第２回　一線のハネツギ

【図①】

　黒番です。ＡとＢのどちらに打ちますか？

【図②】

　まず、黒１（Ｂ）と打つ手から見ていきましょう。

　黒１（Ｂ）は１目の手です。白からは、地が増えるわけではありませんので０目の手です。ただし、黒地が１目増えるのを阻止しています。

　ところで、ヨセに入れば、お互いに大きいところから打つことになります。

　２目の地より５目の地が増えるところに打ちたいですよね。また、自分の地が３目増えるところより、相手の地１０目減らせるところがあれば、そこに打ちたいですよね。

　しかし、まずヨセを打つ場所が分からないと話が前に進みません。ですので、盤面全体を眺めて、「ここと、あそこと、ええと、あそこもか、、、」とヨセを打つ場所を確認しておく必要があります。

　次に、ヨセを打つ場所の確認ができたら、ではどの順番に打てばよいか、となりますね。そこで「大きいところから打つ」となるわけです。

　それでは、「ヨセの大きさ」はどうやって決まるのか、といいますと、

　【公式】一手の大きさ＝黒が打つとできる黒地の目数

　　　　　　　　　　　　　　　＋白が打つとできる白地の目数

です。

　この公式を使ってさっそく図の黒１（Ｂ）の手の大きさを見てみましょう。

　まず、黒が打つとできる黒地の目数は、１目です。次に、白が打つとできる白地の目数は０目です。

　したがって、【公式】一手の大きさ＝１＋０＝１　となります。

　つまり、図のＢのヨセの場所は、黒にとっても、白にとっても、お互いに１目の手という大きさだと判断します。

　では次に、図のＡの場所のヨセの大きさを見てみましょう。

【図③】

　黒１（Ａ）とハネツイだ図です。ここで注意していただきたいのは、図④（先に白がハネツイだ図）と見比べると、×の箇所に黒地が１目増えています。

【図④】

　白が先にハネツイだ図です。図③（黒がハネツイだ図）と見比べると、×の箇所に白地が１目増えています。

　ということは、この場所のヨセの大きさは、

　黒が打つとできる黒地の目数は、１目。白が打つとできる白地の目数も１目ですから、【公式】一手の大きさ＝１＋１＝２　となります。

　つまり、図のＡのヨセの場所は、黒にとっても、白にとっても、お互いに２目の手という大きさになります。

【図⑤】

　結論として、ヨセを打つ順番は、黒１（Ａ）から、が正解となります。

　この機会に、「第１線のハネツギは２目の手」と覚えておきましょう。

【図⑥】

　問題です。黒番です。ＡとＢのどちらに打ちますか。

【図⑦】

　黒１（Ａ）とハネツイだ図です。しかし、図⑧と見比べても、×の箇所は黒地ではありません。黒にとっては０目の手です。

【図⑧】

　白がハネツイだ図です。図⑦と見比べると、×の箇所に白地が１目増えています。ということは、この場所のヨセの大きさは、

　黒が打つとできる黒地の目数は、０目。しかし、白が打つとできる白地の目数は１目ですから、【公式】一手の大きさ＝０＋１＝１　となります。

　つまり、図のＡのヨセの場所は、黒にとっても、白にとっても、お互いに１目の手となります。

【図⑨】

　黒１（Ｂ）とハネツイだ図です。図⑩と見比べると、×の箇所に黒地が１目増えています。

【図⑩】

　白が先にハネツイだ図です。図⑨と見比べると、×の箇所に白地が１目増えています。

　ということは、この場所のヨセの大きさは、

　黒が打つとできる黒地の目数は、１目。白が打つとできる白地の目数も１目ですから、【公式】一手の大きさ＝１＋１＝２　となります。

　つまり、図のＢのヨセの場所は、黒にとっても、白にとっても、お互いに２目の手となります。

【図⑪】

　ヨセを打つ順番は、黒１（Ｂ）から、が正解となります。

【図⑫】

　黒番です。ＡとＢのどちらに打ちますか。

　ところで、ヨセの大きさを判断すには脳の残像効果を大いに発揮させる必要があります。しかし、慣れないうちは結構難しいものです。「ヨセは苦手」という人は、この辺りに理由があるのではないかと思います。

　ただし、このヨセが苦手では、優勢な碁も勝ち切ることが難しくなってきます。ですので、感覚的に「ここのヨセは大きいな」と思えるようになれば、と思います。年配の方で、実戦経験が豊富な人は、この辺りが違うのかなと思います。

【図⑬】

　黒１（Ａ）とハネツイだ図です。図⑭と見比べると、×の箇所に黒地が１目増えています。

【図⑭】

　白が先にハネツイだ図です。図⑬と見比べると、×の箇所に白地が２目増えています。

　ということは、この場所のヨセの大きさは、

　黒が打つとできる黒地の目数は、１目。白が打つとできる白地の目数は２目ですから、【公式】一手の大きさ＝１＋２＝３　となります。

　つまり、図のＡのヨセの場所は、黒にとっても、白にとっても、お互いに３目の手となります。

【図⑮】

　黒１（Ｂ）とハネツイだ図です。図⑯と見比べると、×の箇所に黒地が１目増えています。

【図⑯】

　白が先にハネツイだ図です。図⑮と見比べると、×の箇所に白地が１目増えています。

　この場所のヨセの大きさは、

　黒が打つとできる黒地の目数は、１目。白が打つとできる白地の目数も１目ですから、【公式】一手の大きさ＝１＋１＝２　となります。

　つまり、図のＢのヨセの場所は、黒にとっても、白にとっても、お互いに２目の手となります。

【図⑰】

　ヨセを打つ順番は、黒１（Ａ）から、が正解となります。

　ところで、ここでとても重要な事に気付かされると思います。

　それは、黒３ツギに白は手を抜くことができず、白４と守らないといけない事です。もし白が手を抜くと、白地がズタズタになってしまいます。

　このように、相手が受けざるを得ない手を「先手」と呼びます。

　この図のように、先手のヨセ（Ａ）から打つと、もう一方のヨセ（Ｂ）も打つことができるのです。

　上手と打つときにどんどん地を減らされる経験をしたことはありませんか？相手に先手、先手でヨセを打たれているのです。

【参考・引用図書等】

・王景怡の「ヨセはＯＫ」（囲碁将棋チャンネル）

【基本】ヨセ②