民主党政権は、参議院選挙に向けてのマニフェストの中に「消費税10%」増税を盛り込んだ内容を盛り込みました。鳩山内閣時代には「少なくとも在任期間中には上げない」と表明していただけに、野党やメディアの格好の攻撃対象となっています。また同じくして「法人税の減税」にも踏み込んだ形ともなっており、国民の怒りは増すばかりです。

他方、企業労働者の中には「法人税を減税してくれないと、自分達の収入や会社の設備投資が進まず、逆に労働条件が悪化する」と主張する者までおり、一体何が真実なのか分からない状況にもなりつつあります。

そこで、ここでは「法人税の減税」に焦点を当て、本当に法人税減税が国や国民にとって有益なのか否かを考えてみたいと思います。


堀端 勤の「書く事って何だ!」 respect for Tetsuya Chikushiそもそも我国では当初40%に設定されていた法人税の税率が、2003年以降に企業規模等に応じて22~30%にまで減らされています。法人税減税の主張は、財界を中心に欧米より高い法人税率(アメリカ15%、英国11.5%等)によって国際競争力が失われると言った主張に基づいています。しかし法人税減税により国庫収入の12~16兆円が失われたことになり、国庫収入は火の車となるわけです。

消費税はそうした穴埋めの観点から導入された物で、当初個人所得税が25~27兆円で推移したことから「あくまで一時凌ぎ」的な考えとして導入され、根本的な税制改革は先送り形された形です。本来なら、法人税の減税分が企業労働者への所得再分配を促し、所得税収入が増え、更に消費税の増収によって、国家財政的にはトントンとなったはずなのです。

ところが、企業が減税で潤う一方、長引く不況や二度の金融危機によって国民の所得はおよそ3割以上減り、最も頼りとして来た所得税の収入が1998年度に27兆円あったのもが2007年度には16.7兆円に減収し、もはや現行消費税では法人税不足分を補えない事態となった訳です。

財界が言う「法人税率の低減」は「字ズラ」では正論のようですが、本来国が意図した方向とは間逆な方に向いて行ってるといえます。欧米の法人税の低さの背景には、絶対的な法人数の数の違い(日本ではおよそ600万社に対し、アメリカでは1500万社、イギリスでは1000万社)と法人負担と個人負担の均衡(法人が税として負担する分を労働者へ還元し、その所得課税と消費から負担してもらう)を狙ったものであります。日本の歪んだ「法人税の低減」論が、法人内部留保金の270兆円に上る増大と、国民貧困率15%と言うとんでもない状況へと追いやっているのです。

【主張】
これまで見てきたとおり、国が目指す「法人負担と個人負担の均衡」は全く絵に描いた餅となっておりもしこのまま消費税UP論議だけが先行すれば、肝心の個人所得課税が更に減少して10兆円を割りかねないと懸念するアナリストが警告を発しています。

あくまで「法人税減税」を財界が主張するのであれば、正規・非正規を問わず労働者の個人所得にまで踏み込んでどう負担の均衡を図るべきかの論議を先にすべきだと思います。確かにそう遠くない将来に個人が応分の負担をすべき時代は到来すると思いますが「卵と鶏」の順番を逆にした我国の論議は、余りに節足と言うべきではないでしょうか?。