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"HW not C”のススメ (2)

前回は「5W1H」に代表されるWとHについて考えてきました。今回は、なぜWから先に考え
ない方がよいのか?Wから考えると何が起きるのか?についてお話しします。

 

早速ですが、あなたはお仕事や日常生活の中で困難に直面したとき、「わたしに出来るかな?それとも出来ないかな?」と自分に問いかけてはいないでしょうか?

 

「出来るか、出来ないか」という問いかけは、一見したところ冷静でクールに状況を判断しているように見えますが、実はこれが曲者。これから事に取りかかろう。つまり、ようやくスタートラインに立ったばかりの段階であるにもかかわらず、すでに選択肢の中に「出来ない」という不可能を前提とした仮説が入り込んでいます。

 

直面している問題が、命にかかわるような重大事や緊急事態でもない限り、目の前の問題を
避けて通れる人はそう多くありません。特に仕事上のことであれば尚のこと避けて通れないのが実状でしょう。(自分がやりたくないことを、うま~くスルーして何食わぬ顔をしている人も稀にいますが…)

 

そんなときにこそお勧めしたいのが、HW not Cの思考方法です。

HとWの順序が変わっているだけでなく、not Cというおまけまでついています。

 

5W1Hを例にして考えてみましょう。

 

When:いつ出来るんだ?
Where:どこでやるんだ?
Who:だれがするんだ?
What:なにをすればいいんだ?
Why:なぜしなければならないんだ?

 

と考えていくと…目の前の問題が、ものすごく難しいものに見えてきませんか?こうなると、「積極的に問題に向き合い、問題の解決を通してスキルアップにつなげよう!」などと前向きに考えられる人はいないと思います。

 

人は1万年前と同じ悲観的な生き物である?!

しかし、これは無理もないことです。ある研究によると、「人間のものの受けとめ方として、損得が同じ場合、より良くなると感じる割合を1とすると、より悪くなると感じる割合は2.25倍である」というデータがあるのです。つまり、人間とは生まれつき物事を悲観的に受けとめる生き物だ、ということです。

 

これについては、人間の脳が1万年前から基本的に進化しておらず、その時代の自己防衛
本能に基づいて、物事を否定的に捉えることで危険を回避しようとしているためだ、という別の説もあります。

 

さまざまなセキュリティ技術や法制度によって守られた現代人の生活に比べれば、1万年前の厳しい自然環境の中を自力で生き抜かなければならなかった当時の人類の方が、身の危険についての感度が遙かに敏感だったと思われます。それは即ち、常に最悪の事態を想起し、異常にどのように対処するかを直感的に判断し、対処ていた頃の名残りだというのです。普段とは少しでも違うことが見つかったら、即座に起こりうる危機と結びつけて、それを回避する方法を見つけだす能力がある者のみが生き残ることを許された厳しい時代だった。ということです。

 

よく、「アウトドアのスキルが災害時のサバイバルに役立つ」といわれますが、このサバイバル能力とは、まさに1万年前の祖先が身につけていた危機回避能力を活性化する。というのと同じだと思って差し支えないでしょう。

 

さらに、ネガティブシンキング(悲観論)が人間の本性だと考えるなら、ネガティブな思考の3倍ポジティブに考えることで初めてバランスがとれるという研究結果もあります。悪い方に考える傾向が2.25倍であることを考えると、現代社会に生きる私たちは、そのくらい楽観的に物事を捉えておかないと、確かにバランスがとれないですね。

 

このように、まずWから考えると、人間の本性として、どうしてもネガティブな考えに囚われてしまい、よほど強く意識しないと目の前の問題が、とてつもなく困難で不可能なものであるような気がしてきてしまうのです。

 

そもそもが、あまり乗り気でないことですから、

 

「いつやる?」⇒「あとで、出来るだけ後回しにしたい」
「どこでやる?」⇒「適当な場所が見つかったらね。何もここでやらなくたって…」
「誰がやる?」⇒「(自分は)やりたくないなぁ、誰かやってくれないかなぁ」
「なにをすればいいんだ?」⇒「わからない!やりたくない!!」
「なぜ?」⇒「そもそもなぜ私がやらなきゃいけないんだ?!」

 

こうなると、やる気もへったくれもない状況にどんどん落ち込んでいきます。やっかいごとを前にしたときにWから考え始めることは、事態を悲観的で複雑なものにしてしまうことがおわかりいただけたと思います。

 

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さぁ、次回からいよいよ「まずHからはじめよ」のススメについてみていくことにしましょう。

 

(1612004)