を兼ねて、どこか食事に誘っておきますので、常務のお時間が取れるようでしたら連絡ください。」

 関根は思いつたように携帯を取り出し、自分が来客を連れていく予定になっている料亭に、3名分の席を用意するよう連絡を入れた。
「同じ店の中だと時間の無駄がないからな。2人で食事でもして待っていてくれ。」
 関根常務は手帳を閉じた。

 山下は自分の机に戻ると、立ちあがったままになっていたパソコンに向かった。
 隣の課の玲子を堂々と食事に誘うことは、玲子の上司の手前もあるし、周囲の目も気になるところなので、社内メールにした。

 パソコンから目を離し、机で書類を書いていた玲子が、メールのオートチェッカーの点滅に気がつき、顔を上げてパソコンのマウスを持つのが見える。
 山下からのメールの着信に気が付いたようだ。

 玲子はメールの返信も手早かった。
 山下が席に戻って10分もしないうちに、関根常務御用達の料亭での待ち合わせが決まった。

 適当な時間に仕事を切り上げた山下が、先に待ち合わせの料亭へ向かった。

 勘の良い玲子は、山下が直接声をかけて食事に誘わなかったということは、何か公に出来ない話しがあるのだと察していたので、わざと時間をずらし、山下と一緒に会社を出るようなことはしない。

 新人の頃のように、お互いを求めるようなことになるかも知れない可能性は秘めているが、山下が社内で過ちを犯さない男であると信じ直した玲子は、自分の中に涌き出る微かな妄想を打ち消そうとしていた。

 山下が会社の玄関を出る頃、玲子は自分の仕事を片付け始め、化粧を直してから山下の指定した料亭へ向かった。


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2005年03月01日(火)

玲子の場合 第2章 ACT11

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
 会議室では玲子の昇進問題についての話し合いをそっちのけで、男同士の飲み屋の会話と間違われるような内容が続いていたが、猥談に参加する気のない山下は、玲子が入社した頃を思い出していた。

 まだ若かった玲子は何事にも熱心で前向きに取り組み、山下の指導を乾いたスポンジのように吸収していった。
 当時、地方の課長だった山下にとって玲子の指導は手応えのある楽しみの1つとなっていった。

 調度今と同じ時期の新人研修が終わる頃、出来の良い玲子を労って飲みに連れて行ったことがあった。
 スタイルも悪くないし、整った顔立ちなのに、やや大人しい印象をかもし出す玲子のことが、山下は可愛くてしかたなかったのだった。

 山下は、チェーン店の居酒屋の広い店内にある個室で、玲子と向かい合って飲むだけで終わらせるつもりだった。
 2時間ほど玲子と酒を飲み、若い子の話題に触れて、山下は今後の若手育成の参考にしようと思っていただけだった。

 居酒屋で1時間半ほど過ぎた頃、玲子が急に黙って俯いた。
「どうかしたの?俺、何か悪いこと言った?」
 山下は不機嫌になった玲子に声を掛けた。
「私、事務を希望していたら良かったんですかねぇ?」
 目に一杯の涙を溜めて、玲子が嘆いた。

 話しを聞くと、玲子だけ月に1回の同期会に声を掛けてもらえてないというのだ。
 新入社員の男性陣は結託して事務や秘書へ回った女の子と毎月飲み会をしているのだが、自分たちにとって玲子が社内のライバルになることと寿退社を考えていないことで、楽しい飲み会の席に玲子は不要と判断したようだった。

 山下は男の気持ちとしてわからなくもなかったが、仕事面では男に引けを取らなくなりそうな玲子をそんなことで差別するのも許せない気持ちになった。
 山下には、自分だけ呼ばれないと悔しがる玲子が不憫でもあり、可愛くも映った。

 ポロポロと悔し泣きし始めた玲子を一生懸命に慰める山下は「俺が泣かしているみたいで、人目につくじゃないか」と店から連れ出し、明るい繁華街から道1本外れたところで一緒に歩いた。

 酔って泣きながら歩く玲子が、山下に謝ろうと立ち止って頭を下げた。
「すみません、泣くつもりじゃなかったんですけど・・・・。」
 頭を下げた拍子に玲子が酔いのせいでよろけたので、山下は「危ない」と手を差し伸べた。
 玲子は山下の腕の中に倒れ込み、転ぶのを免れた。

 山下が玲子を抱き締めるような格好になったのをきっかけに、今まで保ち続けた山下の中の理性がプツッと音を立てた。
 細身に見えた玲子の体は適度な脂肪で柔らかく、山下の腕の中にいる玲子の髪からほのかな香りが漂ってきた。

「すみません・・・。」
 玲子は謝りながら態勢を整えようとしたが、山下は玲子を意識的に抱いて離さなかった。

「もう泣くな・・・。」
 山下の言葉は上司のものではなくなり、玲子の髪に頬を寄せてキスをした。

 玲子の方も腕を振り解くような素振りを見せず、黙って山下の腕の中にいてくれるようだったので、山下は右手で玲子の髪をかきあげ、唇を耳から頬へと移動させてキスをした。
 涙で濡れた玲子の頬はしょっぱい味がした。

 山下が玲子の涙を唇で拭うようにすると、それに応じるように、玲子はマスカラが涙で滲んだ眼を閉じた。
 以前から玲子は、常に理性的な山下に対して、憧れの感情を持っていた。
 それは上司としてではなく、男として見る目だった。

 若さで頬がふっくらと丸みを帯びた玲子の顔を山下は両手でそっと挟み、玲子の震える唇へ優しいキスをしたが、合わさった唇は2秒も立たずに離れて行った。
 山下に理性が戻ったのだ。

「すまなかった。今日のことは忘れてくれ・・・。」
頭を下げる山下に、玲子は黙ったままだった。

「つい、はずみで・・・。」
山下の言い訳を玲子は遮った。
「私、山下課長だったら・・・。」
意外な言葉を発した玲子を、今度は山下が遮る番だった。

「そんなことを言うもんじゃない。こんなことをしておいて卑怯に思われるかもしれないが、社内の人間とそういうことになっちゃいけないんだ。何気ない会話や態度の中にそういう匂いが必ず現れる。必ず回りは感づく。結婚でも考えられる相手ならまだしも、そうでない相手とそういう関係を持たない方が君の将来のためだ。」

 山下は玲子を抱きたい気持ちを抑え、妻帯者の自分へ言い聞かせるように話した。
「は・・い・・・。」
 消え入りそうな声で返事をし、恥ずかしそうに俯いた玲子を、山下は抱き締めたくなる衝動と戦いながら「これでいいんだ」と何度も頷いた。

 たった1度、唇を合わせただけの関係だった。

 その翌日からの玲子は変わった。
 愚痴や泣き言を言わず、淡々と確実に仕事をこなしていく。
 同期会に呼ばれないことも意に介さない様子になった玲子は、仕事場でプライベートを一切口にしなくなった。


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2005年03月01日(火)

玲子の場合 第2章 ACT10

テーマ:商社にて・・・玲子の場合
 上層部の密談は砕けた言葉遣いで行われ、社内の会議室とは思えない雰囲気だ。

「占部くんの大沢指導は成果あったみたいだな。」
「課に戻ると大沢が生き生き仕事しますからねぇ。」
「ほぉ、大沢を食べちゃったってことはないのかね?」
「お堅い玲子女史に限って・・・まさか、そんなことは。」
「大沢は若いし見た目もいいし、さすがの玲子女史も食いつくんじゃ?」
 会議を装ったセクハラとも思える会話が続いていた。

 猥雑な会話を黙って聞いていたのは関根常務とグローバル営業部長の山下だった。

「どちらにしても、占部くんの指導力に問題はなかったということで・・・。」
 山下部長が口火を切った。

「おや?山下部長は占部くんを庇うようにおっしゃいますねぇ。」
「隣の部署ですから、まあ何があっても・・・。」
 下劣な推測の野次が入っても、激高すれば余計に餌食になることがわかっている山下は、何もなかったかのように言葉をつなげた。

「社長はどのようにお考えだと思われますか?」
 山下は関根常務に確認した。
「社長は元々、良い人材に男女は関係ないと思ってらっしゃるんだが、占部くんの同期の男たちから妬みや恨みを買わないかと心配もされているようだ。」

「それでなくても、裏で体を張っているとか言われてるようですからね。」
「社長の愛人説も出たようですね、世間では。」
 勝手なことを口にする他のメンバーを横目に、先程の司会進行役の時とは全く態度を変えた総務部長は卑猥な笑みを浮かべた。
「男に興味なさそうにしていても、案外・・・へっへっへっ・・・。」

 段々、男同士でも聞くに耐えない会話になってきたことに腹を立てた山下は、やや強めの口調で中断させた。
「占部くんのプライベートより、昇進をどうするか決めませんか?」
 関根常務も山下に荷担するように言葉をつなぐ。
「仕事ぶりは問題ない。後は回りとの兼ね合いだな。」

 以前から、関根常務は玲子がお気に入りだった。
 山下もそれは感じていたのだが、今回の昇進の話しの時に関根常務が玲子をプッシュしないことを不思議に思っていた。
「こんな会話が会議の席上で出るような会社だからな。男尊女卑な面が改善されないんだろうな。有能な玲子くんをこのままにしておくのは勿体無いと思わないんだろうか?」
 猥談に講じる役職付きの男たちはさて置き、関根常務への不満に変わって行くような気持ちになり、山下は胸が痛んだ。

 山下が玲子を預かって研修を担当して以来、山下は常に玲子を見守ってきたのだった。


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