2013年1月20日の母の通夜が始まる直前に届いた翻訳執筆本の売れ行きはどうなった?

 

どうもこうもあったもんじゃない。(怒り)

 

【 全く売れません! 】

 

確か翻訳を始めるとき、私に丸投げした大学教授は、「一般向けの読みやすい本にしたい」と言ったはずだ。

 

それならベストセラーで左うちわも夢ではないと期待し、原稿料は一切もらわずに印税を折半する約束をした。半世紀前にいまだに破られることのない記録のトリプルミリオンセラーになった歌『およげたいやきくん』で歌った子門真人が、売れるとは思ってなったので、最初の20万円だったかの契約料だけもらったために、億にも届かんとする印税は一文ももらえなかったという悲劇が頭をよぎったからだ。

 

私はできるだけ平易な文章で書いたつもりだったが、原稿を出版社に提出する前に、教授が第1章だけを要約して簡略するという名目で、その実、ものすごく力の入った専門分野の知識満開の難解な哲学的文章にしてしまったのだ。

 

それを刷り上がった現物を見た時点で初めて知った私は怒り心頭! さらには、L.L. リピットという原著者がいるにもかかわらず、第1章の扉表紙の著者名を教授の自分の名前にしてしまったのだ。これは著作権的に許されることなのだろうか。買うかどうか迷って第1章を読んだ人のほとんどは難解すぎて購入をやめることが目に見えている。

 

さらに、タイトルは、原題の『Preferred Futuring』にできるだけ近い邦題を私がねん出したにもかかわらず、教授が大好きな「組織」「未来」「会議」という言葉を無理やりねじ込んで、内容とは全く関係の無いものにしてしまった。看板に偽りあり!

 

極めつけは値段。この活字離れのご時世に1500円以上にしたら売れないとあれほど口を酸っぱくしたのに、2000円にしてしまった。今どきもっと厚いビジネス本でも1300円程度が妥当なのにだ。ぼったくり!

  

そしてトドメとして、「あんたが手売りでさばきなさい」ときた。執筆者は「書く人」であって「売る人」ではないのだ。手売りでどうしてミリオンセラーになるというのだ。自費出版じゃないっちゅうに。今じゃ名刺代わりにタダで配っている。

 

すべてがすべて、【売れない努力】しかしてくれないのだ。最初の約束なんか全く念頭に無くなっている。全く詐欺以外の何ものでもない。

 

3か月たっても300部売れたかどうか。で、3年たっても初版の1000部に全く届かず、どうやら廃刊になったらしい。売り上げが1000部を超えないとそのわずかな印税も入ってこないという。そんなくらいなら1ページ5000円という妥当な翻訳料をもらっておけば100万円にはなった。

 

私と教授の手元には売れ残った数百冊が手元に残っただけ。その間一切の収入がない私は貧乏のどん底に陥り、そのうちすい臓に不治の病を発症し、外で働けなくなって今に至るという顛末。

 

教授は全くの貧乏神だった。

 

その貧乏神が最後に放ったおためごかしの一言:「でも勉強になったろ?」

 

だとさ。 

 

これでブチ切れない私はよほどのお人好しだな。