レッド・ツェッペリンのドキュメンタリー的な 『 The Song Remains The Same [永遠の詩 (狂熱のライブ)] 』の映像,およびサウンド・トラックが収録された,1973年北米ツアー千秋楽のマディソン・スクウェア・ガーデン 3夜連続(7月27日~29日)公演.

 1973年北米ツアーは,5月4日ジョージア州アトランタのアトランタ・フルトン・カウンティ・スタジアム公演を皮切りに,6月3日カリフォルニア州イングルウッドのザ・フォーラム公演まで,18公演が行われたファースト・レグ.
 約1ヶ月間のオフを間に挟み,7月6日イリノイ州シカゴのシカゴ・スタジアムを皮切りに,7月29日ニューヨーク州ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン公演まで,18公演が行われたセカンド・レグ に大別され,記録用として収録していたサウンドボード音源(故に完全では無い)が,相応の数流出しており,色々なタイトルで,数々のレーベルからリリースされているのは,ファンならばご存知の事と思います.

 先日,この北米ツアーのファースト・レグ中盤に当たる 5月13日アラバマ州はモービルのミュニシパル オーディトリアム公演のサウンドボード音源を収録した 『 Definitive Mobile 1973 (No Label) 』 がリリースされ,アップ・グレードされた決定盤となりましたが,今度はその 13日後に当たる 5月26日ユタ州ソルトレイク・シティはソルト・パレス公演のサウンドボード音源を収録した 『 Salt Lake City 1973 (No Label) 』 が登場しました.

 メーカー情報にも記載されていますが,この日は演奏途中に弦が切れた事に伴って時間繋ぎでレアな ”Georgia On My Mind” の触りが演奏される関係から,この日のブートではタイトルに 「 Georgia On My Mind 」 や,それを捩ったタイトルのものもあります.
 既発でも 2002年に
Watch Towerレーベルから 『 Salt Lake City 1973 (WT 2002087/88,89S) 』,Empress Valley Supreme Discレーベルから 『 Georgia On My Mind (EVSD 201/202) 』,2010年には Scorpioレーベルから 『 Salt Lake City 1973 (Scorpio (UK)-02) 』 等がありますが,最近では同日のタイトルはリリースされていません.
 上述した弦が切れるアクシデント後は問題なく演奏を継続するものの,2度目のアクシデントの発生等,悪い事が重なる時は重なります.まぁ,これもドキュメントです.サウンドボード音源なので音質的にも問題は無く初心者でも楽しめる内容です.

 メーカー情報では
 『数週間前にリリースされ、あまりのアッパー感が世界中のマニアをアッと言わせた「DEFINITIVE MOBILE 1973」に続いて再びdadgadがやってくれました。彼が新たにリマスターに取り組んだのは先のモービルから約二週間後に行われた5月26日のソルトレイク・シティの卓直結サウンドボード。
 この音源は同じ卓直結でもモービルとは登場した状況が違います。こちらは21世紀になって大量に発掘された1973年アメリカ・ツアーからのサウンドボードの一環で登場した録音であり、その時期に現れた73音源を代表する存在でもありました。
 同時期に発掘された73卓直結サウンドボードの中でもひときわソルトレイクが脚光を浴びたのは「Over The Hills And Far Away」を演奏中にペイジのレスポールの弦が切れてしまったことから、場つなぎでスタンダード「Georgia On My Mind」のさわりを演奏するという大変珍しいハプニングが捉えられていたからでしょう。
 よって「21世紀73サウンドボード」と呼ぶべき音源の中でも特に人気の高い一日ではありましたが、音質的には他の音源と比べるとベールを被せられたかのような抜けの悪さがあった。そこで過去にリリースされたアイテムはそれを解消すべく、かなり強いイコライズが施されてしまっていたものです。むしろイコライズによってヒスノイズが強調され、何よりボンゾのシンバルがシュワシュワと響いてしまう、これまた「21世紀イコライズ」とでも呼びたくなり仕上がりでした。
 
 そのせいか、以降に同音源を収めたアイテムは意外なほど登場せず、オーディエンス録音と組み合わせたリリースが辛うじて生み出された程度で、登場時に大きな話題を呼んだ割に音源の状態がいまひとつスッキリしないことを物語っていたのです。
 しかし今回のdadgadによる新たなリマスターは音源自体の状態が過去のバージョンよりも明らかに良く、実際に音源のインフォメーションもマスターからと記されていました。
 一聴して解るほどの鮮度はマスターからだと確信させてくれるほど鮮烈なクオリティアップを実現しており、それだけでも前回のモービルに続いて掛け値なしに新たな決定版と断言したいレベルへと昇格。音源のイメージを変えるイコライズというより、全体を「調整」してみせたdadgadの仕事ぶりが実にお見事。ところが、またしても海外のマニア特有のピッチの狂いに対する放置プレイが健在でして(苦笑)、今回は全体を通してピッチがランダムに高めだったことから、そこを緻密にアジャストして限定プレスCDでのリリースに恥じない状態へと高めています。
 もちろん本音源は73年アメリカ卓直結サウンドボードの例に漏れず、ショー全体を完全収録している訳ではない。まずオープニングの「Rock And Roll」の後半から録音が始まっており、「Whole Lotta Love」の途中で録音が終了(カセット掛け替えが行われず)。そこで同日のオーディエンス録音と組み合わせてフィナーレの「Communication Breakdown」まで網羅したアイテムがリリースされていたのは最初に触れた通りですが、今回の音質あまりのアッパー感を前にすると、同日オーディエンスの音質は何とも厳しいクオリティ。それらをつなげたことでむしろストレスを感じさせるのでは。確かにオーディエンス補填も試みられたのですが、ここはひとつ驚異的なクオリティアップを遂げたサウンドボードだけのリリースに留めよう…という決断が下されました。

 こうしてクリアーに浮き彫りとなった演奏内容がまた実に面白い。二週間前のモービルはまだ春のヨーロッパ・ツアーの雰囲気を漂わせつつ、それでいて堅実な演奏が魅力となっていましたが、ここでは73年アメリカならではと言える、いい意味での大味さが表面化してきた様子が克明に記されています。
 中でもペイジのプレイはアップダウンの連続でした。ケチがついたのは例の弦が切れてしまったハプニング。そこでジョンジーの音頭取りから「Georgia On My Mind」が始まった訳ですが、ペイジのレスポールの準備が整うやいなや、プラントが「さ、ナイトクラブはお開きだ」といって演奏を止めていたのです。
 そこから通常営業へと戻ったのですが、ギターを弾いたことのある人なら想像できるように、弦を変えたばかりのギターはチューニングが狂いやすい。案の定「Misty Mountain Hop」では演奏するそばから替えた弦がゆるんでしまい、遂には演奏の終盤でペイジがリードを弾きつつハーモニクスを鳴らしてチューニングを直すという器用なハプニングが捉えられているのです。こんな珍しい場面が見事なクリアネスでドキュメントされているのも卓直結サウンドボードならでは。
 運の悪いことは重なるもので、レスポールではないダブルネックまでこの日に限ってチューニングが不十分だったという。その証拠に「The Song Remains The Same」が始まってみれば上の12弦は問題なかったものの、下の6弦を弾いてみればチューニングが狂っている。それが静かな「Rain Song」になるといよいよ目立ってしまう。何と間の悪いことか。

 ショーの序盤でアクシデントに見舞われ、今度はローディの不手際でペイジの足が引っぱられてしまう。そうなると彼も人間、不機嫌になるのも致し方ない。モービルでは白熱の展開が聞かれた「Dazed And Confused」では「San Francisco」パートの前までは期待を抱かせてくれたのですが、お約束の弓弾きセクションから戻ってみれば今一つ煮え切らないのがペイジ。その分プラントやボンゾが演奏を盛り立てて十分に聞き応えのある演奏としてくれたのですが。
 「Stairway To Heaven」のソロになるともはやペイジが腐ってしまったのでは?と思えるほど雑にフレーズを奏でており、極めつけは演奏の戻る際にいつも弾くフレーズを低い音程で鳴らしていたという。この締めくくり方はオフィシャルDVDの75年アールズ・コートでも見られましたが、そこでは弦が切れてしまったことが原因だったのに対し、ここではペイジのやる気の問題であったように聞こえてなりません。何故ならば、その後「Heartbreaker」における、ギターを持ち上げてのハンマリング・ソロまでもいつになく雑に鳴らしていたからです。
 ところが、このパートが終わってバンドが戻ると突如としてペイジが覚醒、それまでの粗いプレイが嘘のように気合の入った演奏を奏ではじめたのです。これが卓直結サウンドボードの大きなメリットと言うべきか、そんな表情の違いもはっきり伝わってくる。そんな「ハッ」と我に返ったかの如くシャープなプレイはそれまでと一転して素晴らしいものですし、次の「Whole Lotta Love」のバックコーラスもやけに熱心に歌っている(それがまた良く聞こえること!)。こうしたペイジの明らかなプレイのムラがドキュメントされつつも、まだまだ彼も20代最後という年齢とフットワークの軽さもあってか、ショーの最後に立ち直ってみせたのでしょう。
 昔から有名なアドリブ「Georgia On My Mind」の場面はもちろんですが、全体を通してのハプニング・プレイが実に面白い一日。そんな音源が過去のアイテムを一掃するアッパー版サウンドボードに生まれ変わっての登場となります。この素晴らしい音質のおかげで、さらにこの日の演奏がリアルに楽しめるようになった。それでいて先に挙げたハプニングをものともしないボンゾ安定感抜群のドラミングがまた絶品でもある。前回のモービルに続き、おなじみな音源の新世代アップグレード・バージョンがここに!』

Salt Lake City 1973 (No Label)
 
 Live At Salt Palace,Salt Lake City,UT,USA 26th May 1973  
 SOUNDBOARD RECORDING
 [UPGRADE]

  Disc 1
   1. Rock and Roll
   2. Celebration Day
   3. Black Dog
   4. Over The Hills And Far Away
   5. Georgia On My Mind
   6. Misty Mountain Hop
   7. Since I've Been Loving You
   8. No Quarter
   9. The Song Remains The Same
   10. The Rain Song
   TOTAL TIME (61:50)

  Disc 2
   1. MC
   2. Dazed And Confused
   3. Stairway To Heaven
   4. Heartbreaker
   5. Whole Lotta Love
   TOTAL TIME (56:12)

 Over The Hills And Far Away
 
 Georgia On My Mind
 
 Misty Mountain Hop
 
 Whole Lotta Love
 

[参考]
 Salt Lake City 1973 (WT 2002087/88,89S)
 
 Georgia On My Mind (EVSD 201/202)
 
 Salt Lake City 1973 (Scorpio (UK)-02)
 
 Dazed And Confused In Salt Lake City (LZSLC 26573-1/-2)
 

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永遠の詩 (狂熱のライヴ)
     最強盤



The Song Remains the Same
 (Ogv) [12 inch Analog]




1973 North American Tour Dates
 May
  04 Atlanta–Fulton County Stadium,Atlanta,GA,USA
  05 Tampa Stadium,Tampa,FL,USA
  07 Jacksonville Coliseum,Jacksonville,FL,USA
  10 Memorial Coliseum,Tuscaloosa,AL,USA
  11 St. Louis Arena,St. Louis,MO,USA
  13 Municipal Auditorium,Mobile,AL,USA
  14 New Orleans Municipal Auditorium,New Orleans,LA,USA
  16 Sam Houston Coliseum,Houston,TX,USA
  18 Dallas Memorial Auditorium,Dallas,TX,USA
  19 Tarrant Country Convention Center,Fort Worth,TX,USA
  22 Convention Center Arena,San Antonio,TX,USA
  23 University Arena,Albuquerque,NM,USA
  25 Denver Coliseum,Denver,CO,USA
  26 Salt Palace,Salt Lake City,UT,USA
  28 San Diego Sports Arena,San Diego,CA,USA
  31 The Forum,Inglewood,CA,USA
 
 June
  02 Kezar Stadium,San Francisco,CA,USA
  03 The Forum,Inglewood,CA,USA
 
 July
  06 Chicago Stadium,Chicago,IL,USA
  07 Chicago Stadium,Chicago,IL,USA
  08 Market Square Arena (Unconfirmed),Indianapolis,IN,USA
  09 St. Paul Civic Center,Saint Paul,MN,USA
  10 Milwaukee Arena,Milwaukee,WI,USA
  12 Cobo Hall,Detroit,MI,USA
  13 Cobo Hall,Detroit,MI,USA
  14 Buffalo Memorial Auditorium,Buffalo,NY,USA
  17 Seattle Center Coliseum,Seattle,WA,USA
  18 Pacific Coliseum,Vancouver,BC,CANADA
  19 The Spectrum,Philadelphia,PA,USA
  20 Boston Garden,Boston,MA,USA
  21 Providence Civic Center,Providence,RI,USA
  23 Baltimore Civic Center,Baltimore,MD,USA
  24 Three Rivers Stadium,Pittsburgh,PA,USA
  27 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
  28 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
  29 Madison Square Garden,New York City,NY,USA

 

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