令和8年度埼玉県林業技術者育成研修Day7では、初めて山へ入り、「森の健康診断」の実習を行いました。午前は手入れされていない人工林、午後は手入れされた人工林を調査しました。

 

 

 

令和8年度 埼玉県林業技術者育成研修
FORESTRY TRAINING REPORT|DAY 7

森の健康を、数字で診る

手入れされていない森と、

手入れされた森を比べる

 

2026年8月1日(土)、令和8年度埼玉県林業技術者育成研修Day7を実施しました。

 

本日の研修は、森林・林業の基礎実技「森の健康診断」です。

 

参加者は4名。

 

前回のDay6では、森の健康診断の目的や調査方法を教室で学びました。

 

今日は実際に山へ入り、

  • 午前は手入れされていない人工林
  • 午後は手入れされた人工林

の二か所を調査しました。

 

森の状態を「暗い」「明るい」「混んでいる」と感覚だけで表すのではなく、木の本数や太さ、植生、落葉層などを測り、森林の健康状態を数字で示すことが今日の大きな目的です。

 

 


初めての山での実習

これまでの研修では、林業の基礎知識や安全衛生、森林調査の方法を教室で学んできました。

 

今日は、研修生にとって初めて本格的に山へ入って行う実習です。

 

ヘルメット、作業服、測定道具を身につけ、4名で調査地へ向かいました。

 

机の上で手順を理解していても、実際の山では状況が異なります。

 

斜面があります。

 

枝や倒木があります。

 

足元は平らではありません。

 

道具を持って移動するだけでも、周囲と足元への注意が必要です。

 

ここから、教室で学んだ知識を現場で使う研修が始まります。

 

 


午前は手入れされていない森へ

午前は、手入れが十分に行われていない人工林を調査しました。

 

林内には低木やつる植物が多く、倒木や枝もあり、移動するだけでも簡単ではありません。

 

森の健康診断では、最初に調査地を設定します。

 

同じような状態の人工林が一定の範囲に続いている場所を選び、中心となる木を決めます。

 

調査前には、研修生一人ひとりが森を見て、

 

「混んでいると思うか」

 

「明るいか、暗いか」

 

「地表に植物があるか」

 

など、最初の印象を確認しました。

 

その後、実際に測定し、最初に感じた印象と数字が一致するかを確かめます。

 

 


木の太さを測る

調査地が決まった後は、木の直径を測りました。

 

森林調査では、地面から1.3メートルの高さにおける幹の直径を測ります。

 

これを胸高直径と呼びます。

 

斜面では、斜面の上側から1.3メートルの高さを測り、直径巻尺を幹へ水平に巻きます。

 

巻尺が傾いたり、つる植物を一緒に巻き込んだりすると、正しい数字が出ません。

 

木を一本測る作業は単純に見えます。

 

しかし、

  • 測る高さ
  • 巻尺の位置
  • 斜面の上下
  • 数字の読み方
  • 記録の確認

を正しくそろえなければ、調査結果に誤差が生じます。

 

 


植栽木以外の樹木も調べる

森の健康診断では、植えられたスギやヒノキだけを調べるのではありません。

 

調査枠の中に自然に生えた低木や広葉樹についても、

  • どの程度生えているか
  • 何種類あるか
  • 1.3メートル以上の木が何本あるか
  • その直径はどのくらいか

を調べます。

 

植物の種類と量は、林内へどの程度光が入っているかを知る手掛かりになります。

 

間伐が遅れて林内が暗くなると、地表の植物が減り、土がむき出しになることがあります。

 

反対に、適切に手入れされ、林内へ光が入ると、さまざまな草木が育ちやすくなります。

 

 


落葉層と腐植層を見る

次に、地表の状態を調べました。

 

落葉層とは、落ち葉や小枝の形が残っている層です。

 

腐植層とは、落ち葉や枝の分解が進み、黒っぽい土のようになった層です。

 

落ち葉や植物が地表を覆うことで、雨滴が直接土へ当たるのを防ぎます。

 

また、植物の根や土壌生物の働きによって、土の中へ水が染み込みやすくなります。

 

地表が植物や落ち葉に覆われているか。

 

腐植層がどのくらいあるか。

 

これらも、森林の状態を判断する重要な材料です。

 

 


午後は手入れされた森を調査

午後は、適切に手入れされた人工林へ移動しました。

 

午前の調査地と比べると、林内の見通しがよく、移動もしやすい状態でした。

 

同じ人工林でも、手入れの有無によって、

  • 林内の明るさ
  • 下層植生
  • 足元の状態
  • 木と木の間隔
  • 作業のしやすさ

が大きく異なります。

 

研修生にとっても、午前と午後の違いがはっきり感じられたようです。

 

ただし、森の健康状態は、見た目だけでは決められません。

 

午前と同じ方法で測定し、結果を数字で比べることが必要です。

 

 


半径5.65メートルの意味

植栽木の混み具合を調べるため、中心木から5.65メートルの釣り竿を回し、円形の調査範囲を設定しました。

 

5.65メートルという数字は、半端に見えます。

 

しかし、この長さには理由があります。

 

半径5.65メートルの円の面積は、ほぼ100平方メートルです。

 

その円の中にある木の本数を数え、100倍すれば、1ヘクタール当たりの本数を求めることができます。

 

森の健康診断では、この100平方メートルの範囲を基準に、

  • 木の本数
  • 平均直径
  • 平均樹間距離
  • 林分形状比
  • 相対幹距

などを計算し、森林の混み具合を判断します。

 

 


木を一本ずつ数える

5.65メートルの釣り竿を中心木の周囲へ回し、円の中に入る木を一本ずつ確認しました。

 

境界付近の木が調査範囲に入るかどうかは、釣り竿の先端で確認します。

 

数え漏れや二重計測を防ぐため、研修生同士で声を掛けながら進めました。

 

森林調査は、一人だけで完結する作業ではありません。

 

測る人。

 

記録する人。

 

範囲を確認する人。

 

互いに数字を復唱し、間違いがないかを確認します。

 

正確な調査には、チームワークも欠かせません。

 

 


手入れの違いを身体で知る

午前と午後に、状態の異なる二つの人工林を調査しました。

 

午前の森では、低木やつる、倒木などが多く、調査地点へ入るだけでも苦労しました。

 

午後の手入れされた森では、見通しがよく、調査も比較的進めやすい状態でした。

 

この違いは、写真や教科書だけでは十分に伝わりません。

 

実際に山へ入り、歩き、しゃがみ、木を測ることで、森林整備の意味を身体で理解できます。

 

ただし、今日一番大切なのは、単に「こちらの森の方がきれいだった」と感想で終わらせないことです。

 

木の本数、直径、植生、落葉層などを記録し、なぜその森を健康と判断するのかを数字で説明できるようにすることです。

 

 


猛暑の中、初めての森林調査を完遂

本日は暑さの厳しい中での実習となりました。

 

初めての山での調査に加え、午前と午後で二つの森林を調べました。

 

山の中では、測定だけでなく、道具の運搬や斜面の移動にも体力を使います。

 

4名の研修生は、互いに声を掛けながら、最後まで調査をやり遂げました。

 

初めての森林調査としては、内容の濃い一日だったと思います。

 

 


森の状態を、根拠を持って説明する

林業技術者には、木を伐る技術だけでなく、森の状態を判断する力が必要です。

 

この森は、なぜ間伐が必要なのか。

 

この森は、どの程度混んでいるのか。

 

手入れによって、林内はどう変わったのか。

 

これらを、経験や感覚だけではなく、調査結果を使って説明する。

 

それが、森の健康診断を学ぶ意味です。

 

本日は、手入れされていない森と手入れされた森を、同じ方法で調査しました。

 

二つの森を比べたことで、森林整備の効果と、数字で状態を表すことの重要性を学ぶ一日となりました。

 

次回は8月2日(日)。

 

コンパス測量の外業実習を行います。

 

森で働く。未来を育てる。

 

そのために、まず森の状態を正しく診る力を身につけます。

 

 

 

 

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