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ワンダちゃんNEXT DOORプロジェクト 開発スタッフブログ

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PVC製塗装済み完成品からレジンキャストキットと化してしまった『ワンダちゃんNEXT DOOR』プロジェクトとは言え、製品化へ漕ぎ付けるまでにはいくつも地道な作業が残されています

まず最初にお見せするのは、エルドラモデルさん(FILE:07 ポコさんVer.ワンダちゃんではとことんお世話になりました)に立体出力を依頼し、それを原型製作担当であるウミヤマヒロシさん(海山マテリアル)がモールドが潰れぬよう繊細に表面を磨いてサーフェイサーを吹き、海洋堂へ送られてきた原型パーツ。
こうした方眼が入ったカッティングシートに全パーツを並べてデジカメで撮影し、まずはレジンキャスト成型業者に大まかな見積もりを取ってもらいます
 

▲たかだか全高150mmのフィギュアにしてはパーツ数が多いように感じますが、これは以前にも同様のことを書いたように、塗り分け部分でパーツ分割してあるため。こうすれば面倒なマスキング作業がほとんどなくなり、各パーツを塗装したのちに組み上げていくことができるわけです。なお、赤い四角で囲んであるパーツが、ベースと足の裏を繋げるスペーサーパーツ。このパーツのみ透明樹脂にて成型されます


次いでお見せするのは、PVC製塗装済み完成品のときと同じ5mm厚の円形ベースを作成するための、「どの直径のベースにするのが美しくまとまるか」という見極め作業風景。このあたりをものすごく楽観的に考えている人がこの業界には非常に多いのですが(それはアマチュアディーラーもフィギュアメーカーも問わずの問題です)、造形物のベースにはその造形物を最大限に引き立てる適切な直径のベースが必ず存在するのです。

結果、今回のFILE:08 Mika PikazoさんVer.ワンダちゃんでは、いちばん左の「直径60mm」で行くことが決定しました。

 

▲「どうでもいいような作業に見えて、じつは猛烈に重要な作業」のひとつがこのベースの直径サイズ決め。ちなみに60mmで決定したのち、アクリル板加工業者に「直径60mm×厚さ5mm」のベースを発注することになります


そして、今回最大の「売り」である、瞳デカール製作に突入です。
前回のFILE:07版ポコさんVer.ワンダちゃんは我々の事前予想を大幅に超えた販売数を記録したのですが、その半面、「瞳デカールが付属していなので怖くて塗装できない」というような声がネット上で散見できたのも事実

そこで「今回はなんとか瞳デカールを付属させることができないものだろうか」と開発スタッフ間で侃々諤々と意見交換していたところ、6月21日のブログにも同様のことを書きましたが、FILE:07 ポコさんVer.ワンダちゃんの完成見本製作をお願いした(今回のFILE:08 Mika PikazoさんVer.ワンダちゃんの完成見本もお願いした)売れっ子フィニッシャーであるNoaさん(clips)から、我々からすれば神の声のような提案がもたらされたのです。
「FILE:07 ポコさんVer.ワンダちゃんのとき、ネット上で“瞳デカールがほしい”という声が結構上がっていましたよね。なので、もしなんだったら瞳デカールの版下を作成しましょうか? こちらにはそのノウハウがありますよ」

いや〜、このご提案には本当に助かりました! これもまた6月21日のブログに同様のことを書きましたが、とにかくMika Pikazoさんの描く目やまつ毛は複雑かつカラフルで、これを塗装で完全再現できる人など想像することすらできません
なお、瞳デカールの版下製作は基本的にNoaさんに丸投げ状態でお願いしたのですが、「ここのポイントだけは絶体に押さえてほしい」という理由から描かれたのが下に掲載する指示書です。

 

▲まあ、見てのとおりですね。「目とまつ毛だけでなく、二重まぶたを表現した周囲の線も瞳デカール内にきちんと入れてほしい」という嘆願的な指示書です


こうしてできあがってきたのが、下に掲載するデカールの版下。瞳デカールは貼り損じ=失敗を見越して1シート内に4セット付属させることに。
その下の巨大なワンフェスのロゴは、もちろん直径60mmの円形ベース表面に貼るもの
です。

 

▲……いやしかし、Mika Pikazoさんの描く(眉毛まで含む)瞳周辺がほぼ完璧に再現されていますね。この完成度の高さには我々開発陣もかなり驚かされました


で、以下は「実際にデカール業者から刷り上がってきた瞳デカールを、ピュアホワイトにて成型された素組みのレジンキャストキットに貼ってみました」というテスト画像。デカールのニス部分(余白の透明部分)が多少テカってしまっていますが、サイズもピッタリだし、何より「Mika Pikazoさんの描く目やまつ毛、まぶたの二重表現がそのまんま再現されている」ことが分かると思います。
これならば「美少女フィギュア製作時に、瞳を描くのが苦手なんだよなあ……」という人も恐れずに塗装にチャレンジできるはずです。

 

 

というわけでレジンキャストキットに関する情報はこれにてすべて出し尽くしてしまったので、次回は関連グッズアイテムの紹介で行くこととしましょうか。

それでは次回もよろしくお願いいたします!