高知の桜が早い理由 | 気象予報士のさくらコラム

高知の桜が早い理由

杉江勇次です。

3月10日(水)の夕方、
とてもびっくりする情報が飛び込んできました。

「高知で桜が咲いた!!」・・・え?本当?まさか?

早くても15日頃だと思われていた桜(ソメイヨシノ)の開花情報。
気象関係者なら誰しもが驚いたことでしょう。

何故なら、この10日という日付は平年より13日も早く、
高知の統計史上1位の早咲きだったことはもちろん、
日本の歴代からも1位タイの最早記録だったからです。
(過去に、種子島で1973年と1955年に、潮岬で1959年に記録)

では、何故これほどまでに早く咲いてしまったのでしょうか?

桜は気温と密接な関係があり、冬の前半に寒く、後半に暖かくなると
開花が早まる傾向があります。

そこで、高知の1月以降の平均気温を平年と比べてみましょう。

1月 6.5℃(+0.4℃)
2月 9.8℃(+2.9℃)
3月上旬 12.5℃(+3.5℃)

1月は平年並程度にそこそこ寒かったのですが、
2月以降は気温が上昇しており、
これは紛れもなく早咲きのパターンになっていると言えます。

しかし、日本の記録を作るほど早く咲いてしまったのには、
もう少し理由があるはずです。

そこで、2月の気温を更に詳しく旬ごとにみてみると、
なるほどと思われるデータがありました。

2月上旬 7.7℃(+1.8℃)
2月中旬 8.3℃(+0.9℃)
2月下旬 14.4℃(+6.8℃)

みて分かる通り、
2月は下旬になってから一気に上昇し、
4月上旬並の気温になりました。
これは過去に例がないほどの高温状態と言えます。

先ほども触れたように、
桜は2月以降の気温が高ければ高いほど早く咲く傾向があり、
特に、開花まで1ヶ月を切った2月下旬以降の気温が高ければ、
一気に開花まで近づくことになります。

今年の高知の桜は、
計算式も追いつかないほどの「究極の早咲きの道」を
たどったという事になるのでしょう。

実は、2月~3月上旬にかけて、
高知ほどではないものの、
四国や九州の多くの所で似たような気温変化をたどりました。

この後も20日頃にかけては、
予想より早めに咲いてしまう所が出てくるかもしれません。

気象予報士のさくらコラム-2010気温冬480
(気象庁発表データより加工)