(基本ネタバレです)
「殺人魚獣 ヘビッシュ」、
いやー、ひどかったです。
ひどかったですって、おまえ、
ちょっと前にこれ観るのすごく楽しみにしてなかったかよ、
と思われるかも知れませんが、
もちろん楽しみにしていました。
DVDを借り損なったこともあって。
でも同時に、このタイトルにこのジャケ写、
これが映画としてどうしようもないダメ作品であることも、
経験上、痛いほどよく伝わってきます。
だからといって、
ダメ作品だから観なくていいということにはならない、というか、
ダメ作品だからこそ楽しみ、というか、
どれほどダメなのかも観てみたい、というか、
映画の楽しみ方は人それぞれなんですよ。
ひどいということは覚悟の上で観た訳ですが、
それでも覚悟の3割・・・いや、5割増しくらいでひどかったです。
そもそもタイトルからしておかしいですよね。
前半、「殺人」はともかくとして、「魚獣」、
魚類と「獣」というからには哺乳類かと思いきや、
後半、「ヘビッシュ」、「ヘビ」と「フィッシュ」をくっつけた言葉ですね、
爬虫類と魚類です。
魚類なのか哺乳類なのか爬虫類なのか、
魚類と哺乳類を合成したのか、
魚類と爬虫類を合成したのか、
はたまた魚類と爬虫類と哺乳類すべて合成したのか、
蓋を開けてみれば100%魚類でした。
ちょっと薬物投与はされてますが、
遺伝子組み換えしたとか、体を切って繋げたとか、
まったく異種間合成要素はなく、
魚でした。
原題は、上のジャケ写にでかでかと出ていますが、
「SNAKEHEAD SWAMP」、
直訳すれば「ヘビの頭の沼」?
魚要素皆無ですね。
出てくるモンスターは100%魚なのに。
めっちゃタイトル詐欺、たまんないですね。
この類の映画は、
違法ステロイドで巨大化とか、
血液を注射しただけで遺伝子組み換えが起こるとか、
不死の成分だとか、
遠く離れた種同士を合成するとか、
とっても非科学的な科学をしてることがもっぱらですが、
本作品は、その点が明後日の方向にぶっ飛んでまして、
オカルトです。
ブードゥー教の祈祷師の呪いとか出てきます。
当家では別にオカルトだからといって忌避したりはいたしません。
そういえばちょっと前に観た「エンド・オブ・デイズ」という、
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画は、
ミレニアムの終わりに復活しようとするサタンと戦う、
というオカルトな話のはずなのに、お祈りも呪文も出てこなくて、
サタンと戦う手段はひたすら筋肉、そして銃、
めっちゃ脳筋なオカルト映画でバカ受けしました。
サタンも、十字架で人の頭を突き刺したり、
首をひねり折って人を殺したり、
スティーヴン・セガールがサタンやればいいのにー、
な感じのサタンで面白かったです。
ええと、ヘビッシュに話を戻しますと、
非科学的科学も一応出てきて、
件の魚は、アジア原産の侵略的外来種で、
アメリカで定着・繁殖するのを防ぐために薬を投与したら、
かえって巨大化・凶暴化して、成長が早まって、
繁殖力も高まった、みたいな話になっています。
問題のお魚さんを廃棄するために運んでいた車が事故を起こして、
殺戮の舞台となる沼にお魚さんが放たれてしまう訳ですけど、
車に事故を起こさせたのは、
200年ほど前にブードゥー教の祈祷師が、
魔女的扱いで街の人たちに殺されて、
その死に際して沼にかけた呪いの所為だということです。
呪いをかけた祈祷師の子孫も出てきます。
祖母の祖母といっていたので、高祖母と来孫の関係ですね。
祈祷師の子孫たちは、この200年、
祈祷師の怒りを静めて呪いを解こうとずっとがんばってたみたいです。
話の終盤で、子孫も、
もう面倒みきれんから魂を焼いて消滅させようってことになりますが。
この作品で、私にはちょっと嬉しい再会がありました。
ワニ釣りに沼に出て最終的に喰われてしまうおっちゃん、
「新アリゲーター 新種襲来」の密造酒製造一家ロビショウ家の親父と、
同じ俳優さんでした。
思えば「新アリゲーター 新種襲来」あたりが、
私の動物系おバカ映画鑑賞の原点でもあります。
ストーリーはどうということはなくて、
凶暴で巨大で危険な魚を廃棄するために運んでいたら、
車が事故って魚が沼に放たれて、
事故を調べにきた行政職員さんたち、
ワニ釣りのおっちゃんたち、
沼に遊びに来た若者たちなどが喰われて、
政府が魚の増殖や拡大を食い止めるため沼一帯を爆撃する、
という話に、上記のブードゥー教の呪いが加わります。
魚は、小さいものは直径30㎝・全長1.5m程度、
大きいものだと直径1m・全長5m程度、
数は画面に現れるものでせいぜい30匹程度ですかねえ。
水の外でも3日間は生きられるという特徴も備えていますが、
これは実際に雷魚という魚にある能力の延長のようです。
見た目はなかなかにグロ系です。
本当にひどいので、
どんなものでも受け容れられる寛容な方のみご鑑賞ください。