梅雨の合間を縫って、久しぶりにバイク仲間4人でツーリングに出かけた。行き先は、水の街「潮来・佐原」。ちょうど、周辺では「あやめ祭り」が開催されていて人出も多かった。
佐原は、伊能忠敬の家があったことでも有名である。GIS(地図情報システム)を使ったマーケティング業務という、多少なりとも地図に関わる仕事をしているので関心はある。17歳でこの地に婿入りして、商いで大成した後、55歳で地図づくりを始めたらしい。今で言う定年後、第二の人生で地図づくりに携わったようだ。
ところで、バイクの面白さは、以前、ある作家が言っていたように「地形と気候」だ。2輪なので車体を傾けカーブを曲がったり、コントロールしたりする。また、暑い時は暑いし寒い時は寒い、雨が降れば濡れる。車より圧倒的に地形や気候のインパクトを受ける。
この「地形と気候」のインパクトがバイクの魅力だと思う。また、観光地の魅力ともある面通じるものがある。
●観光地の魅力の要素は?
当社では、観光地商業に関する調査やプランニングも業務のひとつだ。そこで、観光地の魅力は何だろうと、あらためて考えてみた。
地形 × 気候(歳時) × 歴史(文化)
この3要素の個性から新鮮なインパクトを受けること。それが魅力となっているのではないだろうか。
そんな視点で佐原の魅力を見てみた。
まず地形は、利根川に面し霞が浦とも近く、水と密接に関連する地である。また、江戸時代は幕府の直轄領で通商の拠点、水運のターミナルとして栄えた街である。まさに「水の郷さわら」である。佐原の位置する香取市は、歴史・文化で年間236万人もの観光客を集客している。(平成23年千葉県)
水辺の草花「あやめ」も見事だった。ちょうど、白無垢の花嫁さんが船に乗って嫁ぐイベントがあったが、これも水と暮らす歴史のひとつだと思う。カヌーを楽しんでいる人もいて、これなど、今この街の楽しみ方の典型だろう。
●観光地商業のファンダメンタルとは
商業的には、いくつかのケーススタディから観光地商業の基本が明確になってきているので参考までにお伝えしたい。その特徴は、概略以下の3点である。
1. 遊興飲食店数(酒の提供を主とした飲食店)
2. 小売店舗数
3. 宿泊施設数
観光地で、集客数に対してこれらの変数が、相関係数0.7を超えて高く、集客数に寄与している。また、単に数が多いことよりも、先に上げた観光地の魅力要素とマッチングしていることが大切のようだ。
歴史的街並みの小野川沿いは、33万人の集客がある。最近は
「街に若い人も戻ってきて、おしゃれなリストランテも開店して、お客さんが並んでいる位の人気ですよ。」
と観光ボランティアの方。やはり、観光だけではなく飲食や買い物の魅力も大きい。近くの道の駅「水の郷さわら」は、102万人の集客だ。
●観光と商業のマッチングが街をブレイクさせる
観光と商業のアイデンティティがあり魅力の相乗効果が出ると街の人気にもつながる。典型例が以前ブログでも説明した伊勢内宮の「おかげ横丁」である。
おかげ横丁や佐原のように、街と商業のアイデンティティが取れれば、その相乗効果で多くの観光客を呼び込むことが出来そうだ。
まさに、「観光 × 商業」は、「かけ算効果」と言えそうだ。
秋と合わせて75万人の観光客が集まる大祭がこの7月に開催される。首都圏から近いし、一度、行ってみる価値がある街ではないだろうか。