ウンチの中の食べかすや化学成分からわかることがある。
消化されない植物の種や繊維、昆虫の表皮などから、何を食べていたかわかるのはもちろんのこと、どのくらい消化できているか、消化力が強いか弱いか、咀嚼する力が強いか弱いかなどのことが推測できる。
マンドリルとチンパンジーのウンチは ---
「昆虫をより多く食べるマンドリルのウンチの方が臭い」とギイ・ロジェさんは言う。彼は、ウンチに棒を突き刺して、ひとしきりクンクンをにおいをかいでから、ひとこと「マンドリル」とつぶやくように言う。
ギイ・ロジェさんは、もともと猟師だった。昔の日本映画やテレビドラマで「眠狂四郎」シリーズというのがあった。秘剣円月殺法をふるう浪人剣士だが、半眼で、背筋を伸ばしマシェット(長い山刀)を右下段に構えて音もなく森を歩くギイ・ロジェさんの姿は、田村正和さんが演じた眠狂四郎の雰囲気によく似ている。実際、どんな小さな気配も見逃さない。
シベットなど食肉目の動物のものらしい細長い糞のにおいをかぎながら、「虫くさいな」とつぶやき、「先生、これはセンザンコウの糞だよ」と断定するのは、
同じ村の猟師(兼魔術師)だったザンバットさんだ。ザンバットさんは、魔術師なので、植物を薬にしたり毒にしたりすることに詳しい。
二人とも、山際さんのプロジェクトで研究者たちに森の案内をするようになってから狩猟をやめているが、それでも薄暗いアフリカの森の中で、動物を見つけだす能力は、慣れているわたしでも、とても太刀打ちできない。
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動物によっては、栄養補給以外の目的で糞を食べることがある。
同じようなことは、コアラにも見られる。
それはコアラがコアラになるための重要な儀式、親子の間の食糞である。コアラのお母さんは、おなかの袋にいる子どもが20週間あまり成長するといつもとは違うドロドロのウンチをする。それを赤ちゃんコアラが食べる。このドロドロウンチの中には、ユーカリの毒を分解する細菌や繊維の消化に必要な腸内細菌がたっぷり含まれている。コアラの子どもは、このようにしてはじめて必要な腸内細菌をウンチを食べることで身につけていく。そして、草食の鳥であるニホンライチョウも母鳥の特別なウンチをひなが食べることによって、母から子へ、生きていくために欠かせない腸内細菌を受け継いでいることがあきらかになってきた。
動物のウンチ博士、面白い!
腸内細菌学者の方の、ティーン向けに書かれた本です。
野生動物の排泄物に含まれる、腸内細菌を調べておられます。
落としたてを大急ぎで採取されているのです。大変です。
しかし森の中で、
ウンチ刺して臭いで動物がわかるって、なにそれかっこいい。
野生動物を保護して自然へ返すことについて。
コアラ同様に、ニホンライチョウも、自然環境での主食が毒性を持った高山植物。
では、タマゴから保護した場合はどうするのか。というお話が興味深かった。
知ることができて良かったです。