玲子の場合 第1章 ACT3
風呂からあがった玲子は冷蔵庫を開けて350mlの缶ビールを取り出した。
無地のバスタオルを1枚巻いただけの姿で奥の寝室に向かう。
2つの部屋を仕切るロールカーテンは常に巻き上げた状態なので、1台しかないファンヒーターでも十分に暖まっている。
玲子はベッドに腰掛け、サイドボードにビールを置いてリモコンを操る。
ニュースのチェックは怠らない。
しばらくして経済関係のニュースが終わり、地方のニュースが始まった。
目線はTVだが、玲子は既に別のことを考え始めている。
ニュースが終わり、深夜のバライティー番組が始まった。
玲子はTVを消した。
枕元にあるプレイヤーでCDを小さな音で掛ける。
プレイヤーの置いてある真下の引き出しに玲子は眼を落とした。
引き出しに入っているのは彼からのプレゼントだった。
手に取ってじっと見つめていると彼の声が聞こえてきたような気がした。
「一人で寂しいときは、これを使って。」
ピンクのローターが玲子に話し掛けているようにも思えた。
使い方は十分わかっている。
前回のデートの時に彼が玲子の体の一番敏感な部分にあててくれたのだ。
彼と一緒にいるときにおもちゃを使うことには抵抗ないが、玲子が一人で自分を慰めるのに使うのにはまだ抵抗があった。
玲子はスイッチを入れてみた。
ウィィ~~~~ン・・・と小さなモーター音。
「これをあそこにあてれば、すぐにイケるんだけど・・・」
玲子は迷いながらじっと見つめていた。
「ほら、使ってごらん・・・。」
彼の囁くような声が聞こえるような気がした。
躊躇しながら、玲子はローターのスイッチを切った。
開いたままの引き出しにローターを入れると、コロンと音をたてて中に落ちた。
玲子は引き出しをそっと閉めた。
まだ玲子にはおもちゃが必要ではなかったのだ。
ベッドカバーをめくって玲子は体を横にした。
バスタオルがずれて太ももが露わになる。
巻いたバスタオルの隙間から左手をそっと挿し込んだ。
まだ玲子はバスタオルが重なっている奥へ手を入れない。
バスタオル1枚分の布の上からそっと乳房を包み込むように触れた。
玲子はプクンと乳首が立つのを感じた。
バスタオル1枚分のもどかしさ。
布が乳首に擦れると玲子の体はビクンビクンと反応する。
左手の人差し指で先端を弾いたり、摘んだり・・・玲子は自分の体を焦らした。
息遣いの荒くなるのを自覚した玲子は、バスタオルの奥へと左手を進める。
右の乳房を直接包み込むように撫でる。
中指で乳輪付近を丸く縁を描くように触れながら、右手で露わになった太ももをそっと撫でる。
すぐ、肝心なところに達してしまうよりも彼がしてくれた手順を再現しているほうが、後の楽しみが倍増することを玲子は経験上知っているのだ。
過敏に反応する部分に触れていないのに、玲子の秘所は既に熱いものが溢れ出し、十分に湿っていた。
玲子は親指と中指で乳首を軽く挟み、人差し指で先端に触れた。
「あっ・・・。」
顎を上げた玲子の口から吐息が漏れる。
右手を割れ目にそっと忍ばせ、玲子は花芯へ指を這わせようとしたが、そこは蜜が溢れかえり、指先が滑った。
「ああっ・・・あ・・・。」
指先は蜜壷の入り口に達した。
玲子はそのまま指先で入り口を弄る。
ビチャビチャと卑らしい音が自分の耳に聞こえるように指先を動かした。
卑らしい蜜を吸った2本の指で、玲子の一番敏感な花芯を摘む。
「あぅ・・・。」
顔を軽く左右に振るのは玲子の癖で、感じているのに「イヤイヤ」をしているのだ。
体に巻きつけたバスタオルが緩んでいる。
玲子はバスタオルを外して生れたまれたままの姿になった。
左の乳房を少し強めに握ると乳首が反応しツンと上を向く。
乳首を抓るようにしたり叩くようにしたり、そっと触ったり・・・。
その間に右手は花芯を確実に捕らえる。
蜜は涌き出るように外へと流れ出しアナルをも濡らす。
「いやあぁぁぁ・・・イッ・・イクぅ~。」
下半身をベッドに押し付けるような格好で腰が浮き、玲子の体が仰け反った。
軽い痙攣が玲子を襲う。
目の前が白いもやで覆われた・・・。
しばらく身動き出来ない状態だった玲子は隣に彼がるような錯覚を起こしていた。
終わった後、彼はいつも軽く抱き締めたまま玲子の髪や肩を撫でてくれるのだ。
今、隣にいない彼を少し恨むような気持ちになりかけた。
「ふうっ・・・。」
ため息をついた玲子は上半身を起こし、残りのビールを飲み干した。
空になった缶を見つめ、しばらく考え事をしていたが、缶を元に戻してベッドに潜り込み横になった。
少し背中を丸めて枕に1/3ほど顔を埋めた玲子の眼にはうっすらと涙が浮かんでいた。
自慰行為を後悔するほど、玲子は子供ではない。
自分で自分を慰めたいほど体が要求することも理解出来る大人だ。
しかし、玲子は彼と「したかった」のだ。
玲子の心も体も彼を求めているにも関わらず、傍にいない彼を追い求めて自分で慰めてしまった自分に自己嫌悪にも似た感情が襲ったのだった。
玲子は彼から何度となくプロポーズとも取れる言葉を聞いている。
仕事を好きで続けている玲子は、彼の言葉を聞き逃すような素振りをしてきたのだ。
もし彼の言葉を受け止め、玲子が応えていたら、同棲も可能かもしれない。
「今、彼が隣にいないのは自分のせいなのかも・・・。」
そう思い至る玲子はもう夢と現実の狭間にいた。
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