「カメレオン系イラストレーター」吟さんとのお仕事(前編) | ワンダちゃんNEXT DOORプロジェクト 開発スタッフブログ

ワンダちゃんNEXT DOORプロジェクト 開発スタッフブログ

ワンダーフェスティバル,ワンダちゃん,ワンダちゃん NEXT DOOR プロジェクト,開発スタッフブログ,海洋堂,フィギュア製作

本プロジェクトの2Dスーパーバイザーである“なんとなくドクターK”さんからリストアップしていただいた新たなワンダちゃんの描き手候補のひとりとして、リスト内に記載されていたのが今回のFILE:05を担当しいていただいた吟さんでした。
同リストには『pixiv』内における吟さんのページのURLが貼り付けられていたのですが、そこに投稿されていた数々のイラストを見ていくうちにとある違和感が浮かび上がってきたのです。

「……この人、作品によって絵柄が全然違う!」

「ここまで絵柄をころころと変えることができちゃう人がいるんだ」という事実に対しまずは大いに驚いたのですが、同時に、どんな絵柄でもとにかくキャラクターの目力が強いことにハートを射抜かれたと言いますか……FILE:04のDANGERDROPさん版ワンダちゃんが「メカ+美少女」という非日常的なスタイルに基づく作品だったので、吟さんには「とにかくひたすらかわいい、よい意味で普通っぽくて目力の強いワンダちゃんを描いてほしい」という理由に基づき正式にオファーを出すに至ったのでした。

以下、“カメレオン系俳優”ならぬ“カメレオン系イラストレーター”とでも呼ぶべき吟さんの作品を何点かお借りして掲載してみますね。


(※ちなみにこのブログを閲覧するPCやスマホのブラウザ環境によっては、イラストの色味がかなり残念な色味で表示されてしまいます。吟さん、ごめんなさい……。)

 

 

▲今回のFILE:05版ワンダちゃんともっともかけ離れた絵柄と言える1枚。吟さんはこんなに格好よいクールなメカニック描写だって楽々とこなしてしまうのです。そして、とにかく絵が「艶っぽい」!

 

▲こちらはちょっとアンニュイな雰囲気が素敵な1枚。絵柄の変更に合わせて色の使い方も大きく変化していることが分かります。ぼ〜っとした表情をした眼帯を付けた女の子も、意図的に簡素な描写をしているのにじつは目力はしっかりと強いのです

 

▲その繊細で情報量過多な描き込み具合に頭がクラクラする着物美少女。きらびやかな雰囲気と彩色に決して負けていない、強い目力がやはり魅力的です

 

そして、「……次回のワンダちゃんはどうしても吟さんに描いてほしい!」という結論に至ったイラストが、下に掲載するイラストでした。

 

 

このイラストは'16年夏のコミケで吟さんが販売した個人誌『君のパンツが見たい。』という、「ちょっとエッチでバカらしい、青春パンツシチュエイションイラスト集」(※吟さんによる説明文より引用)の表紙イラストなのですが、この女の子のイラストにおける「塗り」の描写のすばらしさ(とくに顔の瞳周辺)と、この女の子の絵柄が醸し出す「有無を言わせぬかわいらしさ」、そして繰り返しになりますが目力の強さにノックアウトされたかたちとなったのです。

というわけで、「とくに瞳周辺の塗りの描写のすばらしさ」をぜひアップで観察してみてください!

 


さて、こうした経緯ののち、「吟さん版ワンダちゃんは『君のパンツが見たい。』系の絵柄で、ぜひ!」というお願いをしてワンダちゃんのデザイン作業がスタートしていくこととなりました。

例によってまずは初めに「“この絵がフィギュア化されるんだ”ということをできるだけ意識せず、自分が描きたいものを好き勝手にラフスケッチとして数点描いてみてください」という話をし、そして、最初に吟さんから上がってきたのが下に掲載するラフスケッチ群なのですが……。

 


ちなみにこの4点(女給ワンダちゃん、カップケーキ ワンダちゃん、冬ワンダちゃん、マジシャン ワンダちゃん)だけでなく、線画のみで未彩色の“冬JKワンダちゃん”という計5点のラフスケッチが一気に届いたのですが、「フィギュア化されることを意識せずに」とお願いしたのにも関わらず、カップケーキ ワンダちゃんと冬ワンダちゃんはまさしく「フィギュア化用に描き下ろされた設計図」にしか見えなかったんですね、正直なところ
だって、ラフスケッチの段階でベース(台座)までがデザイン内に盛り込まれてしまっているわけですから。

もっとも吟さん的にも「このプロジェクトにおける仕事は想像していた以上に難しい」とこのラフスケッチを描き上げた段階ですぐに気付いていただけたようで、「どんな服装やスタイルでもひとつしっかりとした設定を作成しそれを広げて筋を作らないとぼやっとしてしまい、描きづらかったです」という言葉がメールに添えられていました。

そして、そうした決定的な事実にきちんと気付いていただけた結果、吟さん版ワンダちゃんのラフスケッチはその後一気に集束へと向かいはじめることとなったのです。

……というわけでこのくだり、後編へともう1回続きます。乞うご期待!