2021年改訂版:スリップオンとフルエキゾーストの違い ② - フルエキ編 - 長文です。 | ダブルアールズマフラー開発 日々の出来事。

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再び皆様こんにちは。

 

今回はフルエキ編になります。

 

スリップオンに関しては一つ前の記事に書いていますのでそちらを拝読頂けたらと思いますが、今回はフルエキ編という事で、スリップオンとの違いを書きたいと思います。

 

マフラーが分割出来て、その後ろを交換するタイプのマフラーをスリップオンと呼びますが、マフラーをフロント部から全て交換するマフラーの事をその名の通り「フルエキゾーストマフラー」と呼びます。

通称「フルエキ」ですね。

 

スリップオンは後部だけを交換するので、ある意味どのメーカーでもマフラーレイアウトが同じになってしまうのに比べ、フルエキゾースト(※今後フルエキと略します)はエキパイフロントパイプから自由に変更出来るのでマフラーレイアウトも自由に設定出来ます。

 

スリップオンの場合は、差込み口の位置が決まっているので長短の差はあれ、同じレイアウトになりますが。。。

 

フルエキゾーストの場合、この様にスタイルの変更が自由なのでマフラー選択の際も自分好みのデザインのマフラーに出会えるかも知れませんね。

 

フルエキゾーストの魅力はそのマフラーレイアウトもさる事ながら、ノーマルとは一味違うパワーフィールを存分に楽しめるという事でしょうか。

 

上がフルエキで下がスリップオンで、画像のフォントが少し違うのでその点はすみません。

しかしながら圧倒的に違うパワーカーブが見てとれると思います。

 

スリップオンの場合、「ノーマルエキパイに対して最善の管長を探す」といった事を目標に開発します。

それに対してフルエキの場合は、「そのバイクの特性を最大限引き出せる様に」といった事を開発の目的に置いています。

 

似ている様で少し違いますよね。

ノーマルエキパイに対してベターと言えるノーマルサイレンサーを、スリップオンにより、どこまで上積みが出来るのかといった作業をするのがスリップオンで、フルエキの場合は「如何に最大限、エンジンの持つ特性を引き出せるか」といった、ベターでなくベストを狙って作業をフルエキで行っています。

(同じ様な意味合いを2度書きました 笑)

 

フルエキの開発の場合、ノーマルで得た情報から「もっとピークを上げれる」とか、「中速域をもっと太くする」といった目標を掲げて開発していくのですが、その際にピークを狙ったマフラーの場合、低速域が少し犠牲になったり、あるいは中速域の特性は良くなったがピークパワーはそれなりになった、みたいな事もしばしば起こります。 

 

またそれぞれの目的に応じてフルエキの場合、ノーマルとは全く異なるパイプ径・管長になりますし、基本的にパワーアップを狙ってのサイレンサー構造でもある事から、副作用(?)としてベストだと思った寸法では音量が規定値を超えるといった問題も出てきたりするんですよね。。。

なのでフルエキの開発は本当に大変です、はい(笑)

 

※ 解決して上手くいく時もあるんですが、最終段階ではそれらを基に取捨選択していく事になります

 

そうして細部を煮詰める度にテストで確認し、最終的に出来たマフラーはノーマルはもとよりスリップオンとは全く違うパワーフィールを感じる事が出来るのがフルエキの最大の魅力だと思っています。

 

因みに弊社ではスリップオン開発の後にフルエキを開発する事が多いのですが、フルエキとスリップオンの特性が余り変わらない場合は、ほぼカタチになっていたとしても、リリースはしない事にしています。

 

フルエキの一番のデメリットはやはり「価格が高い事」になると思いますので私としても価格が高いのに少しマフラーレイアウトが違う程度の商品をリリースする気になりませんし、過去に2度、そのうちの一度はJMCA認証試験合格後に、それぞれリリースを断念しています。

もう6~7年前位の事でココ最近ではないですけどね。。エラそうな事を書いていてもこんな感じです(笑)

 

「ノーマルの特性も良かったけど、フルエキにするとこんな一面があるのか♪」って事が、フルエキを求める方々の魅力だと思いますし、そういう商品しか売りたくないと考えるのは当然と言えば当然ですね。

 

あと、スリップオンの時のフロントパイプの質問に似ていますが、「スリップオンを装着していますが、フルエキにしたいのでフルエキ用のエキパイを購入出来ますか?」といったお問い合わせも頂くのですが、残念ながらこの場合でも装着不可となってしまします。

 

というのも弊社の場合はスリップオン、フルエキはそれぞれ完全専用設計で開発しています。

 

上がスリップオンで下がフルエキ構成部品です。

センターパイプ(中間パイプ)の長さや形状が全く違う事が確認出来ると思いますが、実はサイレンサーの全長・内部構造も全く違います。(フルエキの場合はセンターパイプに触媒も内蔵しています。)

 

この様に残念ながらスリップオンをフルエキには出来ませんし、エキパイの形状・パイプ径・管長に至るまでノーマルエキパイとも全く異なります。

 

ノーマルエキパイはサイレンサー手前までが一体式構造です。

 

お問い合わせの中で「スリップオンから拡張出来るフルエキを発売して欲しい」とリクエストを頂く機会もあるのですが、ノーマルエキパイに対して造ったスリップオン、それに対して造ったエキパイがそのバイクの持つパワーを最大限引き出せるのか??。。。考え方にもよると思いますが、私はそれに懐疑的です。

 

実際に上記の例ではサイレンサーの長さも構造も違います。

 

・スリップオン用SS-OVAL : 285mm インナー径 φ32 だったかな?

・フルエキ用SS-OVAL   : 333mm インナー径 φ28.6  となっています。

 

ノーマルエキパイはエキパイ径がかなり細くエキパイ部でも程々に消音されている事もあり、スリップオンでは長さを短くインナー径は大きく出来ていますが、音量面を考慮してそれ用のエキパイを造るとしたらエキパイ径もノーマルの様に細くなり、エキパイ部でもある程度消音機能を持たせざるを得ず、そんな感じで造ったエキパイが、フルエキ専用に造ったパイプ径・管長のマフラーにパフォーマンス的に上回る事になるでしょうか?皆さんはどう思いますか?

 

因みに現在販売しているフルエキにスリップオンサイレンサーを装着したら、パワー的には上がるかも?ですが、音量はレース用並に上がり、近接:100dB、加速:86dB。。。みたいな大変な事になってしまいます。 ※ 因みにフルエキSTDタイプ・SS-OVALは近接:92dB 加速:79dBでしっかり合格しています。

 

そういった事も考えていく中で、弊社の場合はスリップオン開発、フルエキ開発と全くアプローチを変えて開発していますのでご理解頂けたらと思います。

 

また、誤解の無い様に敢えて書きますが、フロントパイプとスリップオンを販売されている各メーカーさんは、それらを当然踏まえた上で、マフラーの開発段階から熟慮を重ねてマフラーを造られており、実際に試験等で完成したマフラーを拝見していますが、本当に良く出来ていると感心しています。

 

いわば、マフラー開発のアプローチの違いですね。それ以上でもそれ以下でも無く他意はございません。

上記はあくまでも弊社のアプローチの場合として読んで頂ければ幸いです。

 

 

という事で。。。大変長々と書いて恐縮しますが、実際のマフラー開発に際してもスリップオンよりフルエキの方がこれ位の作業量という感じですね。。。(笑) でも大変ですがやりがいのある仕事です、はい。

 

【フルエキゾーストのメリット】

・ パワー特性が大きく変わるのでバイクの良さをより引き立たせてくれる。(再発見出来る)

・ ノーマルに比べ、レスポンス感やレブ特性が向上する。

・ エンジンブレーキの効き方がノーマル時より自然な効き方となり、低速時がより乗り易くなる。

・ 自由なマフラーレイアウトにより個性的なマフラーカスタムが出来る。(スタイルの選択肢が多い。)

・ ステンレス・チタン材等を使用し、ノーマルマフラーとは違う造形美が満足感を高める。

【フルエキゾーストのデメリット】

・ 価格がスリップオンより高くなる。(スリップオンの2倍前後)

・ マフラー装着にはカウルの脱着作業もあり、整備経験が無い場合は難易度が高い事。

 

といったところでしょうか?フルエキの場合はやはり何と言っても価格の高さ、殆どの人がこれに尽きるでしょうか。

しかしながらそれをも超える魅力がフルエキにはあると思いますので、機会があればフルエキに挑戦してみては如何でしょうか?

 

という事で「フルエキ編」ですが以上となります。

 

長文になりましたが宜しくお願い致します。