平成27年度卒業証書授与式 | ワークライフバランスで行こう!

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PTA会長として最後の卒業式の祝辞。
仕事の都合がどうしてもつかず、副会長に代読をお願いすることになりました。
最後の祝辞も全文掲載します。


祝辞
 ◯◯◯中学校、平成二十七年度卒業生、◯◯◯名のみなさん、卒業おめでとうございます。ご家族、保護者のみなさまに対しましても、ご卒業のお喜びを申し上げますとともに、これまで、PTA活動に、惜しみないご支援を賜りましたことに、御礼を申し上げます。
 今日の良き日を迎えることができましたのは、温かく、そして時には厳しく、子どもたちに寄り添い、熱心にご指導くださいました、校長先生をはじめ、教職員の先生方のご尽力の賜物と、深く感謝を申し上げます。また、日頃より、子どもたちの安全と、健やかな成長を見守ってくださいます、ご来賓のみなさまには、ご多用の中、ご臨席を賜り、卒業をお祝いしていただきますことを、心より御礼を申し上げます。

 さて、卒業生のみなさん、卒業という晴れの日を迎えた、今の気持ちはいかがですか。勉強に部活動に、そして、さまざまな学校行事に、一生懸命取り組んだ三年間も、今日が最後の日となりました。たくさんの楽しい思い出とともに、くやしいこと、つらいことも、数知れずあったのではないでしょうか。みなさんと一緒に過ごしてきたご家族にとっては、みなさんの成長が何よりの喜びでした。みなさんが元気で楽しそうにしていれば、うれしい気持ちになって、胸を躍らせましたが、反対にみなさんに良くないことがあり、元気がなければ、悲しい気持ちになって、胸を痛めました。そのように、みなさんの成長を見守ってくれているのが家族です。いつもみなさんのことを支え、応援してくれた家族への感謝の気持ちも、どうか忘れないでください。

 五年前の三月十一日。忘れもしない東日本大震災が発生しました。当時、みなさんは小学四年生でした。大きな揺れが建物を破壊し、津波が町をのみ込み、それまでの平穏な生活を一瞬にして奪っていきました。五年が経った今でも、被災地では不自由な生活を余儀なくされている人たちが大勢います。わたしは、震災直後の四月にボランティアとして被災地を訪ねました。その時の出来事でいまでも忘れられないことがあります。避難所となっていた陸前高田市の、ある幼稚園を訪ねたときのことです。震災から一ヶ月。まだ、町はがれきの山で、当然ながら、電気、ガス、水道といったライフラインは、何ひとつ復旧していませんでした。避難所となっている幼稚園には、家族を亡くした人や安否がわからない人たちが、不安と悲しみの中、身を寄せ合って日々を送っていました。そのような状況にもかかわらず、ボランティアで訪ねたわたしたちをねぎらい、レトルトではありますがカレーライスを用意し、もてなしてくれました。避難生活を送る中で、大変、貴重な食料であるはずなのに、自分よりも他人を優先する、そんな思いやりの心に触れ、とても胸が熱くなったことと、このとき食べたカレーライスの味は、一生忘れることはありません。

 今、世の中がどんどん便利になっています。車は自動運転になり、人間に変わってロボットが作業する、そんな時代が近い将来、必ずやってきます。だけど、変わらないし、変わってはいけないものがあります。それは人の心です。相手を思いやる心、そして、相手から受けた思いやりに感謝をする心。これは日本人の誇りでもあります。

 これから、みなさんは、今までよりも広い地域に友人ができると思います。また、自分の考え方と全く違う人とも交流をしていかねばならないことも出てきます。そして、みなさんが暮らす社会も、ますますグローバル化が進み、みなさんが活躍するフィールドも日本から海外へと移っていきます。日本の中にいても、多様な国籍、多様な価値観を持った人たちと一緒に仕事をするようになります。その時々に、みなさんには決して忘れないで欲しいことがあります。それは他人を尊重し、違いを受け入れることです。その根底にあるのが、思いやりの心ではないでしょうか。
 
 今日、◯◯◯中学校を卒業するみなさんは、それぞれの進路に向けて新しい一歩を踏み出します。その一歩は◯◯◯通りの道となって、一人ひとりの将来へとつながって行きます。その道のりにおいては、楽な道ばかりではなく、寄り道や回り道をすることもあるかもしれません。人生は選択の連続です。もし、自分の進むべき道に迷いそうになったら、一度、止まってみることも大切です。「正しい」という漢字は一つ止まると書きます。一度止まってみて、いま、自分はどこにいるのか、正しい道はどれなのかと、自分に問いかけてみることを忘れないでください。

 結びにあたり、保護者のみなさま、ご来賓のみなさま、そして教職員のみなさまにお願いがございます。ここにいる子どもたちは、大切な地域の宝であり、社会の宝です。新しい一歩を踏み出しましたあとも、そっと見守りいただき、手助けとなるお力添えを賜りますよう、お願いを申し上げます。立派に育まれた卒業生一人ひとりの心の種が、この◯◯◯の地、または、それぞれの行く先々の地で、色とりどりの花を咲かせてくれますよう祈念し、祝辞とさせていただきます。

平成二十八年三月十五日
◯◯◯中学校 PTA会長 高橋祥彦