皆様こんにちは。
前回のブログでは触媒位置(容量)違いのマフラーをベンチテスト、その結果エキゾーストパイプに関しては管長が決まったところまでを書きました。
という事で今回はサイレンサー内部構造違いを比較したデータを紹介したいと思います。
写真のサイレンサーは左が22-ダックス125用で右がGROM用です。
同じ横置きエンジンでもピークパワーとエンジン特性の違いからインナー径が異なっており、当然ながらエキパイの管長も大きく異なります。
インナー径から想像出来る通り、音量もダックスが近接83dB、GROMが87dBと4dBの差があり、GROMの方は低音の効いた少し迫力のあるサウンドになります。
私のコンセプトとしてダックス125に関しては、規制上限値近辺の音量ではなく、なるべく大人し目な音量というか、「スマートな音量」というのを目指して音作りを心掛けています。
またこれも私の最近のコンセプトになりますが「音量ではなく音質を」といった方向性です。
先日、マフラー販売におけるビッグデータをお持ちの某大手販売会社の方達とミーティングをしましたが、ダックス125ユーザーさん達も同じ方向性であるとの事で、私としてもそこはしっかり応えていきたいところです。
これはGROM用サイレンサーでベンチテストをした時の写真になりますが、もしベンチテストの結果、明らかにGROM用の特性が良かったらどうしようか?と思いながら(笑)、テストをしました。その比較データがコチラです。
赤線がダックス125用で青線がGROM用です。
「少々負けているぐらいなら22-ダックス125で採用したサイレンサーで行こう」と決めてのベンチテストでしたが、結果は赤線のダックス用サイレンサーの方が僅かではありますが良かったです。
トルク曲線(細い線)を見れば明確に良さが確認出来ます。
最近のバイクでよくあるパターンで「インナー径が大きいからといって必ずしもパワーが上がるとは限らない」という一例でもありますね。因みに音量ですが、大きい音量が好みの方には申し訳ないのですが、「ダックス125には似合わないだろうな」という感じの、爆音では無いですが結構迫力のある音で、ベンチテストを終わった後に社員からは「ダックスのイメージに合わないですよね」との感想。(やっぱり皆、そういうイメージなのね)
ただ、管長自体がGROM用よりダックス用はかなり長く、結果としてGROM用サイレンサーとの相性が出たのかな?と思いますが、「パワー的には更に出て欲しかったけど、出たら出たでこの音量のサイレンサーは使いたくないな・・・」といった複雑な感情ではありましたが(笑)、結果としては良かったです。
次に同じ横置きエンジンながら管長はもとより、完全なストレート構造であるZ125PRO用のサイレンサーでテスト。インナーパイプ径及びパイプ長はダックス用と同じ、その結果がコチラ。
赤線がダックス125用で青線Z125PRO用です。
一つ上のグラフと似ていますが、コチラもダックス125用が良い結果となりました。
完全なストレート構造で音量が大きいZ125用はいずれにしても採用する予定は無かったのですが、レスポンス感が良くて私のイメージでは6,000rpm以降はZ125用の方が明確にパワー差が出るかも?と思いましたが、結果として抜け過ぎというか、吹け上がるのも時間軸で少し遅かったですね。
これも最近のバイクでよくあるパターンで「ストレート構造で抜けが良いからといって必ずしもパワーが上がるとは限らない」という一例になりますね。
因みにエキパイ管長が適切ではない(合っていない)時、サイレンサー構造の仕様違いで大きくパワーグラフが動く(異なる)事がよくあるのですが、この観点からもダックス125とエキパイ管長の相性が良い事が確認出来て良いテストとなりました。
結果的にサイレンサーは前型式用をそのまま採用する事に決定です。
あとはしっかり試験を通って来るだけです。
そしてですね。。。
先のブログでエキパイを繋ぎ合わせてコチョコチョやっていましたが。。。
ダウンタイプを造っておいてアレなんですが。。。
個人的にUPスタイルの純正マフラーがあまりにも格好良くてですね、またダックス125ユーザーの方々もこのスタイルに惚れ込んでいる方々が多くいらっしゃると思うので、「純正ルック フルエキゾースト」ではなく純正マフラーをそのまま使う「フロントパイプ」を開発する事にしました。
売れる・売れないという事をとりあえず考えず、完全に個人の趣味の延長ですね(笑)
もちろん、特性上良い部分が無ければ終了、実は一番最初のプロトタイプは大失敗に終わりましたが(笑)、実走とベンチテストの検証をしていく中で結構良い感じに仕上がりました。
(勿論、JMCA認証試験を受験予定です。)
次回はそのフロントパイプ編でブログを書こうと思います。
それでは。