テレビドラマを見ないでこの映画「SP 野望篇」を観ても、アクション映画としてハラハラドキドキして、面白く観れるかもしれないけれど、映画を楽しむことはできないかもしれない。
テレビドラマを観ていない予備知識がない状態で、この映画を観たら、まず井上(岡田准一)の特異な能力についてや、尾形(堤真一)の立ち位置など、分からないことだらけということになるだろう。
だから、この映画を観るためには、テレビドラマは観ていなければならない。
このような、テレビドラマから映画化されたものは、一種のお祭りで、テレビで観て面白いから、映画も観るという人が集まって観に来ていると考えてよいと思う。
だから、お祭りで騒ぐ側にならないと、当然面白くない、ということになってしまう。
昔、「海猿」の1回目の映画化されたものをドラマを1回も観ないで、つまり予備知識が何もないままの状態で観たことがある。
塾生に「海猿の映画を観て、感激して泣いちゃった。テレビドラマ観てなくても、十分映画だけで感激できるから観たらいいよ」
と薦められたので、どんな話かもよく知らないままで映画を観に行った。
すると、映画の途中、スクリーン上に、こちらにとっては何でもない写真が映し出されてきて、それを見て周りが泣き出している。
きっと、周りのみんなは写真を見て、ドラマのシーンを思い出して、涙しているのだということは分かる。
でも、その周りの雰囲気から自分は取り残されて、疎外感を感じるだけだった。
その経験上、シリーズ物やテレビドラマの映画化したものは、事前にそれらの前作品を観ていない場合は映画は観ない方がよいと思っている。
「踊る大走査線」「アンフェア」もお祭りに参加するという感じで映画は観たけれど、テレビドラマの方が断然面白かった。
「アンフェア」は特にテレビドラマが面白かったので、スペシャル、映画と続くほど、面白さから遠ざかっていってしまった感じがする。
その点、今回の映画「SP 野望篇」はテレビドラマの最後のシリーズが「つづく」で終わっているので、映画自体がそのまま、テレビの続きですよ、という感じで楽しめた。
テレビと違って映画はお金を少しかけて、ちょっと火薬を多く使って派手にしただけで、テレビの延長ですよ、という感じで観れば楽しめる。
今回、テレビでは描かれていなかった内容も映画に出てきて、次の「SP 革命篇」に期待が持てる。
映画の内容はテレビを観て感じた、予想通りだったので、次の革命篇では、こちらの予想を超えた、ある意味、こちらを裏切るストーリーになっていることを期待している。
ちょと、アンフェアの匂いがするな。香川照之さんも出演しているし。
よく、この手の映画を観て、この内容ではテレビのスペシャルで十分だ、と酷評する人がいる。
けれども、お祭りなんだから、好きな奴らが同じ空間で同じ物を味わって楽しんでいると考えればいいんじゃないかな。