詰碁もそうですが、手筋の問題集を解いていて思うのが、基本的なものを除いては実戦で同じような形はなかなか出現しない。
したがって、実戦ではなけなしの脳みそを絞って、相手の石を「手筋の生じる形」に導けないかと打つ。これを「狙いのある手」と言うのかは分からないが、相手も百も承知で受けてくる。相手も考えていることは同じで、つまり「狸の化かし合い」なのである。
そして、勘違いやミスによって勝敗が決まる。今は、そんな碁を打っているような気がする。
ところで、時に、有難いことに相手がわざわざ「手筋の生じる形」に打ってきてくれることがある。
【図①】
例として、白1カカリから白3の三々入りに対して、黒6とオサエてきた場合がある。
定石は、黒イと伸びるところだが、黒6と打つことでイの箇所に「キズ」が生じる。意気消沈している白1にとっては、棚からぼた餅が落ちてきたようなものである。
白1がなければイの箇所はキズでもなんでもないのだが、黒みずから「手筋の生じる形」を作ってくれたわけである。
【図②】
では、どのような手筋が生じるかといえば、白1とサガル手で、次に白イのキリと白ロのワタリを見合いにする手である。
【図③】
白1と直接キルと、この形は黒2のハネツギが大事で、その後はグチャグチャした進行となる。
【図④】
白1サガリに黒1とオサエれば、白3キリ。次に白イと白ロが見合いというわけである。
【図⑤】
定石の進行です。以前、プロ棋士との指導碁で、模様を作ろうとあえて定石外れを打ったことがありますが、徹底的に荒らされてしまいました。これも勉強だと思った次第です。