改めて「劣等感」とは何なのでしょうか。
今回は、神経質者から見た「劣等感」について、考えてみることにいたしましょう。皆様は「神経質の三大特徴」と言うのをご存じですか? それは、
「内向的」、「自己否定的」そして、「自己中心的」です。
ではなぜこうなってしまうのでしょう。もちろん生まれ持った性格と言うこともあるでしょうね。
画像 ダイコミュ 劣等感が生まれる理由
しかし何といっても影響が大きいのは「育てられ方」です。例えばいつもいつも親から、「お前はダメな子だねぇ」と言われ続ければ、おのずと子供は『自分はダメな子だ』と、思うようになるでしょう。これは親から植え付けられた劣等感と言えるでしょうか。
それだけではありませんよ。
日本は資本主義です。一人一人が労働力として評価され、扱われます。それは常に他人との競争関係に置かれるということでもあります。いつも他人と比較し、優劣を競い合う中で、自分が劣っていると考えれば、それはそのまま劣等感になります。もちろん学生時代の「偏差値教育」もその域を出ませんよね。
親からは「ダメな子」と言われ、教師からも「劣等生」と言われ、社会に出れば、他者と自分を比較しては落ち込みます。こんな社会の中にいれば、どんな人だって『自分はダメだ』と言う「自己否定感」にとらわれるのは必然であるともいえるでしょう。
ところで、『自分はダメだ』と思うあなたの心の中はどうなっているでしょうか。あなたの心の中に二人の自分がいて、親役の自分が、子役の自分を常に「お前はダメな奴だ」と、裁いているのです。これが「劣等感」の正体だと言えるでしょう。
では、ダメ出しをされ続けている子役の自分って、本当にダメなんでしょうか。いえいえ、そんなことはありません。
画像 www.ac-illust.com もう一人の自分
どんな人にも必ず良い面と悪い面があります。ダメ出しばかりのあなたであっても、劣等ばかりだと思っているあなたにも、実は素晴らしい要素が隠されているかもしれないのです。
あなたをさばいている親だって、やはり社会の中で比較され、劣等感を抱えてきたのです。だからどんな親でも、程度の差はあれ、モノの見方が一面的に偏ってしまっているのです。
だからせっかく良い面も持ち合わせているのに、親はあなたの悪い面しか見えていないのです。その一面だけを見て、「お前はダメな子だ」と言っているに過ぎないのです。
親や世間の影響を受けて、後天的に身に着けた価値観や考え方を森田では、「悪智」と言います。
あなたの心の中で、あなたにダメ出しを繰り返している自分と言うのは、まさに「悪智」そのものです。
一方、ダメ出しされ続けている子供の自分は、本来良くも悪くもない存在です。森田的に言うと、「あるがまま」な存在です。「あるがまま」な自分が本当の自分なんです。
神経症と言うのは、本物の自分と、悪智にまみれた自分を取り違えるところから発生します。
参考・・・「生活の発見会メルマガ あずま橋通信」より