こちらの続きです。






凌亮に新しい住まいを一緒に探して欲しいと言われ、アパートの内見に同行した。

日も限られてることと、早く決めて家を出て行きたいという気持ちもあり、凌亮はこの日3つの不動産屋さんの内見予約を取っていた。

不動産屋さんに着いてから物件の相談をし、大体3軒ほどに絞って内見するというのを3回繰り返したからかなりハードスケジュール。

個人情報と物件の希望条件を書いた用紙から目を上げ、
「住まわれるのはお一人ということで良いですか?」
と私の方を見ながら都度確認された。

単身赴任という感じでもなさそうだし、たしかに不思議なカップルに見えるだろうな。

流石に二人の関係を聞かれることはなかったものの、もし聞かれたら、凌亮は何と言ったのだろう。

真夏の強い日差しが降り注ぐ中、内見する部屋は茹だるような暑さでクラクラした。

とは言え、凌亮の予算と希望の中で一番快適な部屋を見つけようと私は真剣そのもの。

凌亮に快適な暮らしを手に入れてもらうため、色々なところに目を光らせてチェックした。

部屋の間取り、窓や扉の位置、方角、収納力、生活音…。

「俺一人では気付かないところもちゃんと見てくれてすごく助かった」
と、凌亮にはとても喜ばれた。

結局最後に行った不動産屋さんで内見した部屋が、ほぼ希望通りだったため、その部屋に決まった。

内装工事中ということで、即日入居はできないものの、新築同様の綺麗さ。

一口コンロということだけが私の中では引っかかったものの、凌亮は全く気にしていないようだった。

1日の疲れを癒し、休日を気ままに過ごすという当たり前の生活がようやく実現できる。

内見で1日が終わったけれど、希望通りの物件に出会えて良かったし、凌亮の新しい生活のお手伝いができて嬉しかった。