「怪我をしたらアイシング」は本当に正しいのか?
こんにちは、SHOです。
今日は、スポーツ現場の常識だった「怪我をしたらアイシング」について、近年の研究によって考え方が大きく変わってきていることをお伝えします。
アイシングは本当に必要なのか?
僕自身、これまで怪我の直後や運動後の炎症を抑える目的でアイシングを指導してきました。
しかし、2018年頃から「アイシングは回復を遅らせる可能性がある」という研究が増え始め、情報収集を続けてきました。そして近年、その根拠がより明確になってきたため、僕自身の考え方もアップデートしています。
なぜアイシングが推奨されてきたのか?
これまでスポーツ現場では、炎症を抑えることを目的としてアイシングが推奨されてきました。
その背景には、
- RICE(安静・冷却・圧迫・挙上)
- POLICE(保護・適切な負荷・冷却・圧迫・挙上)
といった外傷処置の考え方があります。
そして現在では、新たに
PEACE & LOVE
という考え方が注目されています。
「アイシングは回復を遅らせるかもしれない」
2021年、神戸大学の研究グループは、筋損傷後にアイシングを行うと、2週間後の筋断面積の回復が遅れる可能性を報告しました。
つまり、痛みは軽減できても、筋肉の再生そのものは遅くなる可能性があるということです。
もちろん、これは「アイシングは絶対に悪」という意味ではありません。
しかし、「炎症=悪」と単純に考えることは難しくなってきています。
現在推奨されている「PEACE & LOVE」
2020年に提唱された外傷管理の考え方です。
受傷直後:PEACE
P:Protection(保護)
患部を必要以上に悪化させないよう保護します。
E:Elevation(挙上)
腫れを抑えるために患部を高くします。
A:Avoid anti-inflammatory drugs(抗炎症薬を避ける)
炎症は体が治るために起こす正常な反応です。必要以上に抑えると、組織修復が不十分になる可能性があります。
C:Compression(圧迫)
適切な圧迫で腫脹を管理します。
E:Education(患者教育)
現在の状態、今後の経過、復帰までのプランを本人が理解することが重要です。
特にスポーツ選手は焦りから無理をしがちです。
- 今無理をするとどうなるのか
- 計画的に復帰するとどうなるのか
- 目標の試合までに何をするべきか
これらをしっかり共有し、一緒に復帰プランを考えることが大切だと僕は考えています。
復帰期:LOVE
L:Load(適切な負荷)
適切な負荷は回復を促進します。
ただし、負荷が強すぎれば再受傷のリスクも高くなるため、専門家の管理が重要です。
O:Optimism(楽観性)
前向きな気持ちはリハビリへの意欲を高め、回復にも良い影響を与えることが知られています。
V:Vascularization(循環改善)
血流を改善することで組織の回復を促します。
入浴や温熱療法、軽い有酸素運動などが活用されます。
E:Exercise(運動)
適切な運動は筋力や体力を維持するだけでなく、精神面にも良い影響を与えます。
では、アイシングは悪なのか?
結論から言うと、
「アイシングは使い方次第」
だと考えています。
例えば、
- 痛みが強く耐え難い場合
- 一時的な鎮痛が必要な場合
には、アイシングは有効な手段になります。
PEACE & LOVEでも「抗炎症を絶対に禁止する」とは書かれていません。
「基本的には避けた方がよいが、必要に応じて適切に使う」という考え方です。
医療やトレーニングの世界には、0か100かで割り切れないことがたくさんあります。
だからこそ、最新のエビデンスを学び続けながら、一人ひとりにとって最適な方法を考えていきたいと思っています。
世界には、まだまだ僕の知らないことがたくさんあります。
これからも最新の知見を学び、選手たちのサポートに活かしていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。