東大世界史過去問 出題分析 小論述・近世編 | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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東大世界史の小論述問題のうち,近世の出題割合のデータを紹介します。


対象としたデータは,1985年~2018年の東大世界史の全ての小論述問題ですが,対象や編集・集計の詳細については「大学別過去問 論述問題 分析 」の記事をご覧ください。


時代別

古代」・「中世」・「近世」・「近代」・「現代」と5つの時代に分けた場合,「近世」の問題数の順位は25%強で,時代別で1位となった。


世界史のなかで近世の範囲が少ないことを考えると,ずいぶん多く出ている。1999年以前も2000年以降も安定して多めに出題されている。


※ここでは,便宜上,「近世」の範囲を,ヨーロッパは15世紀末~18世紀半ば,イスラームは主に16~18世紀前半のオスマン帝国・サファヴィー朝・ムガル帝国などの時代,東アジアは明から清代前半までとした。分類・集計の詳細については「大学別過去問 論述問題 分析 」の記事をご覧ください。


※時代別の出題割合の詳細については,「東大世界史 過去問・小論述 時代別出題割合 」の記事をご覧ください。


地域別

近世の小論述の全問題を,まず「ヨーロッパ」と「アジア」に大きく分けて,それから,さらにヨーロッパを「西ヨーロッパ」と「東ヨーロッパ」,アジアを「西アジア」(トルコ・イランなど)・「南アジア」(インドなど)・「東アジア」(中国・朝鮮など)に分けました


なお,一つの問題に複数の時代や地域が含まれている場合には,その問題が含んでいる各要素の割合を推定し,その割合を反映させて補正を行うことで,実質的な出題の割合がわかるように期しています。


東大世界史 小論述・近世 地域別出題割合①

東大世界史 小論述・近世 地域別出題割合②

順位 時代 割合
1 東アジア 33.0%
2 西ヨーロッパ 32.3%
3 南アジア 13.2%
4 東ヨーロッパ 11.1%
5 西アジア 10.4%

近世のなかでの出題割合は,ヨーロッパとアジアで大きく分けると,「アジア」が56.0%,「ヨーロッパ」が44.0%となった。(結果的にきりのよい数字になっていますが,これは小数点第2位で四捨五入した結果たまたま小数点以下第1位がゼロになっただけで,実際はその下に小数が続いています)


ヨーロッパとアジアをさらに地域ごとに分けると,「東アジア」が33.0%で1位,「西ヨーロッパ」が32.3%で2位で拮抗しており,その後は,「南アジア」13.2%,「東ヨーロッパ」11.1%,「西アジア」10.4%と続いた。


地域ごとの詳細

東アジア」は出題が最も多かった。ここでは近世の東アジアを明と清代前半のみと狭くとっていることを考えると,非常に多い。テーマとしては,貿易関係と文化交流関係が特に多く,海禁・朝貢貿易やイエズス会を媒介としたヨーロッパとの交流が頻出になっている。


西ヨーロッパ」も多かった。世界史の近世史で最も大きく扱われるのが西ヨーロッパなので,妥当といえるのではないだろうか。テーマは海外進出・貿易関係が圧倒的に多く,他には宗教改革関係が少し出ている。


南アジア」は,範囲が少ないことを考えれば,それなりに出題されている。ムガル帝国の制度や,インド・イスラーム文化が注目テーマになっている。


東ヨーロッパ」は,あまり出題は多くない。高校世界史で扱われる量が少ないので,妥当な量といえる。西ヨーロッパとの交易関係のほか,ロシアとポーランドが少し出題されている。


西アジア」は,比較的少なかった。オスマン帝国・サファヴィー朝と,近世イスラームの主要王朝が複数ある割には少ないといえる。テーマは,オスマン帝国の制度についてのものが多い。