家の居間にあった柱時計が壊れた。
振り子がついている時計だ。
針が止まっていたので、電池がなくなったと思って、交換した。
すると、動き始めたので大丈夫だと思っていた。
それが、1時間で20分ほど遅れてしまう。
振り子の長さを調整してみたけれど、遅れは直らない。
そのうち、針が止まってしまって、ウンともスンともいわなくなった。
しばらく止まったままで掛けておいたが、止まったままの時計を掛けておくのも、どうかと思うので、はずして、家にある別の時計を掛けることにした。
別の時計というのは、電気屋さんにだいぶ前にもらって、掛ける場所もないので、しまってあった時計だ。
だから、前の時計のように振り子があるような柱時計ではない。
丸い普通の時計だ。
前の時計と比べると、新しいけれど見劣りがする。
ないよりはいいだろう、という感じだ。
止まった時計よりはいいだろう、という感じだ。
あらたに掛けられた時計は、しっかり動いている。
正しく時刻を教えている。
でも、何故だか、その時計を見なくなっている。
よく考えたら、柱時計がちゃんと動いていた時も、時刻はその柱時計を見て知っていたわけではなかった。
テレビの下のレコーダーに標示されている時刻で、知るようになっていた。
柱時計は、動いていても忘れられていた存在だった。
だから、壊れて動かなくなったのかもしれない。