おっさんですが、「よつばと!」好きです。
「よつばと!」は5歳の女の子「よつば」がとーちゃんと二人で、とある街に引っ越してきて、子供だからこそ、「毎日が発見、冒険」という日常を描いた、ほのぼのとした漫画です。

魅力①:よつばのキャラクター

まずは、単純によつばという女の子自体がとにかく面白い。

 

 

 


乱暴な女の子というわけではありません。
驚いて気が動転すると、とんでもない行動に出ます。
 

 

 

 

 

顔芸と言動。
各コマのよつばの顔。
最後のコマのよつばのセリフ。
冷静に考えると5歳の子がこんなこと言うか?というようなセリフもあったりしますが、そこが逆に面白かったりします。

魅力②:「よつばと!」はよく出来たファンタジー

設定が実は巧妙です。
よつばは、実はとーちゃんの娘ではなく、とーちゃんが外国に行った時に、何かいろいろあって、拾ってしまって、育てることになったという「へ?なにそれ。意味がわからん」という設定なのですが、実際漫画の中ではこの程度の説明しかありません。それも重い感じではなく、かるーく、とーちゃんが説明しています。
よつばが緑の髪の毛で、破天荒なキャラクターであるエクスキューズでもあり、よつばは血のつながりがないとーちゃんと二人暮らしで、母親がいないということで、家庭漫画、育児漫画にならないように工夫されています。
そして、とーちゃんは翻訳家であり、家で仕事をしています。これもよつばの日常を描くためです。毎日会社に通うようでは、よつばをどこかへ預けるしかなく、よつばとの交流も限られてしまいます。
また、よつばととーちゃんだけの日常では、「毎日が発見、冒険」という面白さが限られてしまうので、周りにいろいろとキャラクターを配置しています。
まず、お隣さん。大学生のあさぎ、高校生の風香、小学生の恵那、そしてお母さん、お父さん。
引っ越してきて、毎日のようにお隣さんへ遊びに行くほどになるわけですが、大学生、高校生、小学生の3姉妹を配置することで、それぞれの年齢の違いによる、よつばへの接し方で、よつばとの交流のバリエーションが増えます。
ちなみに、巻が進むにつれて、3姉妹の友達も登場して、よつばに絡んできますので、交流は更に広がります。
次に、とーちゃんの大学時代の友人、ジャンボ。同じ街に住んでいて、仕事は花屋で、お父さんはまだ現役。つまり、これまた比較的平日でも自由が効く身であり、何かと登場します。さらに、多趣味で特にアウトドアに強いので、魚釣りや天体観測、キャンプなどが実行され、冒険の世界が広がります。
あとは、とーちゃんとジャンボの後輩、やんだ。こいつだけはサラリーマンで、登場回数は少ないですが、ちょっと今風なチャラさと子供っぽいやんちゃさで、よつばが唯一敵視するキャラクター。故によつばと絡ませるとすげー面白かったりします。

と、説明が長くなってしまいましたが、一見普通の日常を描いているようですが、よつばを取り囲む世界は巧妙に設定された「理想郷」であり、かなりファンタジーなのです。
よつばと!はキャラクターはとても漫画的に描かれていますが、背景は写実的で、とても緻密に描かれています。置き時計などのちょっとした小物も実在するものをモデルにしていたり、ローソン、クロネコヤマトの車、ニコンのカメラなど、漫画ではよくデザインそっくりで社名の綴りをもじることが多いですが、そのまま描かれていたりして、背景、風景をリアルにすることで、ファンタジーではなく、日常に見えるように工夫しているんじゃないでしょうか。

そして、上で「理想郷」と書きましたが、読者はこの世界に行きたいなぁ、楽しそうだなぁ、癒やされそうだなぁ、と思わせる世界になっていると思います。
よつばのように子供に戻って遊びたい。恵那ぐらいの小学生になって、よつばと遊びたい。
とーちゃんのように家で仕事をして、よつばと毎日を過ごしたい。など。
自分はとーちゃんになりたい派です。
毎日、満員電車に乗って会社に行く毎日。休みの日は疲れを取るためと、溜まった家事を済ませるため。そんな日常から逃げ出したい!結構、そういう人がこの漫画に癒しを求めてるんじゃないでしょうか。

魅力③:時間の流れ

「よつばと!」は2014年7月現在、12巻まで発売され、現在も連載中ですが、1巻が夏休みが始まるころで、5巻まで夏、6巻から12巻までが秋です。
とてもゆっくりと時間が流れています。
次の春が来てしまうと、よつばは小学校入学ですから、その手前で完結すると思っていますが、そのためにじっくりと1つの季節で沢山の話を描いているということもあると思います。

しかし、よつばは幼稚園には行っていません。毎日が自由です。毎日時間がたっぷりあります。
そんなよつばが主人公だからこそ、時間の流れがゆるやかだとも言えます。
これもまた、毎日が忙しい人には羨ましい、子供ならではの時間の流れ方です。

好きなシーンをひとつ。

 

雨の日のお話。
この漫画、結構、キャラクターが入っていない、風景だけのコマがあります。
時間のゆるやかな流れを表していたり、話の間としてうまく使われていると思います。
2ページ目の1コマ目と2コマ目の描写で、自分は懐かしいというか、子供の時に感じた感覚を思い出しました。
雨が風によって、窓に向かってバシャバシャと当たり、また風向きが変わって、元に戻る。
それを眺めて(観察して)雨と風の強さを感じる。
子供の頃はそれを観察する余裕、時間があったし、そんなことで凄いと思ったりしてた。
そんなことを最近は気にも留めたことがなかったって思いました。

このあとの展開も好きで、よつばがいつもの通り、お隣さんへ遊びに行くというので、さすがに雨が凄いから、とーちゃんが見送りに付いて行くのですが、

 

 

 

 

 




 

 

 

 

雨に濡れることさえ、楽しいよつばと、思わずそれを真似してしまう、とーちゃん。
自分も一緒にやりたくなってしまった。

時間の流れという点では、毎日を丁寧に描いているので、各話がしっかりと連鎖しているのも魅力です。
例えば、ある回であさぎの友達のトラがよつばの写真を撮ります。何話かあとで、よつばがお隣さんへ遊びに行き、あさぎが「これから、よつばちゃんがメールだ!」と言って、よつばの背中に封筒を貼り付け、家に帰らせます。とーちゃんが気付いて封筒を開けると、この前に撮った写真が入ってます。そして、またその何話かあとでは、

 

とーちゃんの仕事机の前に写真が貼られているコマがあったりします。
細かくも、話が繋がっていて、時間が流れているのです。

「時間」といえば、今のところ最新刊の12巻の最後のページ。

 

 

 

とても子供らしい、よつばらしい、無邪気な言葉で、なんかこのまま終わってしまっても、いいようなラストです。これからも、よつばの楽しい日々は続いていく。って感じで。

これはキャンプに行って、テントで寝て、起きてきてのセリフですが、一泊したあとですから、恐らく、今日は午後、夕方には車で何時間かかけて、家に帰って、明日からまた仕事。
小学生の恵那さえ、明日から学校。って考えてしまいそうなところですが、幼稚園にも行っていないよつばにとっては、いつでも「今」が大事で、「今日が大事」。
だからこその朝一番から昨日もさんざん遊んだのに「きょうは、なにしてあそぶ?」

「よつばと!」はこんな漫画です。