オノ・ナツメ著『BADON』が終幕を迎えました。
ドーワー王国の首都バードンを舞台に、4人の前科者が煙草専門店を開いて再起を図る物語。
それぞれ過去に直面し、一歩一歩前を向いて進んでいきました。
1巻からの謎だったリリーちゃん(中央の女の子)のことで大きな山を越えたのが5巻。
読み応えの面でもそこで終わっても不思議ではなかったのですが、大きな謎が残ってました。
リリーちゃんはハート(右の男)が昔の知り合いから電話1本で預けられた女の子でした。
そもそもハートに頼んだのは誰なのか。
裏組織にいたハートはなぜ足抜けを認められたのか。
ハートにつながる謎です。
1巻で出てきた煙草の問題も解き明かされます。
フィルム・ノワールを観ている気持ちで読みました。
痛みは軽くはない。それ以上に彼らのこれからが希望に満ちています。これで幕引は寂しい。ラズ(左の男)の煙草はどんな煙草になるのか、そこから始まる彼らの試みは軌道に乗るのか。見ていきたい事柄がありすぎます。
出自は様々でも今の彼らはバードンの市民です。彼らがバードンで作っていったつながりが新しいバードンを作って行くのかも知れません。
ハートの嬉し泣きで幕明けし、ハートの嬉し泣きで終わりました。
1巻から読み返さねば。
あの視線とか沈黙とかきっと伏線になってた。
と言いたくなる点が一杯ある作品です。
しつこく卵割りテナントさん。
写真お借りしました。